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月に一度満月の夜の日、その満月の日だけは真夜中の間も開く写真館がある。
その写真館は過去に戻ることができるという不思議な写真館があるのだという。
今夜は満月、その写真館の窓から光が漏れている。
それは誰もが忘れたくない大切な記憶なのです。
この世には、不思議な出来事が沢山ある。
でもそれはちっぽけな出来事に過ぎないのかもしれない。
賑わう大通りを抜けるとアーケード商店街が見えてくる、そこには沢山のお店が軒を連ねている。
優しい男性店主がいる青果店とコロッケが美味しいことで評判のお惣菜屋の間にある細い小道を抜けた先に急な坂道が現れるその坂を登った先の丘にひっそりと佇む昭和の時代を感じることができる古びた写真館がある。
その写真館はコンクリート作りで二階建てになっており、ショーインドには色褪せた家族写真や七五三写真などの写真たちが飾られている。
この写真館の名は、『夜明写真館』という。
そしてこの写真館の前を道を掃除しているのが、この写真館の店主である私、月乃美夜。
ここは、私の祖父が営んでいた写真館である。
色々あってこの写真館を一年前に亡くなった祖父の後を引き継ぐことになったのである。
この写真館には秘密がある。
それは、月に一度満月の夜になると過去に戻ることが出来るのだ。
今から話す物語は、とある町にある古びた写真館に訪れ人々の物語である。
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