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キスは何回したら恋をする?  作者: 秋元智也
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7話

回収されると、各席から落胆の声が聞こえてくる。


「嘘だ〜、簡単じゃないじゃん〜」

「おれ、今回やべーよ!」

「俺も、俺も!答えられたの数問だぞ?時間もなかったし…」


「さて、お前達はもう少し慌てた方がいいぞ〜。今の受験生は今までに比べようも

 ないくらいに難しくなってるんだ。もうちょっと緊張感を持って日々を過ごして

 ほしい。では、採点してくぞ〜」


その場で丸つけを始める角田に前の席の生徒は、採点を見ながらおしゃべりを始め

たのだった。


「おぉーー!マジかよ!」

「なんだよ!何を見たんだよ!」


不安になっている生徒は自分の事かと不安になる。


全部の採点を終えると静かにするように指示した。


「さぁ〜今から返すが…この中で8人だけ居残り組みがいる。今から返す人は、今日

 放課後残るように!では鈴木〜、市川〜、竹中兄〜…」


そのまま名前をつづけられると、呼ばれなかった佐伯はホッと胸を撫で下ろした。


「おい、涼お前だけ入ってね〜じゃん!」

「俺はしっかり勉強してるからな!」

「おぃ!ずりーだろ!」


「おい!そこ静かにしろ!それと佐伯涼、お前はギリギリだっただけで自慢できる

 訳じゃないからな!それと、欲しいが、一問間違えなのが欲しいな〜竹中!よく

 頑張ったな!」


そう言って孝哉が呼ばれたのだった。

成績はいつも上位だったけど、見た目で誰も相手にされなかっただけなので、髪を

切って雰囲気が変わると自ずと皆んなの視線が集まってしまう。


一斉に見られるとビクビクと怯えながら前に取りに行った。

先生は誇らしげに背中をバンバン叩くと上機嫌だった。


同じ竹中でも、兄は居残り組み、弟は上位組みだった。


「兄弟って言っても双子なのに、頭の出来は違うんだな?」


ポツリと聞こえた声に雪弥が席を立ち上がると机を蹴り飛ばした。


「おい、今喋ったやつ誰だ?」

「竹中!席に付け!」


角田先生の言葉に雪弥は舌打ちをすると机を戻し席に着く。

昼になると孝哉はいつものようにそそくさと出て行ってしまう。


今日はなんだかんだとクラスメイトの視線が集まったせいか居心地が悪かったのだろう。

いつのまにか出て行ってしまっていた。


「雪弥〜屋上行こうぜ〜」

「あぁ…そうだな」


市川慎也に呼ばれ、一緒に屋上へと来ていた。

佐伯涼が遅れて来ると、購買でパンを買ってきたらしい。


「今日は弁当じゃないんだな?」

「あぁ、作り忘れたって言われた」

「珍しいな?姉ちゃんの分もあるだろ?」


佐伯には一個上に姉がいる。

誰でも知っている周知の事実だった。


佐伯兄弟といえば、美人姉弟で知られている。

だが、誰にも振り向かない弟に、理想の高い姉という噂があった。


実際には自分が好きになるような人が現れないだけ…と本人達は言っている。


「そういやさ〜この前俺らがカラオケ行った日あるじゃん?その日に姉ちゃんがバイト

 の先輩に騙されたらしくて変な男に売られるところだったらしいんだけど、その時助

 けてくれた男がいるんだって〜それがこの学校の生徒だったんだよ!」

「マジか〜勇気あるな〜」

「だな〜」


他人事のように話すと教室へと戻った。


「ねー竹中くん、彼女いるの?私と付き合わない?」

「えっ…あ、あのっ…」

「今いないんでしょ?ならいいじゃん?いいよね?」

「えっ、えっ!そ、それは…」


女子が孝弥を取り囲むように立っていた。


「おい!何やってんだよ!お前ら〜勝手に無理強いしてんじゃねーよ!それに孝哉も、

 嫌ならはっきりと言えよ!」

「あ、ご、ごめん…」

「怒ってね〜よ。」


雪弥が声を荒げたせいで、女子達も一歩後ずさった。

孝哉はその隙に逃げるように雪弥の後ろに隠れた。


「お前も大変だな?」

「いつもは…こんな事ないかったのに…どうして?」


佐伯に言われると自分でも分かっていないらしい。

孝哉自身自分の事をあまり自信が持てないせいか、見目がいい事を自覚していない。


「はぁ〜、本当に双子って言っても性格違うもんだな〜?」

「あぁ?なんか言ったか?」

「なんでもないよ!雪弥の性格を少しでも弟に分けてやれたらって話だよ!」


佐伯も、市川もため息混じりの息を吐き出すと雪弥と孝哉を見比べたのだった。



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