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第52話 その後の話と明日の予定

 その夜の事―


家族揃っての食事の席は大いに盛り上がっていた。


「それで、早速その日のうちに警察がウッド家にやってきたのだよ。取りあえず家族全員事情聴取の為に警察に連れていかれたそうなんだ。現在家屋は警察の管理下に置かれ、立ち入り禁止にされているらしいが農園は解放されているらしい」


父はワインを片手に上機嫌で話している。


「それは良かったですね。悪は裁かれて当然ですから。それにしても僕たちを物乞呼ばわりするとは失礼極まりない連中だった」


兄はシャンパンを口にしながら憤慨している。


「それで結局ウッド家の農園はどうなるのですか?」


私は父に尋ねた。


「いや、実は伯爵から連絡があったのだよ。ウッド家の農園を我々の財産にして構わないので、よろしく頼むとね」


「まぁ…そうなのですね。つまり本日の出来事はすでにコンラート伯爵家に伝わっていると言う事ですね?」


母がチキンステーキをカットしながら会話に加わって来た。


「ああ、そう言う事になるな」


頷く父の言葉に嫌な予感がよぎった。


「あの、つまりそれって…ニコラス様の耳にも入ったと言う事でしょうか…?」


「う~ん…普通に考えればパメラはニコラス様の自称恋人を名乗っていたからな…当然耳に入っているとは思うが、何しろコンラート家ではニコラス様とパメラを引き剥がす事に躍起になっていたからな…。もしかするとあえて伝えていない可能性もあるが…」

父が首をひねった。


「まぁ、彼は馬鹿だから自分から領地の状況を知ろうとする気も無いだろう。誰かが彼の耳に入れない限りは知る由も無いと思うけどね…」


私は兄の言葉に耳を傾けた。確かにニコラスは両親から散々馬鹿呼ばわりをされていたが…。


「それでも不安はありますね。今朝いきなり前触れも無くニコラス様が訪ねてきましたから」


「確かにそうだった。しかしあの時の事を思い出すだけで腹立たしい。アンジェラの着ている服を見て『財布を取って来い』等と言うのだから。恐らくあの馬鹿の頭のも中には自分で服を買ってアンジェラにプレゼントをしようという発想は無いのだろう」


兄が忌々し気に今度はワインを口にした。


「まぁ!アンジェラにそんな事を言ったのね?何てケチな…コホン!甲斐性の無い方なのかしら」


言い終わると母は食事を口に運ぶ。


「確かに彼にはもっとしっかりして貰わないと安心してアンジェラを嫁には出せないな…。何しろ親に言われたからデートに誘いに来た挙句、爺やさんの監視付きデートに誘って来るのだから。まぁこちらからすればニコラス様が妙な行動を取れば取るほど『婚約破棄』を言い出しやすいから構わないけれどもね」


「やはり父上もあの馬鹿にアンジェラを嫁にはやりたくないのですね?」


兄の言葉に父は頷く。


「それは当然だろう?ニコラス様の様に普通の人よりは多少頭の回転が遅いような方とアンジェラみたいに頭の良い人間とではどう考えても釣り合わないだろう?」


父は遠回しに結構酷い事を言っている。


「お父様」


食事の手を止めると父に声を掛けた。


「何だ?」


「明日も学校がお休みなので、またニコラス様がここへ来るような気がします。けれど、明日はお店に納品に行って開店準備をしたいのです」


「確かにあんな事があったばかりだし、明日は日曜だから暇人なニコラス様が来るかもしれないな」


「ええ。はっきり言ってしまえばニコラス様を相手に一分一秒でも無駄な時間を割きたくないので、明日は早目に出掛けようと思います」


「そうだな。そうしたほうがいいだろう」

「ええ。私もお父様と同じ意見ですわ」

「うん、万一にでもあの馬鹿が来るかもしれないからな」


「ありがとうございます」


3人の許可を得る事が出来た。


明日はお弁当を持参して早めに屋敷を出る事にしよう。


私は再び食事を再開した―。





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