14
地元に帰った俺は、5年ぶりの実家に向かう道を歩いていた。
正直今でも信じられない。
どんな顔で会えば良いのか…
さっきまで小さく見えていた家がどんどん大きくなっていく。
立ち止まり、引き返そうとする。
すると、後ろから声がする。
「ともくん…ともくん来てくれたんだ」
振り返ると、雪が立っていた。
「久しぶりだな、元気だったか?」
「うん。ともくんこそ、元気だった…?」
雪は躊躇いながらも口を開いた。
「ともくん、一緒に行こう。傍についてるから」
なかなか足が前にでない。
「大丈夫。行こう」
雪が俺の手を握り、歩き出す。
玄関近くには大勢の人たちがいる。
それだけ母は慕われていたのだろう。
みんなが驚いている顔が見える。
やっぱり来るんじゃなかった。
雪の顔を見ると、大丈夫そういってくれている。
仏壇の飾られた部屋に行くと、親父と姉貴がいた。
驚いた顔をしていた。
親父が立ち上がり、近づいてくる。
思わず身構えて、殴られるじゃないかと思った。
「ずっと連絡をせず心配していたんだぞ」
姉貴も立ち上がる。
「とも、よかった。ほんとに…よかった」
あの頃と違う親父をみて拍子抜けしてしまった。
「母さんのところに…」
親父から離れると母さんのもとに歩いていく。
「母さん…」
あの日みた面影はすっかり変わり果てていた。
顔が痩せて、あの頃の元気な頬ではなくなっていた。
「ごめん、母さん。こんなに遅くなって…ごめん」
俺はしばらくの間、傍を離れることが出来なかった。
だけど違った。
親父は優しく抱き締めてくれた。