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作家は騙される?  作者: 櫻井東
2章 秘密の相談
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家事代行者と儲け話

かなり間が空いてしまいました。すみません。


 カラカランとドラベルの音が鳴る。涌田は入ってきた二人の客を一瞥すると、声を落として駒込に尋ねた。



「なぜそう思うのか聞いても良いかな」

「なんとなくです。今聞いた限りだと、涌田さんは消去法で澤田さんを犯人だと決めつけているみたいで」

「なるほどねぇ。ではどのようにしたらいいかな」

「もう少し調べてみるのはどうでしょうか。全くの赤の他人が泥棒に入ったという可能性もありますし」

「でもなぁ。警察に連絡するのはつまらないから嫌なんだよねぇ」


 涌田は首を傾げながら駒込を見つめた。


「こまちゃんが聞いてみてくれないかな。明日とか明後日とか空いてない?」

「すみません、今週はずっとバイトで埋まっているので」

「そっかぁ。残念」


天井を仰ぎ見ながら涌田は小さくため息をつく。駒込もまた小さく息を吐き肩から力を抜く。

再び息を吸ったとき、駒込の鼻腔に苦い香りがまとわりつく。

先ほどやってきた客は喫煙者であったようだ。


タバコの臭いは嫌いだ。いつだって自分に不幸を呼び寄せる。


駒込が顔を顰めると同時に、涌田の隣に畳まれたコートから奇妙なメロディーが鳴った。

涌田が電話に出たのを見て、駒込は再びこの場をどう切り抜けるか考え始める。

どうにかして、この男と離れなければならない。

穏やかな表情で通話している涌田を見て、今なら自然に席を立てるのではないかと考えた。

急用ができました。焦った表情でそう言えば、帰してくれるだろう。


スマホのチャットアプリを開き、少し目を見開く。そして、涌田を見つめて合図する。

すみません、急用ができてしまって。そういう流れでいこう。


「涌田さん、すみません。今連絡が——」


眉を下げながら首を傾けると、涌田は小さく笑った。


「今、澤田さんと電話してるからちょうどいいや。こまちゃん話してあげてよ」


やはり、タバコの臭いは嫌いだ。

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