可愛い女の子は好きですか?こちらの茶道部、可愛いで溢れておりますよ!
さあさあ、待ちに待った高校生活が始まった。一通りの入学イベントを終え残すは部活選びだ。今日から体験入部が始まるが、何も考えていない。あえて言うなら、汗まみれになる運動部とか、汗臭いのを見るマネージャーだけには入りたくないくらいで、残りの文化部で何がいいということは殆ど無い。
一つ譲れない条件があるならば、『可愛い女の子を眺めたい!』ということだけだ。さすがにまさに理想の人は見つからないだろうから、期待はせずに片っ端から見ていこう。
「ねぇ夕花ちゃん、今から一緒に部活見学しにいかない?ちょっと見てみたい部活があるんだけど、一人だと緊張しちゃって」
私の後ろにふわふわとした可愛い子の気配。幼馴染で親友の未玖だ。低い背に対して長い三編みとリボンが可愛い。
「いいよ、未玖。どこか行きたい所あるの?私は可愛い人がいる所ならどこにでも一緒に行くからね」
「夕花ちゃんは本当に変わらないね。じゃあ今日は、生物部と茶道部と吹奏楽部に行きたいな」
「よし。一番近い生物部から行ってみようか!」
「うん、ありがとう」
未玖も十分可愛いのだが、残念ながら私のタイプではない。私のタイプが何かと聞かれてもすぐには答えられないが、少し違うのだ。幼馴染で小さい頃から一緒だから少し違うと思ってしまうのかもしれない。
「未玖は何か入りたい部活あるの?」
「音楽が好きだから音楽系でもいいんだけど、せっかくだから色々見てから決めたいなって」
「そっか」
音楽系なら、吹奏楽部か軽音楽部、合唱部、弦楽部とかか。中学の頃に入っていた吹奏楽部を続けるとばかり思っていた。
「ねぇ見て夕花ちゃん、ハリネズミ可愛い!」
「ハリネズミなんているんだね。こっちにハムスターもいるじゃん」
早速生物室でハリネズミを眺める。他にも魚やら虫やら植物やらがあったりした。
ついでにあっちに白衣を着た美人系の先輩。知的で少しミステリアスな雰囲気が漂っている。その他に人はいない。廃部寸前?
「あの、先輩。このハリネズミの名前ってなんていうんですか?」
ナイス未玖!あの先輩に話しかけてくれた。
「ハリネズミ?そのままよ。名前なんてつけてない。あくまで観察対象だから、変に情を沸かせちゃいけないの。ここにいるのは全部そうよ」
思った以上にクールだった。ビシビシ指導される日々が目に浮かぶが、そうじゃない。
「あの人多分、部長さんだよね。少し怖いかも」
「未玖は苦手そうなタイプだけど、慣れれば優しそうじゃない?それまでが長いかもね」
「次の部活、行こ。茶道部見たいな」
「うん、一回の和室だね。お菓子出してくれるんだっけ」
「そうそう。お茶点ててくれるらしいよ。楽しみだな」
白衣の先輩の生物部は早めにお暇し、次の茶道部に向かう。説明会で見た茶道部長は影が薄い感じで、もう覚えていない。
「ちょっと緊張するな。次、夕花ちゃんから入ってくれない?」
「うん、わかった」
生物部を見て気が怯んでしまった未玖を連れて茶道部へと向かう。