16 禁断でも、関係ない。
最近、私にストーカーがいる。そう、ポツリと呟けば
食卓を囲んでいたみんながこちらをみた。
「そうか、そうか、白雪に・・・さぁて、どんな毒を準備しようか」
「あらあら、白雪ちゃんに・・・ふふ、お気に入りの靴磨いておきましょうか」
「ふーん、姉さまにぃ・・・どんな規模の爆弾にしようかなぁー」
お父様とお母様、かぐやはもう、殺る気満々だ。爺様と婆様は、冷静に語る。
「おっほっほっほ、白雪や。そなたを狙う輩はまだ泳がせているのかえ?」
婆様は、きらりと瞳を輝かせた。婆様は、今だに凄まじい若さである。美魔女とはきっと、婆様のことだろう。
「お鶴や、それは当たり前であるじゃろ?簡単に殺してはならん、それが家訓じゃぞ?」
「そうであったのう、翁さま」
音木鶴それが、婆様の名前。音木翁が爺様の名前。
その、全員の声をきいた狼は、にっこり笑って
「やだなー、俺が殺るに決まってますよね?」
その言葉に、頷いた皆は
「狼に任せる」
という、お父様の言葉で終結した。
「白雪、君は俺だけのお姫様」
「狼君は、私の王子様・・・」
そういって、口ずけをかわす。
禁断でも、いいじゃないか。愛しているのなら、愛しても。
「白雪、君は・・・」
だから、俺のモノにちょっかいをかけるやつは許さないからさ?
********
「白雪ー!」
パタパタ手を振る、狼。
校門の前で私服の彼は目立つことこの上ない上に、イケメンだから余計。
「あーあれ、音木先輩?」
どこかの女子生徒が呟いた。
「しーらーゆーきー!」
「音木さんのお兄さん来てるよ」そういって、誰も知らない人は言う。
その言葉たちに、否定も肯定もせずに狼のもとへ駆け寄る白雪。
「白雪、迎えに来たよ?」
そういって、キスを落とす狼にそれを受け入れる白雪。
それに絶句する、周りの生徒たち。
「な、きょきょきょ・・・」
狼は、ここの卒業生で知る人は多い。
「お、お、お、音木さん?!」
白雪がそんなことをしているなんて想像もつかなかった彼らは固まったまま。それを、放置して歩き出す。
ちらり、狼は気配のしたほうを視線だけ向けた。
「ね、白雪。アイツ、だね?」
「・・・ん。」
白雪が、肯定すると狼はその場をそっと離れて、
男の背後に立つ。
「・・・・・バカだね、白雪には俺がいるのに」
「・・・・!いつ、いつのまに・・・」
「えー、さっきだけど?」
男はひるんで、座り込む。
「きょ、きょうだいだろ?」
「なにが?」「禁断だ!禁断の恋愛など!」
「禁断?そうだね、禁断だね?」
でもさ、愛しているなら関係ないよね?
そうつぶやいて、男に恐怖を植え付ける笑みを浮かべた。
「白雪に今度近づけば、命はないから」
それから、男は白雪の近くに現れなくなった。
「・・・狼君?」「愛してるよ、白雪」
「ん、愛してる。狼君」
「禁断だよね、俺たちの愛は」
「ん、だって・・・・」
暗殺者と、ターゲットだから。
白雪はそっと、呟いた。
.




