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 「繰り返します。ユニークMOB僭帝が倒されました。」ワールドアナウンスがフィーネのコクピット内で響き渡っているのを聞きながら、目の前の僭帝と呼ばれたそれを見る。目の前のソレは、正しく鉄と鋼でできた狼のようであった。

しかし、奴にバンカーをぶち込んだ瞬間から極度の興奮状態になっていたためか気づいていなかったが、我が愛機フィーネの左腕が吹き飛んでることに遅ればせながら気が付く。

「くそ、フレームごと持っていきやがった。一体いくらするんだと思ってやがんだ。」

基本的には、機動兵器はフレームと呼ばれる内部構造体に様々な武装や艤装であるパーツを取り付け構成されている。

基本的にパーツは後付け部品であり、消耗品であるためある程度のダメージは弾薬費同様必要経費と割り切ることができるが、内部構造体つまりフレームは基本的に損害を被る場所ではないのである。

それに加えフレームは、機動兵器の骨格ともいえる大事な部分である。そのためフレームはべらぼうに硬い材質を使用していることから、作成コストが膨大かつ一品ものなのである。

継ぎ接ぎで使用できないこともないが、衝撃には大幅に弱くなってしまうため戦闘中にいきなり腕がもげましたなんてことになったら目も当てられない結果になるのは目に見えている結果である。

さらに、フィーネのフレームには伝手を辿って手に入れた名匠ヨハンネス氏の超一級品を使用しており、フレームだけならばランカーと呼ばれるプロ連中と同格以上のものを使用している。

「畜生、奴をやったのはいいがこれじゃあ採算とれねぇじゃねえか」

溜息を吐きながら、今後どうするかを考える。新造のフレームを買うか耐久力が下がることを受け入れて今のフレームを修繕するか天秤にかける。

「ぐぎぎ、どうすっかなぁ、修繕費でもいくら飛ぶかわからねえぞ」

なぜ、始めたての時(あのとき)の俺は「俺の愛機にはやっぱりぃ最高品質のものでしょ」とか調子乗ってたんだろうか、今になって後悔の念すらわいてきやがった。

慌てて首を勢いよく左右に首を振り頭の中の考えを吹き飛ばしていると、戦闘後のリザルトを見ていなかったことに気が付いた。

「そういや、専用武装と称号だったけもらえんの」

しかし、コクピット内のどこにもリザルト画面は現れていなかった。

「バグか?運営もこんな早くに倒されるとはさすがに思っていないだろうしな」

そう考えながら、鉄と鋼の狼に目を向けた。

そこには今だ倒した時のままの奴が転がっていた。

本来であれば倒した後は相手が消滅し、リザルト画面が出てきてドロップ品の有無や自分の戦闘データ等を確認するのが正常な流れのはずだが「それとも、ユニークだから仕様が違うのか?」ここでいつまでも唸っていてもしょうがないし、運営に問い合わせしてみるか。

分からないことは、聞くのが一番ということで運営にお問い合わせメールを飛ばしてみることにした。

「さて、待っている間どうすっかな」

考えることは、やはり今後の身の振り方である。ユニークを倒したと知られてみろ、あっという間にサーバー中に情報が伝達されることだろう。

考えうる最悪は、ランカー連中に目を付けられることだろう。

なんせ、幾人ものランカーが(こいつ)にやられていることだし、これが俺ではなかったら一般側に属しているプレイヤー視点からざまぁとか思えるがなんせ自分のことである。

変に目を付けられ連中に粘着されても、いやなだけである。

他人の嫉妬はいつも醜いものであるし、やはりばれないに越したことはないなと考えていると。

運営からメールが来ていることに気が付いた。

「仕事のお早いことで、なになにお問い合わせの件ですが消滅しないことそれがユニークの報酬ですだと?」

消滅しないことが報酬とか何言ってんだ運営、まったくもって意味が分からないんだが。



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