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第94話 デートのつもりだから

 季節は10月に入り、本来の私の店のオープンまで残り3日になっていた。デリクを襲撃した犯人が見つからず、私はヤキモキしていたけれども幸い?あの日以来、私の店を監視している人物が現れた形跡がなかった為、誰か同伴者が入れば店に顔を出して良いと家族からの許可を得ることが出来た。



 そして今日は祝日―


 出来上がった品物をリュックに詰めて出かける準備をしていると扉をノックする音と共に、メイドのミルバの声が聞こえてきた。


「アンジェラ様。デリク様がお迎えにいらっしゃいました」


「はーい、今行くと伝えておいて」


扉越しに返事をすると、足音が遠ざかっていった。


「忘れ物は…無いわね。さて、それじゃ行こうかしら」


リュックサックを背負うと、私は自分の部屋を後にした―。




****


エントランスに行くと、そこにはすでにデリクが両親と共に待っていた。


「お待たせ、デリクさん」


両親の手前、敬称をつけてデリクに声を掛けた。


「おはようアンジェラ。それにしてもすごい荷物だね。持ってあげるよ。貸してご覧」


「ありがとう」


リュックサックを下ろそうとすると、デリクが背後に回って私の背中からリュックを降ろしてくれた。


「あ、ありがとう」


少しだけ顔を赤らめてお礼を言うと、父と母が満足そうに言う。


「いや〜本当にデリクさんは良い方ですね」


「ええ、アンジェラを大切にして下さっていることがよく分かるわ」


するとデリクは笑みを浮かべて両親を見た。


「ええ、当然です。アンジェラは私にとって大切な人ですから」


「た、大切…?」


臆面もなく両親の前で私のことを大切と言ってくれるデリクにますます顔が赤くなってしまった。


「さ、それじゃ行こうか?アンジェラ」


「ええ」



「行ってらっしゃい」

「アンジェラを宜しくお願い致します」


こうして私とデリクさんは父と母に見守られながら屋敷を出た―。



****


 デリクさんが用意しくれた馬車に乗り込み、2人で向かい合わせに座るとすぐに馬車は走り出した。


「ねぇ、本当に…今日はお店の準備に1日付き合ってくれるの?」


私はデリクを見つめると尋ねた。


「勿論だよ。そう言っただろう?」


デリクは優しい笑みを浮かべて頷いた。


「でも…何だか悪いわ。貴方だって色々忙しいでしょうし…」


「そんな事無いよ。僕の中ではアンジェラと一緒に過ごすことはデートだって考えているからね」


「デ、デート…。そ、そうよね。これはデートだって考えればいいのよね?」


久しぶりに聞くデートと言う言葉に思わず赤面してしまう。


「そうだよ。それに後残り3日でお店がオープンするんだろう?色々手伝わせてよ」


「でも午後からはシビルとグレタ、それにイレーヌが来るけれども…」


「彼女たちが来ている間は僕は席を外しているよ。確か近くに喫茶店があったよね。そこで待っているから」


「ありがとう。色々気を使わせてしまって…。そう言えば今日はお弁当を用意してこなかったけれど…本当に良かったの?」


「うん。実は今日はとっておきのレストランを予約してあるんだよ。お昼はそこで食事にしようと思ってね」


「本当?今から楽しみだわ」


どんなレストランなのだろう。今からとても楽しみだ。




けれど…私とデリクはそのレストランでとんでもない物を見てしまう事になる―。





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