プロローグ
処女作ですお楽しみいただけたら幸いです。
VRとARの技術が2030年台に飛躍的に発展して合体しVARが生まれてはや数年。もはや日常生活の必需品として受け入れらなくてはならないものとなった、メタバース世界における活動は現実世界と共有されることが当たり前となった。
あらゆることがネットワーク内で解決されているようになったにも関わらず、不思議と会社へ紙の書類を提出することが義務付けられているのはどういうことかと心の中で毒づきながらスーツを着て電車に乗り出社しているもんだから人間とは不思議なものである。
電車内で眼鏡型ウェアラブル端末で今日のニュースを流し見しながら、今日一日の予定を思い出しながらいると気になる見出しが躍っていることに気が付いた「MWM大型アップデートのお知らせ」MWMとはMobileweaponsMassivelyMultiplayerOnline通称MWMと呼ばれるオンラインゲームである。
様々な機動兵器を実際に操縦し戦うことができ、ロボット大好きな一部の人間からこれ以上のゲームは今後出ることがないだろうと呼ばれているゲームでありVARの技術を使用していることからリリース会社の本気を感じ取ることができる。
もちろん一部の人間にもれず俺神田誠も自分自身の手で巨大兵器を動かすロマンに子供の頃憧れていた一人である。
これは家へ帰り次第さっさとログインするべきだと結論付け、仕事が終わった後のことに思考を飛ばしながらさっさと仕事を片付けようと考えながら駅へとついたため会社への道を急いだ。
MWMとは機動兵器を用い戦うことができる唯一無二のゲームである。戦場は山岳から砂漠はては海底に宇宙までなんでもあり、プレイヤーはそれぞれの戦場において細やかに自らの機体をチューンアップし戦いあうのである。多くのプレイヤーは汎用性の高さから人型の機体を好んで使用するが四足の獣を模した機体から戦闘機のような戦うことが義務付けられているようなものまで様々な機体が作られては戦い覇を競い合うのである。
仮想現実が拡張され仮想と現実が限りなく近くなったが故にゲームで金を稼ぐというものも身近なものになった今日MWMはRMTも可能ということで多くのプロプレイヤーも存在していた。
そのため基本的にはプレイヤー間での戦闘が多いが、それがこのゲームの遊び方の一部であるといえば多くの人はでは何をするかと疑問に思うだろう。基本的にはMWMにはMOBと呼ばれる敵をを倒し武装パーツを集め自分好みの自分自身だけの機体すなわちオリジナル・ワンを作るというのが一般的な遊び方である。
砂塵が舞う荒野にソレはいた、周囲を取り囲まれているようだがソレは気にも留めていない。
「ラッキー、アプデ早々にユニーク引くとか俺達超もってない?」
軽薄そうな声が響く。
「マジでいえてる、なんせこっちにはランカー様もいるしあんな獣もどき余裕しょ」
続く声が言う。
「お前ら少しはまじめにしろ獣もどきとはいえユニークだ、どんな動きをとるかわからんぞ」
「大丈夫すよ」
「そうそう」
短くため息を吐きながらランカーと言われた男は油断なく獣もどきを見つめる。
「3カウント後にいつも通りのコンビネーションで行くぞ」
「りょ」
「あいよー」
「3、2、1撃て!!」
3方向からほぼ同時に獣もどきに向かって鉄の玉の雨が降り注ぎ砂塵が巻き起こる。
砂塵が晴れた先にいたのは鬱陶しそうにこちらを見るソレの姿だった。
「ノーダメージだと!!」
「なんだよそれ」
「冗談じゃねーぞ」
男たちは口々に不満を漏らした。
ソレは自らを害そうとした者たちに、鬱陶しいという感情をぶつけるように雄々しく咆哮した、その瞬間軽薄そうな声をしていた男の機体が一瞬にして爆散した。
「は?」
「なんだと!ただの咆哮だぞ」
男たちが驚愕の声を出す。
ソレは次はお前達だというかの如く獣のごとき四肢を躍動させ襲い掛かった。
砂塵吹き荒れる戦場後にソレは居た、周囲には興味をなくしたおもちゃのように機動兵器が転がっていた。
ソレはこれでは足りないと思った。
自らのうちから湧き出る衝動がソレを突き動かしていた。
もっと強くもっと苛烈に戦いたいと衝動に身を任せるようにソレは砂塵の中へと消えていった。