家事代行者と儲け話
かなり間が空いてしまいました。すみません。
カラカランとドラベルの音が鳴る。涌田は入ってきた二人の客を一瞥すると、声を落として駒込に尋ねた。
「なぜそう思うのか聞いても良いかな」
「なんとなくです。今聞いた限りだと、涌田さんは消去法で澤田さんを犯人だと決めつけているみたいで」
「なるほどねぇ。ではどのようにしたらいいかな」
「もう少し調べてみるのはどうでしょうか。全くの赤の他人が泥棒に入ったという可能性もありますし」
「でもなぁ。警察に連絡するのはつまらないから嫌なんだよねぇ」
涌田は首を傾げながら駒込を見つめた。
「こまちゃんが聞いてみてくれないかな。明日とか明後日とか空いてない?」
「すみません、今週はずっとバイトで埋まっているので」
「そっかぁ。残念」
天井を仰ぎ見ながら涌田は小さくため息をつく。駒込もまた小さく息を吐き肩から力を抜く。
再び息を吸ったとき、駒込の鼻腔に苦い香りがまとわりつく。
先ほどやってきた客は喫煙者であったようだ。
タバコの臭いは嫌いだ。いつだって自分に不幸を呼び寄せる。
駒込が顔を顰めると同時に、涌田の隣に畳まれたコートから奇妙なメロディーが鳴った。
涌田が電話に出たのを見て、駒込は再びこの場をどう切り抜けるか考え始める。
どうにかして、この男と離れなければならない。
穏やかな表情で通話している涌田を見て、今なら自然に席を立てるのではないかと考えた。
急用ができました。焦った表情でそう言えば、帰してくれるだろう。
スマホのチャットアプリを開き、少し目を見開く。そして、涌田を見つめて合図する。
すみません、急用ができてしまって。そういう流れでいこう。
「涌田さん、すみません。今連絡が——」
眉を下げながら首を傾けると、涌田は小さく笑った。
「今、澤田さんと電話してるからちょうどいいや。こまちゃん話してあげてよ」
やはり、タバコの臭いは嫌いだ。




