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羅生門 2

文章がわかりづらい所があると思いますが読んでいただけると嬉しいです

「せいやぁッ!!」


永徳が両腕を振り上げ、一気に天喜に向かって襲い掛かる。その一撃が、予想以上のスピードと重さで直撃する。天喜はその圧倒的な衝撃を受け、背中から地面に叩きつけられた。


「ぐあああ……」


今度は完全に動けなくなった。痛みが全身に走り、息が詰まる。


永徳はゆっくりと歩み寄り、天喜を見下ろす。


「無駄だ……小僧、所詮貴様はその程度だったのだ」


天喜は息を切らしながら、必死に目を開けた。


「く……っ」



天喜は必死に体を支えようとするが、無力さが心を支配する。天喜は立っていた。満身創痍の体で、それでも睨みを効かせ、目の前の巨体・松永永徳に向かって拳を構える。息は荒く、汗と血で前髪は濡れていた。足もふらつく。だが、天喜の瞳の奥にはまだ消えない闘志が燃えていた。永徳も傷は負っていた。だが、その巨体は未だ崩れる様子を見せない。鼻筋から血を流しながらも、不敵に笑っていた。


「まだ立つのか。……だが、ここで終わりにしてやろう」


永徳が一歩踏み出す。その瞬間、空気が唸りを上げる。


天喜も最後の一歩を踏み込む。右拳を強く握り、目を見開いた。


「俺は……まだ、終われねぇ!」


次の瞬間、両者の拳が正面からぶつかり合った。


ドガァァァン!!


重く、鋭く、鈍い音が交差点に響き渡る。拳と拳がぶつかり合い、地面が揺れるような衝撃。


天喜の拳は、永徳の拳と真正面からぶつかった。


一瞬の静寂。


だが――


「がっ……!」


ギリギリと音を立てながら、天喜の右腕が押し返されていく。拳を押し込まれる感覚。骨がきしみ、筋肉が裂けるような痛みが走る。


「――ぐ、うあああああッ!!!」


そのまま永徳の力が勝り、天喜の右腕が無理な角度で押し曲げられ、ボキッと明確な骨の折れる音が鳴った。


「……ッ!!」


天喜の体が弾け飛び、地面に倒れ込む。右腕は不自然な角度に曲がり、動かない。


永徳は微動だにせず、静かに拳を下ろしながら言った。


「…天晴れだ小僧」


天喜は苦しげな呼吸をしながら、薄れゆく意識の中で空を見上げた。星が瞬いていた。


「ち……くしょう………俺…は、」


その声は、誰に向けてでもなく、どこかに残した言葉だった。


「勝者、夜叉蓮会――松永永徳!!」


試合終了の合図が鳴り響いた。

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