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12 ”刺殺”と”毒殺”



「今日はどうして」

そう、白雪が呟くとお母様はそれに答えた。

「今日はね、ちょっと動きにくいのよね。ほら、見てごらんなさい。警視庁の面々がいるでしょ?」

「ほんと、面倒。時間も短時間しかないからね」

そう、いって2人は離れる。




*****


「一緒におどりませんか?」

そういって、美しいドレス、きれいな靴の美しい女性に手を伸ばす男。

「ふふ、私と?」

そう、呟いたのはお母様、麗良だ。彼女は、音木家に嫁入りしたが相当な腕前だ。腕で、嫁を選ぶわけではないが、彼女の腕は凄まじかった。


不敵にほほ笑む麗良に気付かない男は、そっとダンスをかわした麗らを追いかける。そして、男が気付いた時には遅い。

「そこまで、私と?」

人影も、何もない薄暗い場所に立つ麗良と男。

「ええ、美しいあなたと・・・」

そっと、近づく男に麗良も近づく。

「ごめんなさいね、私。旦那様しか愛せませんの」

そういって、ピンヒールを首元に刺す。

「・・・!!!」

その場をそっと、麗良は離れるとヒールについた血をパッとはらう。

「ふふ、私は”王”だけしか、愛せませんのよ?私の、得意な”刺殺”で死ねることを誉れなさいな。」

そうつぶやいて、またそのヒールに足を滑り込ませるとまたパーティーホールへと忍び込むのだった。



****



「ふむ、これはおいしい」

そう、綺麗な顔の男は呟いた。

彼の持つのは、年代物のワイン。

彼は、どこの産地だろうかと思考を巡らせつつあたりを見回す。

「おや、気分がすぐれないのですか?」

彼、皇は気分がすぐれなさそうな女性に声をかける。

女は、彼の顔を見た後少しほほを染めて、

「ええ、少し」


「では、外で新鮮な空気でも吸いましょう。そうすれば、少しは落ち着きますでしょう?」


バルコニーにでた、2人。女は、少し嬉しそうにするも・・・・

少し苦しみだした。

「・・・く、るしい・・・」

「そうですね、即効性のない毒ですからね・・・」

皇は、淡々と呟いて不敵にほほ笑んだ。

「・・・ぐ、は・・・あ・な、たは・・・」

「俺の得意な、”毒殺”で・・・」

皇は、床に這いつくばる女を見下ろした。

「永久なる眠りを・・・」

皇は、そうつぶやいてその場を去った。後に残るは、横たわる女性の死体。





****


「あら、あなた。」

「シンディー、癒してくれ」

「あら、私のほうこそ」

そういって、そっと抱き合う2人。

「いやだわ、仕事でも。あなた以外の男と近寄るのは」

「俺のほうこそ、」

「でも、もう少しの辛抱ね。ほとんど、私たちのカワイイ”赤ずきん”が終わらせてくれているもの」

そういって、皇の口に口ずけする。

「さすがだな、歴代でもあれほどの者はいなかったようだからな」

皇は、ひとりでに呟いて、カワイイ娘、白雪を思う。



黒髪、なびかせる赤いずきんの少女。今では、女性へと変貌途中だがそれゆえの魅力が現れている。

あの子は、凄まじい才能の持ち主。





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