#1その日俺は村の英雄になる
異世界に経済学で戦う
#1その日俺は村の英雄になる。
なんやかんやあって異世界転生!したけど、才能はないし、村に賊がやってきて大ピンチ!でも、村長さんを助ける為に、ステータスゴミ、スキルなし、特性なし、の銀助は持ち前の発表スキルと知識で戦う!大盗賊団に支払う上納を倍にするんでもうちょい待って!って上納を倍になんて一体どうやるんですか銀助さん!
一回読んでみてください、多分刺さる人には刺さっておもろいっす!
異世界に経済学で戦う
#1その日俺は村の英雄になる
「うっ…………」
かち割れそうな頭のズキズキとした痛みが自分を起こす。痛すぎて声も出ないが10分ほど経ってやっと立ち上がる。
「痛すぎるって……ん?てかここどこぉ!?」
目の前に広がる一面の木々たち。よく目を凝らすと見た事もないような植物もあったり…
「俺はたしか津波に攫われて…そっから…もしや外国??」
[絶対に無いと思う可能性も考えてみるのが大切だ]と大学の教授が言っていたが、側からみると馬鹿みたいに思われるな。
「はぁぁ…ここどこだよ……とりあえず步かないと…」
まだ痛みが残る頭で決断しゆっくりと歩き出す。だが不思議だ。津波に飲み込まれた時明らかに死んだと思った。だが、自分は頭がとんでもなく痛いだけで他はどこも怪我を負っていない。最後の記憶なんてないから恐らく気を失ってたんだな。
「んーー………でもなんだか現実とは思えないんだよな…」
ほっぺを引っ張るというありきたりな事をしてもしっかり痛みはあるし…とりあえずどこか人がいるところに行かないと…
♢♢♢
「…そろそろこの光景も飽きたって…はぁはぁ…」
二時間くらい歩いてみても人どころか見かけるのはおかしな植物ばかりだ。経済ばっかやっていた自分は植物の事は詳しくはないがネットとかに挙げたら話題にはなりそうな植物も多い。あとで写真でも撮ろうかなと思っていたが…
「あっ!?スマホがない!!」
なんと自分にとって命であるスマホがないのだ。他にも衣類以外の持っていた物が全てない……津波に沈んだか…
「せっかくトレードうまくいってたんだけどなぁ…」
今のこの状況じゃ売り買いどころか米ドルの市場価格もわからない…これはかなりの損失は予想しとかないとな…
高校生の頃に親が勉強の為にくれた十万円を苦労しながらなんとか運用してきて、最近は株にも手を出して、やっと一人で中々の額を稼げるようになっていったというのに…しかしそんな事を考えていると
「…あれは…耐えろ俺の足!うおお!!」
森の切れ端を見つけた俺はさっきまでの疲れを吹き飛ばし全力で走る。やっとここから出れると思い、柄にもなく叫ぶ。人は限界になるとおかしくなるというが本当なのかもしれない。
「うおお!!……ゴー…る…?なんだよこれ!?」
なんと意気揚々と森から出ると目の前に広がるのはだだっ広い平地と歴史の教科書とかで見る中世ヨーロッパ風?の村だったのだ!
「…あー…ははなるほどそういう展開ね。」
よし。夢だ。今すぐ覚めろ。
「…………ふぅー…」
だがしばらく眺めても変わらない風景に目の前の光景が現実だと俺は再認識するとともに大きな溜息が出す。まだだ、あそこにある村に行って確認するんだ。もしかしたら本当に違う国に漂着してしまったのかもしれないしな。
♢♢♢
「あのっ!今いいですか!」
「はい?なにか私に用ですか?」
疲れ切った体を動かして村の方まで行くとそこそこな大きさの畑と雑っぽい小道がこちらを手招きする。
そうして村の中に入り、小さめのバスケットを持った女性に話しかける。ゲームだったら第一村人発見!?とかやりたいのになぁ…と考えていた。第一村人の女性はチューブ状の衣服をピンで肩に留めて着用していて、この装いがこの村では主流なのか、他にもちらほらいる人はみんな同じよう格好だ。いよいよ嫌な予感が現実味を増してくると
「(良かった、言葉は通じるみたいだ…)
ここはどこですか?日本ですか?」
話しかける上で最大の難関の言語。プレゼンなどの発表やコミュ力には自信があるが言語が違うとどうしてもキツイものがある。だが、どうやらその心配は要らなそうだ。
「ニ…ホン…?」
「(あっこれダメなやつだ)
国の名前です!ここはなんていう地名でここは何国ですか…?」
女性の回答に焦りながら次の質問をする。
「…?…ここは南端の国、ルマリーナ国のコマメ村よ。」
「る、ルマーリナ!?…コマメ!?……そ、そうですか…」
明らかに聞いた事もない国の名前を聞き理解した。 なるほど、これが俗にいう"異世界転生"か!!
「貴方はどこから来たのかしら?見た事もない衣装ですし、もしかして貴族の方でいらしたかしら。」
「いえ…貴族というか大学生というか…」
「とりあえず、何かお困りのようなら村長さんの所に行ってはいいかが?何か分かるかもしれませんよ。」
「…わかりました」
瞳に揺れる涙を抑え、今いる状況を悲観すると重い足取りで村で一番奥の家に向かう。恐らくあそこが村長の家だろ。ゲームでやったもん。だがそう思っているとこの現状に少し高揚してきた。この風景の感じはゲームとかに凄い似てる。
「(たしかに現実ではないけど、この世界なら好きな事できるかもしれないな。異世界転生とか願ったりだし!)」
異世界転生が起きたのはまだ信じられないけど、とにかく今自分のできる事をしないと!なんて気持ちは半分虚勢だがそんな事を思っていると少しは気持ちが楽になる。
元々俺は小さい頃からMMORPGなどの多人数が同時参加するゲームなどでも商人プレイをするのが好きだったため、商人として働いてみたり…?なんてそんな事がこの世界でできるかもしれないのは少し嬉しいポイントだ。まあ、元の世界に早く戻りたいんだがな。
「すいませーん」
淡い未来を考えていると村長の家に着いたので、軽くノックしてみる。それにしてもなんともゲームのそれっぽい建物だ。
「…すいませーん」
ノックをしても返答がない。もしかして外出中!?てかもしかしたら死んで
「…はい、なんでしょう?」
そうして出来たのは丸杖をつき、ボロボロだが刺繍や織物のデザインがついている少し豪華な服装のご老人。いかにも村長と言った感じだ。
なんだ、直ぐ出てこなかったのは耳が悪いだけか。心配になるわ。
「すいません……いきなりで信じられないと思うのですが、私は元々この世界の人間じゃないんです。」
絶対に鼻で笑われる。というか不審者扱いまでされると思っていたが、自分の告白を予想外に村長は目を合わせたまま真面目に聞いていた。
「気づいたらこの村付近の森の中で目を覚まして、聞くとここはルマーリナ国のコマメ村だと…村長さん、恥ずかしながら自身に降りかかった謎どころかここに来た記憶もないんです。何か知っていることがあれば教えてください!」
「…とりあえず家の中で話しましょう。」
村長はそう言うとニコリと笑ってしわくちゃな手で俺の手を引っ張る。そうして中に入ると大きめの机と椅子に向かい合うように座った。
「して若い人、其方の名前は。」
「銀助、金島銀助です!」
「そうかカネシマギンスケか。」
ん?何か違う気がするがまあいい。とにかく少しでも有用な情報が欲しい、もしかしたら元の世界に戻る手がかりがわかるかも知れない。
「実はなギンスケくん。君の身に起きた事が他にも起きたと言う人は噂でたまに聞く。ギンスケくんのような境遇のものがこの世界には其方以外にもチラホラいるんじゃよ。」
「え!?」
思わず声が出た。まさか自分以外にもそんな人が…しかも何人もだと。動揺する心を落ち着かせ村長の話の続きを聞く。
「其方のような人達は"落天子"と呼ばれておる。落天子は数十年程前から度々現れ、この世界中に存在している。」
「らくてんじ…?な、なるほど…(俺以外にも転生者がいるのか)」
心なしか安心した俺は本題に入る。
「それで、村長さん。元の世界に戻れる方法はあるのでしょうか?」
村長が急に黙り込む。俺はこの世界で、もう何度目かの嫌な予感がした。そして申し訳なさそうに重い口を開くと
「それが、少なくとも私の耳に落天子が元の世界に戻ったという話やその方法については全くわからないのじゃ。」
「…そうですか…」
どっと重たいものが自分にのしかかる。戻る方法がわからない…確かにさっきまで商人プレイとか思ってたが、もう戻れないのか…俺は現実世界の家族や友人を思うと心が引き裂けそうになったがなんとか堪え、話の続きを聞く。
「多くの落天子はこの世界に適応し生きているらしいが、自ら落天子だと言う者も少なくてな。私の知り合いにもおらんで、其方に紹介する事もできん…本当にすまんのう。」
「いえいえ!村長さんが謝る事は一つも!…ただ…そうですか…私もこの世界で生き抜くと…」
たかだか大学四年生で最近までは就職の事ばかり考えていた自分にはあまりにもスケールの大きい話で喜怒哀楽色んな感情が入り混じっていた。
「とにかく、其方のスキルとステータスを見せてはくれんか?少しは自分に、この世界に"希望が持てる"かも知れんぞ。」
「スキルとステータス?」
落天子とか聞いた後に急に聞き馴染みのある単語が聞こえた。そうだ転生者は大体チート能力とか持ってるじゃないか!
「私も自分のスキルとか気になります!」
「まずは、其方の髪の毛を頂いてよいか?」
「ふぇ?」
村長から聞くに自身の髪の毛をお湯に入れた後、その中に"記憶石"という石を投入して少し待つと自身のステータスが石に記憶され見ることができるという…なんとも便利なんだ…
「記憶石はどこに…」
「私の余っているものをあげよう。安物じゃが」
村長はそう言ってぶちっと髪の毛を抜かれた。
「っ痛た!」
「すまんの、じゃが其方の最低限の情報がわかるぞ。落天子は人より優れたものを持っている事が多いが、なんせ噂で聞いてきた落天子とこうして実際に会うのは初めてじゃ。はたしてどうかのう…」
引っこ抜きたての髪の毛を小ぶりの鍋に入れ、水と一緒に煮込む。
「この記憶石というのはどんなものなのですか?」
この世界じゃ今まで習ってきたこともこれといって役に立たなさそうだし聞けるうちに聞いとかないとな。
「記憶石はその者の肉体の一部をお湯で溶かし、それを石に浸透させると肉体の持ち主の情報が記載されるというものじゃ。因みに石が大きければ大きい程情報を、より正確に、よりたくさん記憶することができる。まあその分値段は腰を抜かすがな。」
元から腰は抜けてるだろと思ったが、そうか…よくよく考えたらよそ者の俺に落天子の話や記憶石とかまでしてくれているのか、
「そんな大切な物を頂いてしまっていいんですか。」
「よいよい。どうせ余り物じゃ。」
自分が遠慮気味に聞くと村長さんはそう返す。とても親切な村長さんだが少し悪い気もしてきてしまう。
そうこうしてるうちに完成したようで、熱々の石を取り出してタオルで水気を拭き取りほいと村長さんが手渡してくれた。
「これが…」
「情報を見る時は二回指で叩くのじゃ。」
村長さんの言う通りに二回指で叩くと、
「うわ………」
「ほう…これは…」
目の前にゲームで散々見てきたステータス画面が本当に目の前に表れた。しかし、
「これは……才能ないのぉ」
「はっ!?いやいやいや!あ、あるでしょ!?」
まさかの数値の低さに村長さんはストレートに感想を述べる。
「そのサイズの石で表示されてる情報は体力、魔法、MPの三つじゃが…どれも平均。体力にいたっては平均以下!これは、才能がないのぉ」
「ええぇぇ…」
村長さんの発言は正しく、上限が100なのに、どの数値も10くらい。でもそんな言わなくてよくない?
「まっ!とりあえずこんなもんじゃが、その記憶石は小さい。他に記憶できていない其方の長所があるかも知れないし、人間はいつだって成長する!諦める事はないぞ!」
はっはっはっと村長はぎこちなく笑うと俺も次いで苦笑いする。そうして気まずい空気が流れる。
「…落天子でも才能ない人っているんですね…」
「"希望が持てる"どころか逆効果じゃったな。其方には悪い事をした」
まさか転生者の自分に才能がないとは…せめて1つのスキルの全振りとかだったら良かったな…
「して、これからどうしていくつもりじゃ?」
そう、それが一番重要だ。これからこの世界に骨を埋めるかも知れないし。
ステータスは残念だったが、投資と一緒で切り替えが重要。いつまでもそれに引っ張られては前に進めないし、むしろ自分の今の実力がわかっただけ有難い。
「とりあえず、商人でもやろうかなって感じです。一応元の世界では商人みたいな(結構違うけど)のを目指して勉強してたんで、ある程度は…」
「それじゃあ金がいるの…ん?その服は随分と良さそうじゃないか。」
津波に攫われた時、俺の服装は内定が決まったとはいえ就活生向けの講演会やイベントなどに参加しまくっていたのでスーツ姿。しかも、見た目が大事ということでネクタイから靴までかなり良いものだった。
「これ、結構高かったんですよ。」
「じゃろうな、生地を見ればわかる。靴もかなり良い物だ。だが、この世界でその服装は中々目立つし別の服を買う方が賊にも狙われづらい。それを売ればかなりの額になるが、私が買い取ろうか?商人は最初から金が要るぞ。」
「いやーこれは僕が高校生からバイトして貯金してたお金で買った大事な物で、そう簡単に売れませんよ。」
村長さんからの提案に俺は首を横に振った。俺はこの服で元の世界に戻るんだ!
売りました。結構まじで良いものらしく村長さんがでっかい金庫から支払いしました。これも生きる為だ…
「うぅ…すまない…商人プレイは初期費用が掛かるんだ…」
俺は相棒に別れを告げた。今までお世話になった、ありがとうな。
「おい、若者。感傷に浸っているところ悪いが流石に裸で泣かないでくれ。目が老いる。」
「あ、はい。元から老いてると思いますけど…着替えはどうしようかな。」
パンツだけは渡さなかったのだが、流石にこの年でパンツ一丁は変態だ。そう思っていると、村長さんがほいと服を渡してくれる。
「おお!これは!」
そこには麻でゆったりと作られ、首と手首はギャザーが寄せられたシャツと、青と白を基調とした丈の長い上着があった。その上着にはフードなどもあり、洒落ていて、確かにスーツよりかはこっちの方がこの世界では馴染めそうだった。
「これ、どうしたんですか!」
俺がワクワクで聞く。この世界きてから初めての良い事かも知れない。
「それは私が若い頃着ていたものでな。買ったはいいもののしばらくして急激に自分の頭皮が禿げていって恥ずかしくてタンスにしまってあったんじゃ、」
涙目になりながらもう何もない頭をさすっている村長さんを見るとこの服も中々思いはこもってそうだった。
「とりあえずそれを着ておきなさい。あと其方の…すーつ?じゃがほれ。」
「わっ!」
そうしてパンッパンッに硬貨や紙幣が入っている今にも破れそうな皮袋を貰った。
「え!?これいくらあるんですか?」
「ざっと数えても100万ゴールはある。」
「100万ゴール…?」
聞き慣れない単位だが、この程度ではもう驚かない。
「"ここら辺"じゃ、パン1個で500ゴールくらいかのぉ…りんご1個で1000ゴールじゃな。」
「パンとりんごなんでそんなに高いんだよ…」
現実のとは当たり前だが金銭価値が違うようだ。単純に100万円とかならわかりやすかったな。
「みんな好きだからな。特に腐りやすいものはあまり売られないし金額が高くなるのも納得じゃ。代わりにいつもワシらは豆とか芋とか、大麦を主食としている。腐りづらいし腹持ちもよいからな。」
「へぇ…して一食あたりいくらするんですかね?」
「さあ…言われてみればわからないが…うちは豆畑が多いからな。豆は安いぞ。ただ、味はほぼないがな…味付に使う塩、スパイスなんかは高くてもってのほかじゃ。沿岸部では塩もそこそこ安いんだが…」
投資を勉強しまくっていた自分にとってこの上ない情報だ。なるほど、経済地理学的に交通の便と保存問題のせいで供給量と需要量のズレが各地域で食品の価値として表れているのか。
「で、この100万ゴールは大金なのか?」
俺の問いに村長さんは年柄にもなくガハハと笑うと
「大金も大金。100万ゴールは農民の1年分の給料じゃ。」
「それは大金だ、だが、どうしてそこまで村長さんは持っているんだ?」
片手で丸を作り手でお金のポーズをすると村長さんが理解したようで、
「昔は私もしがない商人だったのさ。今は村の貯金と一緒にしてるが…」
「え?そうなんですか。」
俺が聞き返すと村長さんは自慢げに話し始める。
「あれはまだ星が光っていた頃の夜かのう…」
「ありがとうございました。」
自分から言っといてなんだが、明らかに話長くなるタイプだったので早々に切り上げる。
あと話の内容おかしいだろ。なんだよまだ[星が光っていた頃の夜]って、星は見えない日はあっても光ってはいるだろ。なんて心の中でツッコミを入れると自分の中で気になった事ができた。
「村長さん、あんたこの村は豆畑が多いって言ってたが豆の値段はどのくらいなんだ?」
「でそこで…ん?ああ、そうだな〜そこにある樽一個分で1万ゴールいくかいかないか。」
村長さんが指差した先には古びた大きめの樽があった。
「安いし大量にあるじゃないすか、そんなに豆が…」
俺が話していたその時、外が途端に人の声でうるさくなっていた。それがあまりにもうるさいので俺は話を止めて、何が起きたんですかね。と村長さんに聞いてみると、苦い顔をして俯いていた。なんだ何が起きたんだ。そう思い扉を思い切り開け、数歩歩くと…
「ああん?なんだお前は?」
「なっ…!?」
村長の家の前にある大通りに出て騒ぎの原因だろう男と目が合った。俺の両眼に映ったそいつは、ガラの悪い男だった。一瞬で理解した。村人じゃない…乱雑な髪、ジャラジャラと付けた装飾品。こいつらは
「賊か!!」
俺がそう言うと装飾を付けている賊の一人が思い切り俺の頬に向かって拳をぶつける。
「ぐはっ…!」
「おいおいおい〜人を賊呼ばわりとはなんだお前は?」
装飾をつけた賊が言うと、
「やめとけレスド。名目上、一応俺たちはこの村の"統治者"だ。」
もう1人の長髪の男が続いて偽りを口にする。
「お前この村の人間じゃねえな?おい!村長!どういう教育してるんだ!!」
「村長さん!?なんでここで名前が出てくる!?」
俺が痛みで腰をついていると装飾の男が村長を呼ぶ。そしたら村長さんがコツコツと杖をつきながら家から出てくる。
「ど、どういう事なんだ、村長さん!」
俺がそう強く聞き返しても固く口を結んだままだ。そこに装飾の賊が割り込んで話し始める。
「俺たちサハラ盗賊団はここら一帯の計20の村を支配してるいわば領主だ!領主なんだから毎月税か飯を村人に納めさせるんだよ!!おいコマメ村の村民共!今月分の豆はどうした!!」
そう脅迫すると女子供も慌ただしく袋を持って俺の横にずらりと並べる。中を見ると溢れんばかりの大量の豆がどの袋にも入っていた。村長が浮かない顔をしていたのはこれか…
「ちゃんと用意してんのはいいが…その前に!」
装飾の男が全力で近づいてくる。嫌な予か
「あっちょぉ!!」
「ぐはっ…」
奇声を発しながら俺の腹に蹴りを打ち込んできたのだ。そのせいで、近くにあった豆の袋から豆が飛び出る。
「ケッケッケッ…さっき間違えて"盗賊団"って言っちまったからよ〜俺たちは正当な"統治者"なんだよ!ですよね!」
そうして装飾の男が長髪の男の方を見たかと思うと
「ふんっっ!!」
うん。長髪の男に顔面ぶん殴られていた。しかもフルスイング
「う…ブルースさん…な、なんで…」
「てめぇ!豆ごと蹴り飛ばすんじゃねえよ!頭に上納できねえだろうが!」
「ええ!?す、すいません!」
涙目になりながら自分への加害理由を聞くと至極真っ当な答えを突きつけられて[確かに…]みたいな顔をしていた。いや、確かにじゃねえよ…
「んで村長、一目見たが、この豆の量だと今月分には届かないぞ。不足分は金で補うのか?」
「いえ、この豆は我らの食糧全てです。そこから金も出してしまっては私らは生きられません。しかも、つい最近の台風のせいでコマメ村も被害を受け、その影響で納める分は本当にこれだけしかありません。」
「ならば今ある分を収穫すればよい。そうすれば上納分にまでは届くだろ。」
「今やっとぷっくらと実が膨らんできた所で、収穫まであと何十日のところで…」
「お前らの所は豆の種類も量も多い。今からでも収穫できるものを収穫して納めろ。でなければこの村は…」
何事もなかったかのように会話をする二人を傍目に俺はようやくユラユラと立ち上がり聞き及んだ状況を整理する。
「納める豆も金もないならどうするんだよ?」
装飾の男が顔の痛みを抑え、性懲りも無く喋り出す。
「村長よ、俺たちは先月20のうちの10の村を焼いたのは知っているよな?」
「はい…」
10!?そんな数の村が焼かれたのか!?俺は思わず驚いた。
「焼いた理由は全部"今月分"に上納が届かなかったからだ。頭は上納未達は許さない…つまり言いたい事はわかるよな?」
長髪の男の眼が無慈悲に村長を見つめる。
「お前らが今月の上納回収日の1村目だ。残りの9村から回収してから夕刻にまたここに立ち寄るが…その時までに用意できなかった時はわかるな?」
冷酷に長髪の男が言った後、2人の賊は先ほど散らばった豆も含め確認をし始めた。
「なっ!?村長さん!」
「……ギンスケ、其方には見苦しいものを見せた。さぁ、早くこの村から出ていくのだ。商人としての大事な一歩目を…」
「出れる訳ねェだろ!!」
俺が強く一喝すると村長は暗い顔をする。
「あんた!村長だろ、こんな賊共に村支配されて…俺の服を買い取った時のあの金庫でも使ってこの村を立てなお」
「それは皆の金じゃ!!」
今度は村長が俺を一喝する。
「残った村の金は…もう終わりとなったこの村の村民として最後まで働いたみなに返す。例え金庫からの金で今月分渡そうとも豆も金もなければ飢え死に。ならばせめて最後はみな自由に金を使って欲しいんじゃ…幸いにも奴らがここに来るのは夕刻だしな、」
村長が優しく、だけども悔しそうに口から落とす言葉はこの村を愛していたからこその無念の言葉だった。
「じゃあ…なんで最後に俺の服なんか買ったんだよ…」
俺が声を震わせながら問いかけると村長は家にあげてくれたようにニコリと笑って答えた。
「あれは"私の分の金"じゃ。」
「!?…そ、そんな物をスーツに使って…」
「コマメ村から逃げるというのは先月、奴らが10の村を焼いた時に村民全員で話し合って決めた。だから最後はこのおいぼれの使い道のなかった金は其方に託したかったのじゃ…あのスーツとやら、あれも返す。本当じゃったらあの服を洗濯してから其方に返したかったが…まああれは土に汚れても100万ゴールやそこらではない価値じゃ。」
「…もっと良い金の使い道くらいあっただろ村長さん…!」
俺がそう言うと村長は微笑みながら顔を上げ、空を見つめる。そんな姿が余計辛くなって、殴られた跡がある頬から流れる血が俺の輪郭をなぞる。それは涙の様でもあった。
そして、悲しみと同時に俺は悔しかった。自分は大学でも経済学などに次いで世界史なども学んでいた為、差別や支配、そして、それらの汚い部分などについても知る機会があった。だが、目の前の賊達によって、幼子までもがこの村を追われるという不条理が俺は許せなかった。
「…村長さん」
「なんじゃ?」
俺は覚悟を決めた。血を流し、痛みで引き攣る顔で村長と目を合わせ、赤い液体を袖で拭う。
「俺が"落天子"となったのは、この為だ。」
そう言って2人の賊の方を見る。少し遠目の方で、もう豆袋を奴らは自分達の馬車に積み終わったようだ。
「ったく…お前のせいで豆少しダメになっちまったじゃねえか。」
「すいやせん…」
あの装飾の男が長髪には敬語。しかも殴られても何にも文句を言わない…2人は上司と部下のような関係か…
俺が2人の賊をじっと見つめていると、長髪の男がこちらに近づいてくる。
「先程までそこの男と一悶着あったようだが、村長よ。夕刻に我々は必ず来る。くれぐれも逃走など図らぬ事だ。」
長髪の男が少し心苦しそうに言う。
「サハラ盗賊団の狩りは…知ってると思うが、凄まじいからな。」
装飾の男が俺と、隣にいる村長を見てそう言うと、馬車に乗ろうとした。その寸前、
「待て!!」
俺の喉から出た2人を呼び止める声が村を突き抜ける。
「ああ?」
すぐさま装飾の男が睨みを利かす。それと同時に長髪の男も向きを変え道のど真ん中にいる俺を見る。
「(これでいい…発表のポイントは注目を集める事…!ミスでクビが飛ぶな。会社のとは違って"リアル"で…!!)」
「おい?用があるならなんか言えや、またぶん殴るぞ、お?」
「いや、用はある。お前じゃなくそこの長髪だがな」
そうして装飾の男の上司である長髪の男と目を合わす。
「なんだ、俺に用とは。」
「(食い付いた!)夕刻に来ると言っていたが来る時刻を変更してもらえないだろうか?」
「………まあ変更するかどうかは別として一応聞いてやろう。変更する時刻とは?」
俺の問いに眉をぴくりと動かし、長髪の男は質問を投げ返す。そうすると俺はゆっくりと口を開けて喋り始める。
「ああ、そうだな。こちらにも上納の準備"期間'が必要だからな、少し変更して欲しいんだ。日の入り頃に来て欲しい。」
「ああ?日の入り頃なんて、ほぼ"変わらない"だろうがよ!」
装飾の男の言葉に俺は小さく笑うと続けてこう言う。
「ああ…日の入り頃だ。"4ヶ月後"の」
「!?」
「!?」
予想外の変更時間…いや変更日に2人は驚いたが、すぐさま持ち前の刀を抜き装飾の男が銀助に向かう。
「冗談に付き合う暇ないんだよ!ブルースさんの貴重な時間を無駄にしたな罪だ。」
刀を振り上げ斬りかかろうとした瞬間、
「名案がある。」
「待て、」
「!?」
またもや俺の発言で2人の動きが止まる。
「……案とは?」
長髪の男が俺の言葉の真意を気になって、こちらを向く。
「簡単さ。4ヶ月で残りの9村合わせた上納4ヶ月分を倍にしてお前らにやる。」
「なんじゃと!?」
「正気か貴様!」
長髪だけでなく村長までも驚愕する。他の9村分までの上納を、しかも倍にするというのだ。
「…それだけの事をどうやるのだ貴様。」
「それはお前らの頭のとこで説明したいな。何回も同じ事を言うのは困るんだわ。」
「…貴様を頭に会わせる事なんてする訳ないだ」
「ああ!だから手土産にこれやるよ。」
長髪の男の言葉を遮ると村長から貰った皮袋を投げ渡す。
「なっ!?この金の量は!?」
「ブルースさん!……これは100万ゴールは下りませんよ!!」
「(俺を蹴った時、装飾は長髪の男に殴られた。そして長髪の男の顔を見ると比較的新しい傷、村を支配して安定的な収入を持っているのに傷跡ができるということは、仲間内での争いと予想。そしてその空気を作ってるという事はこいつらの頭は味方も関係なく傷つける相当な荒れ者。と"予想"!全て"予想"だが、この100万ゴールは村長曰く、農民一年分の収入。ならば奴等からしても大金。)」
そう銀助は考えると、二人の賊が大金を前に目を輝かせている間にひょいっと馬車に乗り込む。
「そんな大金を渡すくらい真剣なんだ。連れてってくれ、そしたらもっと金を払ってもいい。お前らからしても少しは面白いだろ。さぁ、今からお前らのお頭のとこに行くぞ。」
にやりと笑って荷台から見下ろして二人に[乗らないの?]なんて煽った顔もする。人は誰から煽られたら真逆の行動をしたくなるもんだ。このまま俺を無視したら、俺に負けたと意識してしまうしな。
「……首を切られても知らないぞ、行くぞレスド!」
「了解です!ブルースさん!」
勢いよく飛び乗った2人は馬の手綱を持つのであった。ひとまずここまでは作戦成功。問題は"こっからだな"。
♢♢♢
そうして馬車を走らせ、日が頭の真上よりちょっと斜めぐらいな頃、大きな山の前に着く。そこの麓には目を凝らすと何人かの人影がいた。
「"貴様ら"も付いて来い、レスド、紐は緩んでないか確認しろ」
「了解ですブルースさん!」
どうやら長髪の男はブルース、装飾の男はレスドというらしい。異世界だから当たり前だが横文字だな。と、思っていたら、貴様らに含まれた老人が隣で震えていた。
「なんで…なんで感動的な別れみたいな感じだったのにギンスケ!其方と一緒に儂はいるんじゃよ!!」
隣で村長が騒ぎ立てる。馬車で出発する直前に連れてきたのだが、少し強引すぎたかなと俺は反省の色を示した。
「ごめん村長、でも見てほしかったんだ…というか聞いて欲しいんだ、ステータスもスキルもない落天子がこの頭一つでどう戦うのか……ていうのは建前で、自分の友達とか、プレゼン仲間がいない場所での発表は結構くるんだ!」
爽やかに笑うと緊張して痙攣している足を動かし、ぶ、ブルースとレスドに付いていく。いや呼びづらいな。
「…そうか、まあじじいも気になるわ。果たしてどうやって"村を救うのか"。」
村長の目がギロリと猛った目になる。なんだ、この人も俺と同じ種類の人間じゃないか。そうして少し話すと奴らのアジト前に着く。
「おい!ブルースなんだよこいつ?」
「見せもんにでもするのか?」
嘲笑しながら俺たちを見る他の賊たち。少し腹が立つが何はともあれ、雰囲気を崩してはいけない。ふぅーと大きく深呼吸すると黙り込む。黙ってたら何も言ってこないだろ。それに…
「(こちとら今緊張してるんだよ!!)」
「ッチなんだよこいつ。おい殺すぞ。」
深く心のなかで独りになる。そうして周りの声をシャットして様々な思考を巡らした。この世界でも"あの生き物はいるかな"
「おい、お頭が対話を許可した。だが、くれぐれも発言には気をつけろよ。なんせあの人は誰にでも斬りかかるからな。」
ブルースが真剣な顔つきで言う。どうやらこいつは会話がある程度は通じるらしい。
「そうかい、脅し文句どうも。さあ案内しろよ、待ちくたびれたぜ。なあ?村長」
「…ハッハッハ!其方は面白いのぉ。あと少しで生涯を終えるこの老人ですら命惜しさに全身がヒリヒリするわ。」
そうして村長は豪快に笑い飛ばすと不安や恐怖もあるだろうが、心は嬉々としてこの状況を楽しんでいるようだった。いよいよこの世界風の"試験"だな。"考えろ…考えに考えて行動しろ"
ーーーーーーー
血生臭い部屋だ。恐らく相当の人間がここで…なんて思っていると俺達とは反対方向の扉からいかにもな巨漢が現れる。
「ふぃー…んでお前がブルースに上納なんやらの話を持ち掛けた男か、思った以上にヒョロイな。」
酒を飲みながら深々とソファーに座ると俺達も手下の賊人に強制的に座らせれる。部屋全体に目をやると、どうやらギャラリーがいるみたいだ。その中にはブルースの姿も…
「話はブルースから聞いた、この俺が納得できたら上納の期日を延長。納得できなかったらお前とそこのジジイの首を切り落として予定通り今日中に今月分を回収する。さあテメェの案を聞こうじゃねえか。この俺を前に言葉を噛むなよ、その瞬間この大剣がその舌を切り落とすからな。」
肩にかけてある大剣の柄と目が合う。
「もとより噛むつもりはない。その前に、俺は金島銀助だ。今回はよろしく。あんたの名前は?」
「知らねえのか?100人はいるあのサハラ大盗賊団頭目のサハラだ。とっとと始めろ、切り刻むぞ。」
これが通常運転なのかどうかってくらい口悪いな。そう思いつつ、巨漢が話し終えると俺は相手の名前を聞き出し、同時に自分の名前を教えた。人との対談において"誰“がなにを喋るかは重要なポイントだ。そして、俺が先手をとって話し始める。
「まず、4ヶ月分の上納を倍にするメリットだが、お前ら盗賊団は先月支配していた村のおよそ半分を焼いたらしいな。単純に考えても収入の半分がカットされて少なからずキツイはずだ。だが、この4ヶ月の上納の倍を俺らが叩き出せば実質収入は10の村で20の村分は稼げる。お前らにとっては悪い話ではない。」
「収入は確かに半分減ったが、俺の取り分は大して変わってない。」
これで馬車に乗っている時に考えていた、俺の中での1つの"辻褄が合う"
「そうか、だが末端の者どもは中々に貧乏だろ。」
「手下が貧乏?そんな事はないし、お前に何がわかる?」
フッと笑った後にサハラは軽く答えた。
「わかるとも、お前の手下の刀が錆びついていた。盗賊として大切な刀が研ぐ事もままならないとは相当だ。」
村にいた時レスドが俺を斬ろうとした時に刀は若干黒っぽい錆があったし、履いている靴も相当ボロボロだった。これ見よがしに付けていた宝石の装飾なども決して新しいものではなく、所々黒ずんでいた。
「加えて、お前は先ほど自分の"取り分は変わらない"と言っていたな?サハラ、お前の取り分がどれくらいかは知らないがお前の性格だ。どうせ結構とってるんだろ…"2割位"か?取ってる分は変わらないならその分のしわよせは部下の方にいくだろ。」
「…2割か…ガキの予想だが大枠は合ってるぞ、少しは期待できそうじゃねえか。面白い。」
初めて興味めいた顔をする。良かった。"2割"ら辺らしくて。これは単純な当てずっぽうな"予想"だったから…
今のこの対話、手応えはある。ここから即興でもなんでも良い、"思考を加速"させろ!
「部下どもの取り分を8割、お前を2割だと"仮定"すると20の村からの収入を200としてお前が2割の40とる。
そして、先月村を焼いてから村の数が10に減った。だが、取り分が"お前の分だけ"変わらないから収入が200から100になっているにもかかわらず、今現在でも40がお前のもの。
結局全体の収入100のうち半分近くの40をお前が使ってることになる。そんな状況が長く続かないのはお前だってわかるだろ。」
ガギリと歯ぎしりをするサハラ、黙っているという事は実際に"近しいもの"なんだろうな。今意識するのは情報の"正確さ"じゃなくて、ある程度数値が間違っててもいいから現状を当てにいく情報の"方向性"だな。間違いない。だって俺こいつらの現状とか知らないもん。大体合ってればいい…そこからあとは前を向いて話せば空気はこっちのもんだ。
「サハラの取り分が今現在100のうちの40だとするなら、村一つの上納が10%、10村で100%だとすると、40%…つまり村4つ分はサハラで、
残りの60%、もとい村6つ分で部下はやりくりしないといけない。しかもそこから更に村を焼くと、お前らの首がどんどん締まるぞ?」
そう言いながら周りにいるサハラの部下どもを見る。1人で半分近くも収入を取っているサハラに敵対心が生まれてきたかもな…実際にギャラリーも先程まで野次馬の如き暴れっぷりだったが静かになってきた。この現状が理不尽でキツイものだってわかってきたな?もっと焦らすか、
「概算で出しても1つの村を消すと部下共の収入が60%から50%、このままいけば6つの村を焼くだけでボスを除いた奴ら全員がタダ働きだな。
しかも1つ焼いただけでも収入が大幅ダウンだ。わかってるのか?お前ら盗賊団はこれ以上村を焼いたらドンドン飢え死にしていくぞ。
逆に俺の提案に乗れば、4ヶ月分の上納を倍にする!つまり。ここにいる全員の取り分が"倍"になるってことだ!」
「おいガキ少し黙れ!!」
サハラはそう言うが俺は黙らない!
「そう…俺はさっきから村が増えようが減ろうが取り分は変わらないサハラじゃなく、その部下のお前らの収入を"倍"にしてやるという話を持ちかけてるんだよ!!!」
急に周りがざわつき出す。多くのサハラ盗賊団の者が今の取り分が倍になると知ったら興奮せずにはいられないのだ。刀を抜きかけたサハラも周りを見て手を酒瓶に置く。やはりミスったら本当にクビが飛ぶな。
そんな中ブルースと村長は銀助の発表強さを大きく感じ取っていた。
「(普段から気に食わない事があったら問答無用で斬りかかる頭が黙っている…?それが更にギンスケの言っている事が事実だと証明してるな。だが、そうか…村にいた時に俺じゃなく"頭に直接説明したかった"のは盗賊団の現状を知る頭の"反応"も見たかったんだ。感情が表に出やすい頭の一つ一つの反応から今言っていることが"現実"から"想像"にそれないように…こいつ…恐らく部分部分を即興で変えてる…!?)」
敵のブルースも感心してしまうような銀助の発言は無論、この場で唯一味方の村長も…
「(…昔は商人として多くの者を見てきた…がこれ程の男か、ギンスケ…豆粒のような情報を、予想に予想を積み重ねて、なんにも知らない盗賊団の現状をこの場で手繰り寄せてきおった…!!これはスキルもステータスも要らんかもな……して、当の本人はまた何か考えているらしいのぉ。)」
そうして隣にいる銀助を村長が見てみると発表の熱が入り、ソファーから立ち上がっていた。先程まで緊張で震えてた足も、発表で体温が上がったせいか、一切の震えはなかった。頭にも多くの酸素が運ばれ、どんどん調子が出てきたのだ。
「(奴らからしたらあまり計算はできないかもしれないが、理解はしたはずだ。俺の話に乗れば稼ぎが倍になると…!)」
人は理解が追いついていない物事に関して、頭がそれを理解しようとした時どうしても結果に目が向く。
そして今回の銀助の提案は奴らからして"良い"か"悪い"は収入が倍になるという事からもう決まっていた。ここで更に決めにいく。
「だがサハラも、その部下共も心配しているだろ!どうやって上納を倍にするのかを!」
[たしかに]なんて声が周りから聞こえる。不安要素の誘導でこの話の不安点は"これだけ"だと錯覚させる。これ以外突かれたらボロが出てしまう。村全体の総意なのかどうかとかそこら辺はできるだけ指摘されたくない。
俺はこの場でこいつらに向けて説明しにきたのではなく、こいつらを納得させにきている…!だから全てを話す必要も、そうするつもりもない…!
「今回の件は2つポイントがある。」
ここはさっきと違って要点よく話してある程度理解してもらわないと案が却下されちまうからな。話のポイントを作る。
「1つ目…俺は"落天子"だ!!」
「「「ら、落天子だぁ!?」」」
村長以外のその場にいる者全員に大きなどよめきが起こる。勿論サハラ含め…奴自身も目を丸くさせていた。さっきから驚きの連発だろうな。
「知っている者もいるであろう!落天子はこの世界に生まれ落ちた時、稀有なステータスやスキルを持った状態で現れる!!それ故に俺なら4ヶ月分の上納を倍にして叩き出せる!」
俺にはそんな稀有なスキルなんかはないが、周りの人間からすれば、"落天子"という一種のブランドを持っている俺の言葉は途端に凄みが出てくる。現実世界でも[凄い人の言っている事は納得がしやすい。]っていう現象はある。それはその人も凄いが、功績や社会的地位などのブランドもあるな。人の先入観を利用したハロー効果に似たものだ。
「ッチ!狼狽えるな馬鹿野郎ども!!そもそもどうやってお前が倍にできるというんだ!保証なんて1つもねえ!その期間の間に逃げるかも知らねえだろ!!」
サハラが頭目として大きく叫ぶと俺を殺す勢いで反論してきた。そうだ、保証もないし逃走の危険性もある。先月にこの戦況なら"詰み"だな。
「…サハラお前らのところはもう収入を減らす事はできない。しかも、先月の台風の影響でコマメ村以外の9村の中でも上納がキツイところがあるかもしれない。これ以上村を燃やせばお前らのこの地での未来はないしな。結局お前は俺の案に乗らないと死ぬんだよ。」
少し低くドスを効かせた声を意識してサハラに呼びかける。先月と今月で違うことは奴らの収入源だ。最早10しかない村を1つでも焼けばキツイことはこいつは知っている。しかも、村長が[先月の台風の影響で豆の収穫が難しい]という情報から、他村もそうであるかもしれないことをチラつかせる。この情報で、更に盗賊団が経営難の崖っぷちということを全体に再認識させる。
それに、ここで俺の話に乗らないと盗賊団の中で金の問題で反乱が起きるかもしれないしな。だからこんな俺の提案をわざわざ場を設けて聞いたのだろう。
「お前が落天子だという証明もない!それに、上納を簡単に倍にできたら苦労しないんだよ!」
サハラの今までの経験と苦労を感じさせる、怒りに満ちた発言だった。
「いや、できる!全ての物事は、それに対して十二分に学び、経験を積めばできる。しかも俺はこの世界に来る前の、"元いた世界"で投資を初め、様々な経験も積んだ。それをフル活用してコマメ村の"特性"を活かした新しい稼ぎ方をする!それが2つ目のポイントだ。」
村長…あんたの所の特産品が収穫量も収穫期間も"あの生物"と相性が良い豆で助かったよ。
「俺は…"鶏"を育てる!」
「「「、、、、、、、、、、、、、」」」」
さっきまでの熱気が嘘かのように、急激な温度変化が訪れる。
「…鶏…そんなものコマメ村も、それ以外の村も既に育てている、既存の投資の拡張だけじゃ倍を叩き出すなんて無理だぞ。」
ブルースが横から口を挟む。俺の説明をみんな気になっているようで、ブルースを見るついでに俺が周りを見渡しても、必ず賊の奴らと目が合う…ギャラリー増えてね…?
「ただ単に鶏を育てるだけじゃ意味がないのは俺も承知している。俺がやるのは村開催の"フェスティバル"だ!」
「フェスティバル…だと。」
少し困惑するブルースとは対照的で、隣でパン!と手を足に叩く音がした。どうやら村長は理解したらしいらしい。
「そうきたかぁぁ〜〜〜…ギンスケ…其方というのは〜〜」
「どういう事だ…?フェスで鶏肉を売ってどれだけ稼げると思ってんだ?」
サハラもここまできたら怒りより興味や不思議が先行しているらしかった。
「コマメ村の大量の豆を使って鶏を育て、それを使った肉料理を中心にフェスティバルを開催。そこに併せて、他都市の様々な出張店を展開しつつ、町人などの来客者に酒と飯でたらふく金を落としてもらう。更には遠方から塩やらなんやらを仕入れて飯で使用し、希少性も持たせる。そして、この地域の村を宿泊地とし三日三晩やるのさ。」
「…なんとも壮大でご立派…だが初期費用はどうするんだギンスケとかいうガキ。」
サハラの問いに俺は自信気に答える。
「さっきお前らの手下に100万ゴール渡したが…俺にはもっと大量に金がある。それを使うのさ。」
金の目処は正直かなり運だが一応ついてる。そしてこの場で先ほど100万ゴールの大金が味方してくれて、俺の財源も信頼性が出てくる。それが俺の全財産だけど…
「頭、こいつの言う話はかなり悪くないのでは、それに我々もこの先も賊をやっていくにあたってここで大きく収入を上げとけば、メリットも大きいかと…」
ブルースが俺に賛成的な意見を出すと周りも頷いているのが大多数だ。いい仕事するじゃんブルース…!あとちょっとだ…!!
「サハラ、貴様の言いたいこともわかる。だが上納がくるまでの4ヶ月は耐えて貰いたい。監視も付けてもらっていい。俺の献上した100万ゴールと盗賊団の蓄えを使ってなんとかまって欲しい。」
俺が物腰低く提案する。奴からしたら自分が偉く、相手が低い。そして強気な人間は最後の主導権を渡してやると上手く納得する場合が多い。
「……」
「…」
しばらく2人の沈黙が続く。ここでこれまで怒涛の勢いの銀助が口を止めることで、奴が主導権を握っていると最後に勘違いしてほしいからだ。
「仮に貴様が倍にしてくるとしても4ヶ月は待てないわ。」
左手に持った酒瓶を自分の口に合わせる。
「100人をまとめ上げた貴様の腕なら、4ヶ月後の上納が倍になるというので部下達を束ねられるだろう?」
俺がいかにも当たり前のように聞く。ここで相手を持ち上げて王手を指す。
「貴様らを待っている間の期間の上納が倍になっても準備期間が4ヶ月ではその前に死ぬって言ってるんだよ。」
「4ヶ月後にその分の上納が倍になる。その期間が過ぎたら貴様らの収入は爆増する。」
「それでもだ!!こいつらがそんな期間まで待てる訳ないだろうが!勿論俺もだ!この話はなしに」
「3ヶ月と20日!」
サハラの最後の言葉を全力で切ると無理やり期間を変えて言う。ここでその結論は全てが水泡に還す。
「…ッチ……待つ期間は2ヶ」
「頼む!3ヶ月と10日だ!!」
「…チッ!2ヶ月と20日だ!」
「3ヶ月と5日でどうだ!」
サハラと銀助が値引き交渉のように、掛け合いをしている、その光景を見て村長は鳥肌が止まらなかった。
「(あのサハラ相手に口で渡り合った挙句、自身の落天子のブランドと交渉術でサハラの
"ギンスケの案を受けるか、却下するかを決める"
というのがこの場の題目だったのにいつのまにか"準備期間の長さをどうするか"にすり替わっている…!?これも其方の作戦か…!?)」
銀助は元からそれを予想し最終的に照準を"準備期間の長さをどうするか"まで変えきったのだ。
「……わかった、サハラ。3ヶ月後に上納を倍にして献上する事を約束する。」
「………よいだろう!」
悔しそうに銀助が言うと満足気にドン!と机を叩き自身の思い通りにいったと勘違いしたサハラは2人の縄を解き、解放する。
♢♢♢
「ふぅーーーーーーーーーー」
アジト付近の平原で大きく息を吐いて背筋を伸ばすと地面に倒れ込む。
「村長ーーー周りに誰もいないよねー??」
「ああ、いない。それにしても行きも帰りも馬車で送迎なんて優しいのぉ。」
俺らの監視役として一応ブルースとレスドが就くらしく、コマメ村帰還のついでに乗せてくれるらしい。あの2人が来るまで待機中だ。
「はぁ…村長…俺頑張ったよ…とりあえず村に帰ったら今日のうちに出発しないと。期間が3ヶ月だもんな〜」
「そこが唯一お主の上手くいかなかった点じゃな、」
村長も銀助の隣に腰を落とすとわしゃわしゃと頭を撫でる。
「んいや、俺は元々3ヶ月の予定だったよ、」
「なに!?…じゃあ何故4ヶ月と言ったのじゃ…?」
最後に銀助の口からビックリ発言が出てきた。
「ほら…あの場で俺の思い通りにいってたじゃん?でも人間…特にサハラとかの我が強い人間は最後相手を否定して自分の意見を通してから終わらせたいのよ。いるでしょ?飲み会で
[まあお前の考えも一理あるけど、俺は〜]
ってな感じで相手の意見ばっか否定する先輩とかさ…だから最後期間の話に持ってった時に変更してくるだろうから、丁度俺の欲しい期間と合うように最初のうちから4ヶ月って言っといたのよ。」
村長がほぉ〜と納得したような表情をする。
「飲み会の話はわからないが…そうか…そこまで読んでたのか…お主にとってその口こそが最大の強みではないか?」
「いや〜俺の今回の発表はプレゼンと違って、上納を倍にする方法を説明しただけで詳細な事はあの場で突かれたら終わりだったよ。フェスに誰の店があるのかとか、何人くるかの予想もできてなかったからさ…」
はははと軽く笑うと村長は銀助のプレゼンとかの言葉はわからないが、内容は理解できていた。村長自身もフェスティバルをどうするか詳細な事は知りたかったが…そうか…今から決めるのかなんて重い顔もしていた。
「まあ!何はともあれ3ヶ月の猶予ができたから早速村の方でやってもらいたいものがあるんだけ」
「ちょっといいか。」
銀助が喋っている途中に背後から口を挟んできた。この声はきっと…
「ブルース…だっけか?」
「よく名前覚えてるな。記憶力いいのな。」
銀助が後ろ向きに問いかけた言葉に応答したブルースは銀助の隣に座ってきた。
「隣座るなよ…てか人の名前くらいは覚えるさ、特にあんたは一際あの場の中でも目立ってた。お前が一番まともそうだったからな」
「そうか?俺はお前が一番目立ってたと思うがな。」
「その通り!!こやつの声とオーラはあのサハラよりも存在感はあったわ!!」
村長がブルースにそう話しかけると拳を合わせる、グータッチってやつだ……え…??
「なんでそこの間仲良いの…???」
「なんでって…村長とはもう何年も前から上納の時とかに顔合わせるし、世話になってるからな。」
「そうじゃぞ!それにしても、おぬしの弟分のレスド!どうにかならんのか!ギンスケを殴って…何かあったら大変じゃろうが!!」
孫を見るような目でこちらを見る…いやそれよりも…え?……これだから老人は、すーぐ誰とでも仲良くなるし、話も長いし…
「さあ、村長もギンスケも馬車に乗れ、レスドがまたキレちまうからな」
「呼びました?」
レスドがブルースの隣に現れる。どうやら本当にブルースを尊敬しているようで、あんな殴られ方をしたのににこにこの笑顔でブルースに目を合わす。
「お、丁度いい所にレスドが、全く…なんだかんだいってブルースがレスドをあんなに本気で…殴った時は驚いたぞ」
「痛かったな〜チラッ」
村長の言葉に合わせて、レスドが軽く冗談を言う、本気で尊敬してるっぽいわ。これ。
「あの時は必死だったんだよ。明らかに上納分に足りないから、少しでもあの豆の量で許してもらえるよう頭に取り次ぐつもりだったしな。それをレスドは簡単に吹っ飛ばして…」
「ギンスケの野郎がいて…舐められちゃいけないようにって思って…すいやせん…豆無駄にして…」
「俺に謝れよ!!!村長もなんとか言ってくだ」
「るせぇガキが!謝る謝んないとかうるさいわ!めんどくさい女か!」
レスドは俺に当たりが強いみたいだ。
「おーそう言うレスドは気になる女性とかおらんのか?」
おいおい村長。さっきまで俺を殴ったレスドに怒ってたろうが!!なんで恋バナしてるんだよ!
「お?いるの?聞かせろよレスド」
「ちょっ!ブルースさんー…実は…」
いるの!?盗賊やってても好きな女いるの!?どこで知り合ってんだよ、レスドみたいなやつはそういうのには疎いんじゃないの…?
「いるのか!?その子はどんな子じゃ!」
「えーー誰にも言わないでくださいよ〜ブルースさんもお願いしますよー!」
「任せとけって」
3人の会話に付いていけないのは僕だけでしょうか?読者の皆さんも仲間だと思います。つかそんだけ仲良いならもっと仲良い雰囲気出しとけよ!上納足りないから村長が斬られちゃうかと思ったよ!
「はぁあー…心配して損した…」
「なんじゃ溜め息なんかついて、恋か?お?」
村長がニヤニヤと笑って肩をさすってくる。
「お前恋下手そうだから村長にでも聞いてもらえ。俺も相談してたりしたが、この人年食ってる分経験豊富なアドバイスしてくれるぞ。」
「お前モテない上に恋下手かよ通りで、フッ」
「レスドまじでなんなんこいつ!!」
レスドに鼻で笑われるのが腹立つ……
「儂も昔はモテモテじゃったが…ギンスケはモテなさそうじゃな。彼女と話す時も今日みたいにハキハキと喋って店内うるさくしそうじゃし。」
「村長の例えわかる。お前のそんな姿が目に浮かぶぜ…」
「間違いないですブルースさん!」
「え?斬っていい?」
こいつら案外仲良しな上にめちゃくちゃ腹立ちました。彼女いたことないけど悪いか!?なあそんなに恥ずかしいことでもな
♢♢♢
俺が不機嫌そうに馬車に乗ってコマメ村に到着する頃にはすっかり日が赤く染まり、地平線に沈もうとしていた。本当だったらこの時刻に村が終わっていたのだ…そう考えると少しは自分を褒めてやりたい。
「じゃ、3ヶ月後、コマメ村含めた10村分の3ヶ月分の上納を倍にして納めてもらう。監視として俺とレスドがコマメ村に就く。そのほかの村から人質もとる。10村のうち、少しでも異変がある村がいたらコマメ村の住人と人質を全員斬れと言われているからそのつもりで。」
ブルースはそう言うとレスドと一緒に村長の家へ入る今日からあそこで寝泊まりするみたいだ。さっきと全然雰囲気違うじゃん…
「おい?ギンスケ。たとえ寝込みを襲っても毎日くる確認役がいるからそん時村は全滅だ。変な考えを起こすなよ。あ、寝込みなんて襲う力は無いか、ケッケッケ。」
うん。レスド、こいつは変わらない。相変わらず腹立つしなによりうるさい。
「うるさいな、襲うわけないだろ。」
忠告のように俺を睨みつけて言うと家の中に入っていく。そして扉が閉じようとした最後、ひょいっとブルースが顔を出すと
「おいギンスケ。俺はお前にあんだけ冗談言っていたが、3ヶ月後どうなるにしても、あの頭と会って殺されずに弁舌を交わしきるのは俺からしても驚愕ものだ。少しはやるじゃないか。」
「ふん、賊のお前から貰う褒め言葉は俺にとっては不名誉極まりない。それに結局結果が全てだ。」
俺が真剣に言葉を吐くと同時にブルースと目を合わす。
「ああ、そうだ。結局どれだけ口が上手くても、結果が伴わなかったら例え盗賊団が崩壊しようが、お前含めこの地域の村人の"命はない"覚えとけ。」
捨て台詞を吐くと扉を静かに閉め切る。先ほどまでふざけてていたがブルースも、レスドも、腐っても賊だ。俺が失敗したら俺も村長も村民も殺す覚悟はあるんだろう。それは深く重く理解しているが、そうか。ついさっきまで大学生の俺が人の命を…そう考えると村長に肩をトントンと叩かれる。
「ギンスケ…」
そうだ、コマメ村の人たちは何があったのか知らないんだ…それを思い出した俺は少し瞳を閉じて整理をすると話し始める。
「村長は知っているがサハラとの約束で3ヶ月後に上納を倍にする事になった。それの計画は立てているし俺は勿論全力で努力するつもりだ。ただ、もし失敗したら…あなた方だけでなく他9村全ての人間の命を…俺1人の勝手で……本当に申し訳ない!!」
俺がそう言いながら土下座すると村長がいつものようにニコリと笑うと、
「この地域の人間の命を救おうと全力であのサハラに挑んだ若者を誰が責めようか。我らは元より、他の9村も今日で各々逃走しようと村も捨てるはずだったが…其方のお陰で村を捨てずに、まだ微かに希望が持てた。ありがとう…」
村長含め全員の村民が深々と頭を下げる。俺はそれを見て、俺自身も立ち上がり大きく頭を下げると村長に話しかける。
「この国で一番の肉の生産量はどこなんだ村長。」
「それは決まっておる、何百年も前から肉の宝庫と知られているルマーリナ国西端の地、オミール地域じゃ。牛も豚も羊も山羊も鶏も、ありとあらゆる家畜が揃っとる。」
「そうか。次に王都は…この国の大臣どもがいる処はどこだ?」
「このコマメ村より北に15里、西に10里に多くの商人、技術者、民、そして数多の権力者と大臣が住まう"平和の王都ドーウ"。」
※一里約4km
オミール地域と王都ドーウか…俺の目的地はそこだ。
「わかった村長さん。今すぐ馬と二樽分の豆を袋に入れて俺に"預けくれ"それと、俺の"相棒"も。」
村長さんがわかったと言うと、急いで村民達が荷造りをした。その間に村長さんからこの国の文化、情勢、人についてなどを教えてもらい、地図と、村から限界まで捻出した金銭も貰った。この人には本当にお世話になる。
「ギンスケ、残念だが、この村には1頭のロバしかいない。馬の様な早い乗り物はとても…」
「いや、ロバでいい。古代より足腰が頑丈で、荷を運ぶ事には馬よりも強い、こいつだけで十分さ。」
そうしてロバの顔に顔を当てる。そうだ、なんやかんやあったがここから始めるんだ。俺の異世界転生は
「村長!俺が帰ってくる前にこの村を頼んだぞ!」
「もちろん。しかし本当に先程話した"あの案"でいいのか?」
村長には俺がいない間にやっておいて欲しい事を事細かに伝えてある。心配はない。
「ああ!この村を頼んだぞ!村長!」
そうしてロバの手綱を叩くと勢いよく走り始める。俺の商人プレイの始まりだ!!
金島銀助はサハラ盗賊団頭目、サハラとの舌戦の日、絶体絶命だったコマメ村を救い
"村の英雄になる"
つづく
次回!
フェスティバル開催に向けて資金集め!王都ドーウで某動画のようにファンディング!果たして資金は集まるのか…!?そして、よくよく考えてみたら、鶏とかどうやって運ぶの?……頑張れ銀助!魔物とかにも遭遇するけど…頑張れ銀助!
好評でしたら次回書きます!とりあえず、第一話、駄文を読んでいただきありがとうございました!




