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第58話 父と兄の応援

 ニコラスのいる部屋へ向かっていると背後から父の声が聞こえた。


「アンジェラ。帰ってきたのだね?」


「あ、お父様。はい、ただ今戻りました」


立ち止まり、振り返ると挨拶をした。


「ひょっとすると、今からニコラス様の待機部屋へ行くのかね?」


「ええ、そうです。それにしてもまだ屋敷に残っているとは驚きです」


「そうなんだよ。昼近くに突然現れたかと思えば、『アンジェラに話がある』と言って帰ろうとしなかったのだよ。アンジェラは今日は1日出かけて、何時に帰るか分からないので、こちらから用件を伺いますと伝えてもアンジェラに直接話すと言ってきかなくて、帰ろうともしないのだよ。そこでやむを得ず一番奥の部屋に通したのだが…全く困ったお方だ」


その割にはあまり困った様子では無い父。恐らく父にとってニコラスの行動は駄々をこねる子供のようなものなのだろう。


「でも、5時間半も放置されれば流石にニコラス様のイライラはピークに達しているでしょうね?」


「ああ、そうだな。恐らくニコラス様は何かしでかすのではないか?」


父はどこか嬉しそうな顔で言う。するとそこへ兄がこちらへ向かって早足でやってきた。


「アンジェラ!」


「あ、お兄様。只今戻りました」


「お帰り、アンジェラ。これからあの馬鹿の所へ行くんだろう?」


「はい、そうです」


「1人で大丈夫なのか?」


「ええ。大丈夫ですよ」


「うん…だが心配だ。万一の事を考えて隣の部屋で待機しているからアンジェラは安心してあの馬鹿と決着をつけてこい」


「そうだな、私も応援しているよ」


「はい、分かりました。では行ってきます」


「ああ」

「頑張れよ。アンジェラ」


こうして私は父と兄から背中を押され、ニコラスがいる部屋へと向かった―。




「さて…」


ニコラスがいる部屋の前に立つと早速扉をノックした。


コンコン


「…」


応答が無い。ひょっとして聞こえなかったのだろうか?


コンコンコン


「…」


再度ノックをしてもやはり応答が無い。


仕方ない…。


ノブを回し、扉を開けながら言った。


「ニコラス様…入りますよ…」


そして部屋に入るなり、驚いた。何と長椅子の上に寝そべってニコラスは気持ちよさそうに眠っているではないか。


「ええっ?!」


あまりにも意外な姿に拍子抜けしてしまった。さぞかし部屋に入るや否や、罵倒されるとばかり思っていたのに、まさか寝息を立てて眠っているとは…。

近付いて、眠っているニコラスを覗き込んでみても一向に起きる気配がない。


果たして眠っているニコラスを起こしても良いのかどうか…?


少し、考えた挙げ句私はニコラスを起こすことにした。


「ニコラス様、起きて下さい」


近くで声を掛けてみた。


「う〜ん…」


するとニコラスはうるさげに唸ると、寝る向きを変えて私に背を向けてしまった。


これでもまだ起きないなんて…。しかたない。こうなったら…。



「ニコラス様っ!」



背中越しに大きな声で呼びかけた。


すると…。


「うわぁっ!な、何だ?!何があったっ?!」


ガバッと飛び起き、私を見る。


「目が覚めましたか?ニコラス様」


「…」


寝起きのニコラスは少しの間、呆けた目をして私を見ている。どうやらまだ脳が起きていないようだ。


やがて…。


「あ、アンジェラッ!お前…とんでもないことをしてくれたなっ!どう責任を取ってくれるんだよっ!」


案の定、早速ニコラスは私に文句を言ってきた―。





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