1 迷いネズミは駆除すべき。
むかーし、むかし?いや、今現在です、すみません。
そんなわけで、どんなわけで?は、置いておきましょう。この際です。
一見豪華なお城みたいなお家。一見ていうか、もろお城!
中世ヨーロッパ物語の撮影に使えそうな豪邸がそこにはたたずんでいました。
住宅街の中に、それはある。
普通の一軒家が立ち並ぶ中にその邸はあるのだが、目立つことこの上ない。
そんなわけで、今日もまた怖いもの知らずの輩が忍び込んでしまうのです。
「・・・・儲けもんだ」
黒ずくめの男は、呟いた。
手慣れた作業で、鍵をあけ、手慣れた作業で証拠を隠しつつ侵入。
後で、なんて持ってのほかだ。もし、突如住人がかえってきたりしたら証拠隠滅ができなくなるから・・・・だ?
「・・・・あなた、だれ?」
赤いフードをかぶった、まるで濡れたような黒髪と、真っ白な素肌。黒曜石のような、大きな瞳の美少女といっても女子高生くらいだろうか。立っていた。
「・・・・このお家のひとかなー?」
男は、焦った。しょっぱなからみられた。玄関から進んで、最初の部屋に入ろうとしたら後ろから声をかけられたのだ。そもそも、後ろは玄関しかないはずなのに、玄関が開く音もなにもなかった。
この少女は、どこから・・・・
少女だとしても、証拠になる。男は、失敗だとおもい少女を脅すためにもナイフを出そうとして・・・
「はい、この家の者。次期当主となる者。そして、あなたは誰?」
男は動けなくなった。なぜなら、少女に銃口を向けられていたから。
「・・・・ちょ、それ・・・!」
「試してみる?この銃の威力を。先ほど、改造改良組み立て終わったとこのこの子を」
無表情を崩さず、少女はただ淡々と言葉をつづる。
「一般的にも知られているこの子、リボルバー。普通の威力を2倍に改造してみた。・・・試してもいいよね。だって、あなた不法侵入者だもの」
ドンッ、音が響いた。
「・・・あ、れ・・・生きてる」
男は、嘆息したが・・いまだ向けれる銃口に冷や汗をだらだらと流す。
「成功、この子いい子。」
表情がすこし、緩んだ少女。しかし、そんなもの見る余裕のない男は・・・
ただただ、どうして近所の住人が集まらないのかと疑問に思った。
「大丈夫、防音完備だから」
その少女の言葉に、男は一気に逃げ出した。
「動けるじゃない、迷いネズミさん」
少女は、その場を後にした。




