21 長靴をはいた猫
「貴様を、殺しにきた。」
「・・・?なんで、俺ー?わっかんなーい」
ニタリ笑って見せる、殺される男。
殺しを依頼された、男はニタニタ笑う男を見る。
なぜ、この男はナイフを見せて堂々としていられる?
「君さ、本当の殺しってしってる?」
「貴様に、問われなくとも殺してきた」
「・・・へぇ、何人?」「貴様が知る必要はない、貴様もその一人になるのだから」
「だったらさ、なんで俺に殺されかけてるって分らないかなー?ね」
と、ニタリ笑っていた男は突然真顔になる。
「は・・・?」
殺しを依頼された男は、ただその男を見つめた。
「・・・・殺しには、芸術性を求めないと!その人の一番美しい形で・・・」
うっとりとした瞳をこちらに向けた。
「・・・ひっ・・・」
殺しに来たハズの、男は殺されると心で叫んだ。
「・・・俺を殺そうとしたヤツ、誰?教えてよ、そしたら一番美しい姿で殺してあげるよ」
にっこり笑う男。
「・・・・見逃しては・・・」
「やだなー、家さ掟があるんだよねー家族は殺してはダメ。・・・同業者は確実に殺すこと」
「・・・・ま、まさか!!」
「初めまして、そしてさようなら!言わないのなら、調べるだけだよね。家には、そういったの得意なのいるからね。」
黒いブーツ。おしゃれな帽子が今の状況にはあまりにも不釣り合い。
「今回はねー、切り裂きジャックなみにきれーな惨殺に成功!」
といっても、返り血が一切つかずに惨殺が出来るのは彼ぐらい。
帽子をとって髪をかき上げる。髪がちょこんとはねてまるで猫の耳のようになっている。
「あー疲れたにゃー」
とひとりごちる。「ねー黒」
ぴょんと、彼の肩に黒猫が飛び乗る。
薄れゆく意識の中、殺しを依頼されたハズの男は、
”長靴をはいた猫”と、思い浮かべた。
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