5話
雪弥は家に帰ると、たまたまトイレに降りてきた母親と出会してしまった。
「あっ…」
「雪弥、あんたこんな時間までどこに行ってたの!!」
タイミングが悪かった。
今更逃げる事も出来ず、引っ張られるように居間に連れて行かれると1時間
くらい説教を聞かされる事となった。
やっと解放されると風呂に入ってやっと部屋に戻ってきた。
部屋の真ん中に仕切り用のカーテンを開けると机に向かって勉強をしていた
孝哉が振り向いた。
「遅かったね?何かあった?」
「あぁ、母さんに見つかって説教食らった〜。マジで最悪。」
「だから早く帰ってきてって言ったじゃん?」
視線を戻すと再び机に向かう。
そして少し背伸びをすると教科書を閉じた。
「なぁ〜孝哉。お前髪切った?髪も色染めたのか?」
「うん、おかしいかな〜?」
「いや、可愛いよ。でも…これは」
「ん?」
「孝哉が可愛いのを知ってるのは俺だけだったのが、みんなにも見えるよう
になるのはなんだか悔しいなって思ってな〜」
そういうと、近づいてきて抱き寄せた。
細い腰に触れるとゆっくりと身体のラインに沿って触れていく。
「もうちょっと肉をつけてもいいかな〜。顔上げて?」
「んっ…うん」
目の前に雪弥の顔が来るとドキッとしてしまう。
双子でそっくりだと言われるが、それでもこんなイケメンが目の前にいれば
ドキドキしない訳はない。
ゆっくりと近づいてくると唇に温かい感触が当たる。
濡れた舌で軽く舐められるとすぐに離れた。
首筋から胸元に雪弥が顔を埋めるとクンクンッと匂いを嗅いでくる。
「やっぱりいい匂いだな…」
「そう?同じボディーソープ使ってるんだし一緒でしょ?」
「違う…孝哉の匂い…」
「もうっ、いい加減に寝るよ!」
犬のように甘えてくる雪弥に孝哉はくすぐったくて離れようとする。
散々鼻をつけて匂いを確かめると離れていった。
学校では絶対に見せないこんな雪弥を知っているのは孝哉だけだった。
「甘えん坊なんだから〜」
「いいだろ?孝哉の匂い好きなんだよ。」
毎日このようにキスして匂いを嗅がれて、恥ずかしいけどなんとも言えない
感情に揺れ動かされる。
自分のベッドに行くとカーテンを閉めて電気を消した。
明日は小テストがあると言っていたが雪弥は大丈夫なのだろうか?
少しの心配をしながらゆっくりと瞼を閉じたのだった。
朝起きるとカーテンを開けると窓からの光取り入れる。
「ゆき〜起きて!また怒られるよ!」
「ん〜〜〜、おはようのちゅーは?」
「もうっ、寝ぼけてるの?」
雪弥が両手を伸ばすと、起き上がる為かと思い孝哉はその手を取った。
勿論勢いよく引っ張られると雪弥の胸の中にすっぽりとおさまった。
「ちょっと!時間!」
「もうちょっとだけっ…こっち向いて!」
抱き寄せられると唇を重ねる。
ただ、重ねるだけの軽いキス。
その間も腰を撫でられ、ぺったんこの胸を弄られる。
「もう!いい加減にしてよ!僕も怒られるでしょ!」
これ以上孝哉を拘束すると朝ごはんまで食いっぱぐれそうだったので
早々に離した。
「早く降りて来なよ!」
「はいはい」
あまり朝ごはんを食べない雪弥に取ってはもっと、孝哉に触れていた
かったが、孝哉は毎朝しっかり朝食を食べる派なのでそうもいかなか
った。