28 嗤う
「……」
ジッと白雪は、狼を見つめた。2人は見つめ合うと、狼はフッと笑うとキンッと金属音が聞こえた。
刀を直した狼は、白雪に「これでいい?でも、もしも…」
「…」
コクリと白雪は、頷いた。でもそれはきっと大丈夫。
「さぁ、逝きましょうか?」
「やだなーキミ、その逝きましょうか?って。可愛い顔してるのにさぁ」
「なぁ、アンタ。俺の嫁にてぇだしたら只じゃすまないよ?いや、その前に…」
「そっかー若夫婦?へぇ、なら悲劇だね。俺に殺されるなん……て?」つらつら喋る男の頭には銃口が突きつけられている。
「…静にして、…そっか命、とったら喋れない…」
さっと逃れた男は、白雪へと銃口を向けた。…ハズだった。しかし、今度は後ろ背中に銃があてられていた。ひんやりとした金属の冷たさが分かる。冷や汗がつつと流れる。
その後も、銃口を向けたかと思えば、自分に向けられる。一切彼女に隙はない。
男は、そこでようやっと気づいた。技術のレベルが、各段に違うことに。
「…き、君たちは、一体どこの…」
「知っても意味のないこと。」
美しく口元に弧を描いた白雪は、くすりと嘲笑う。
「………バカな人、さようなら」
銃音が響く。白雪は、足下の男を見た。
「…だから苦手、驕る人はいつだって容易い」
キラリ、白雪の瞳が光った。それを見た狼は、優しく声をかける。
「白雪。」
「狼、くん。…つかれた」
「ん、」
疲れを見せる白雪にキスを一つ。それを、受け入れる白雪を可愛いとまた思う狼。ぎゅっと抱きしめた。
───堕ちはさせない。絶対に。
狼は、強く思った。
「…白雪、またあがったね」
「ん、ん」首をふるふる揺らせ、否と示す。
「おじい様には、適わない」
「でも、そのおじい様が褒めてたよ」
そうつげると、白雪は目を見開いて驚きを見せる。
「本当…本当だよ。言ってたんだ。聞いてごらん?帰って」
コクリと頷いた白雪を見て狼は、少し遠くを見つめた。
だから、怖い。余計に怖い。俺が、その時…ちゃんと出来るのか。
「さあ、帰ろう?白雪」
手をつないで歩き出す。
「アリス、?」
遠くにアリスが佇んでいるのが見えた。
「さあ、帰りましょう!皆さんお待ちですよ?」
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