第四章〜神様は、どちらだ?
御早う御座います。書きました。宜しく。
どえやら最初に訪れようとしている客は、旧来の『お客様は神様だ』的な思考回路を持ったような頭の硬い人間でありそうだった。
「迎撃しなければならない。そうでなけれぼ店舗移転の意味がまるでない。心していくよ、硝子クン」
真臣が軍隊の指揮官の口調で言い放った。
「はい。店長。でもどのよえな手を使いましょう。お客様は神様ではありませんが、紛れもなく客ではあります。あまり、手荒い仕方をなさいますと・・・」
硝子は言い淀んだようだった。真臣は言葉を被せる。
「なぁに。構わんよ。この店では、コンビニ店員は人間だが神様だ。そう言い張る為に投資をしたのだから、ね。下手には出んよ」
真臣はレジスターを調整していた手を止め、つとエントランスから店外へと出ていった。
「何をなさるおつもりで?」
「まあ、見てなさい。最初はお手本だ。このようにお客様には対処なさい、というね」
言いながら、徐ろに、倉庫のドアを開けた。
「それは・・・」
硝子が唾を呑んだようだった。
と。
ガラガラ~ゴロゴロ!
という激しい音がし始めた。
そして音とともに、急角度に切り拓かれたばかりのような岩肌剥き出しの斜面を、拳よって分はあろうかという石が転がり落ち始めたではないか。
「ははっ!ざまあみろ!これに耐えられるかな?客どもめ。これに耐えて登ってこられるようじゃなきゃうちの店に入る資格はないのだぜ!どうだ!この趣向は?なかなか愉しいだろう?え?硝子クン」
真臣はなにかに取り憑かれたかのように不気味な笑い声を立てた。
有り難う御座いました。