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ケーキを食べ終えると、舞が躊躇しながら聞いてきた。
「私ね、噂で聞いたんだけど、この写真館って過去にタイムトラベル出来るって聞いたんだけど…まさか本当じゃないよね」
舞の耳にまで入るとは思わず黙ってしまった。
どうしよう…
言うべきか、言わないべきか。
でも、舞なら大丈夫だよね。
「うん、ほんとだよ」
「ま、まじか」
呆然としている舞。
相当驚いたようだった。
最初は半信半疑だったのだけれど、次第に話していくにつれ信じてくれた。
あの時祖父が話してくれたことやここに来たお客さんたちの話しなんかもしたりして何とか納得?してくれたようだった。
「ふぅーん、あの古いカメラを使うと過去に戻れるってことだよね」
「そういうこと、でもなんで突然そんなこと聞くの?」
舞が口を紡ぐ。
「実は会いたい人がいるんだよね」
舞にどんな人かと聞くと話してくれた。
その人は、舞のお婆ちゃんのお見合いに言った時に出会った男の子。
その男の子は、小児科の病棟に入院していて病院の中庭でぶつかり、話してみると共通点が多く、会うたび話したり遊んだりしていたそうだ。
名前は、雄大君といい、久しぶりにお見合いに行くともう彼は亡くなってしまっていてお別れを言うことが出来なかったそうだ。
しばらくすると、通常に戻った舞にこの写真館についての噂を話すことにした。
「だからさ、もう1度会いたいと思って…それに伝えたいことがあるの…」
「うん、分かったよ。それならやろう!過去に戻って伝えてきなよ」
私は戻る方法や注意事項を舞に伝えると、次の満月の日に行うことになった。
「何か、緊張してきた…」
舞はなんだかワクワクというかオドオドしている、それを横目に机にある食器を運んでいく。
「じゃ、片付けするね」
立ち上がりと食器を洗い始める。
台所から舞の方を振り返る、何だかそわそわした舞がそこにいる。
舞の気持ちが彼に届くと良いなぁ
約束の日まであと数日。