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キスは何回したら恋をする?  作者: 秋元智也
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1話

小学校の時、はしゃいだ雪弥が事故にあった事があった。


泣き叫びながら救急車で運ばれた病院で腕と足にギブスをはめられ

家に戻ってきた。


「ゆき?大丈夫?痛い?」

「ぐすっ…痛いし、動かない…」

「大丈夫だよ、おまじないしてあげるからきっとすぐに良くなるよ?」


孝哉は雪弥の頬にキスを落とす。


「そんなんじゃ効かないってば〜、物語りのハッピーエンドになる主

 人公は必ず唇にキスするもん!」

「そうだけど…恥ずかしいじゃん…」

「なら、こっちきて?」


雪弥が手招きをすると何も考えていない孝哉がひょこひょこと近づい

てくる。

自分の方に引き寄せると唇が触れ合うだけの軽いキスをした。


「うん!痛みが引いたかも」

「そうなの?なら、もう一回する?」

「うん。」


今度は孝哉の方が恥ずかしがりながら軽く触れるだけのキスをして立

ち上がった。


「もう、寝よ?僕が支えるから布団に行こう?」

「うん」


雪弥はいつだって好きなように動く人間だった。

自分の思い通りになると機嫌がいいのだ。


その日から朝起きたらキスして、夜寝る前にも必ずキスする事が日課に

なったのだった。


そして怪我も治り、中学へと上がった。そして高校へと進学する。

少しずつ成長して、性についての授業もあり、知識が増えていく。


そして男子生徒には全員にコンドームが配られた。


「おいおい、これって使えって事か?」

「誰にだよ〜」

「お前彼女できたって言ってただろ?」

「いいな〜、俺はオナニー中使えば汚れねーかな?」

「ははっ、それ使う意味ねーじゃん?」


各生徒が各々に口走る。


「静粛に!これは避妊する為の物で、恋人との仲が良くなると使わなけ

 ればならない物だ。ただし、ゴムは絶対じゃない。こんな薄いものな

 のだから破れる事だってあるので十分に注意する事!」


「「は〜い」」


先生の言葉に返事がまばらに返ってくる。

ちょうど高校生とはそういった大人の階段を登りつつある年齢で、ほと

んどの生徒は精通がきていたし、女子は生理が来始めている大事な時期

だった。


そして異性に興味を持つ時期でもあったのだった。


鞄にしまう人、財布に入れる人、あるいはポケットにしまい、洗濯の際

に親にバレてヒヤヒヤした人も多分いるだろう。


初めにゴムを持った時の感想など、みんなそんなものだったのだ。


「雪弥〜、帰りに商店街の方でナンパしね〜?」

「え〜っ、それ、この前も言ってたよな?結局はただ飯食って帰っただけ

 じゃん?門限あるからって…」

「あれはちょっとな…、今度は歳上狙おうぜ?」


市川慎也が前の席の雪弥にこっそりと話かける。

それを横で聞いていた佐伯涼は呆れたように前を見つめる。


「涼も行くだろ?」

「ん〜?どうしようかな〜」


綺麗な顔立ちの涼と雪弥がいれば女子の視線が釘付けになる事間違いなし。

慎也はそれが狙いで二人に声をかけるのだった。

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