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キスは何回したら恋をする?  作者: 秋元智也
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2話

放課になると、席を立って出て行こうとする孝哉を見つけると雪弥が

慌てて呼び止めたのだった。


「たかや〜ちょっと、今日遅くなるって母さんに言っといて〜、飯も

 要らないって言っていいから!」

「昨日もそう言ってなかった?早く帰って来なよ?」

「ちょっと友達と出かけるからいいだろ?」

「…うん」


それだけ言うと見向きもしない。

孝哉は何かいいたげな表情を浮かべたが、そのまま出ていった。

多分放課後は図書室だろう。


静かで心休まる癒しの場所だった。

奥の席に座ると横に誰かが座った。


「やぁ〜またお兄ちゃんの我儘かな?」

「うん…多分友達と遅くなるって…この前も追試受けてたのに…」

「心配?」

「そうじゃないけど…僕も親から怒られるから…」

「ダメなお兄ちゃんを持つと大変だな?」


横に座ったのは有野悠。

隣のクラスの孝哉の友人だった。


「この前教えてもらったの読んだけど面白いな?この時代でよくここ

 まで細かい描写を描こうと思ったよな〜、凄い着眼点だと思うよ」

「でしょ?僕も読んでて思った。現代ならわかるんだけど…この人の

 作品ってね、こう言うのもあるんだなって思っちゃうよね〜」


好きなものを嬉しそうに話す孝哉はいつもおどおどしている時より生

き生きしている。


「孝哉くんってさ〜顔だけ見ればお兄ちゃんとそっくりなのにな〜?」

「それは…双子だもん…」

「でも、断然兄の方は俺は嫌いだ!孝哉くんだって思う事あるだろ?」

「そんな事…ないよ?いつも僕が悪くて…多分それで怒らせちゃってる

 だけだし…」

「本気でそう思ってるの?」

「…うん」

「今日、うち来いよ!ちょっといい事考えたんだ!」


有野に連れられるように学校を出ると有野の家に向かった。

家に着くと、裏手から表の店の方に回った。


「母さーん、いる?」

「あら、帰ってきたの?おやつなら冷蔵庫の中よ!」

「違う違う!友達連れて来たら頼める?」

「ちょっと待ってな〜」


お客さんのカットを終えて会計まですると顔を出した。


「あら?君が竹中孝哉くん?」

「は、はい!あの〜ここって…」

「俺の家!」

「こらっ!竹中くん、ここ座って!悠から聞いてるわよ〜可愛いのにい

 つも髪で顔隠してるって、もったいないわね〜。こーんなイケメンな

 のに〜」


孝哉の髪を掻き上げると真っ直ぐに見てきた。

そして左右の髪質を見るかのように触ってくる。

誰かにこんなに触られた事などないせいかくすぐったい気持ちが先立つ。


「あ、あの〜僕は別に…」

「絶対に切った方がいいわ。ね?悠。」

「だろ?もったいないだろ?いっそ髪色も少し明るくした方がいいと思う

 んだよな〜」


勝手に話が進んでいく。

孝哉は何を言っているのか戸惑うと立ちあがろうとして、上から止められた。


「ほらっ〜動かな〜い!」

「でも…」

「いいのいいの!おとなしく座ってて〜」


テキパキと髪を濡らすと切って行く。


「悠くーん…」

「不安になるなって!大丈夫、うちの母さんに任せておけばバッチリだって!」

「そうじゃなくて〜僕お金そんなに持ってないよ?」

「気にしなくていいわよ〜、悠の友達から料金なんて取らないから!」


有野の母親はそういう時、カットを終えて、椅子を倒すとシャンプーしてカラー

リングの液をもってきたのだった。

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