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第46話 事実を知る父親達

「そうですか…でもすごい偶然ですね。それともリーダーになるようにウッド氏に言われたのですか?」


すると手を上げた3人の男性たちは顔を見合わせ…1人が口を開いた。


「はい…仰るとおりです。旦那様から便宜を図ってやるからその代わりお前たちの娘にうちの娘を宜しく頼むと言われました…」


そして別の男性がうつむき加減に言った。


「うちの娘は…パメラお嬢様から、ある1人の貴族令嬢の持ち物を何でも良いから盗んでくるように言われて盗みを働いたのです。結局盗んだ事がお相手の令嬢にバレてしまったのですが、パメラお嬢様はうちの娘が勝手にやったことだと言って命じた事を認めませんでした。それで結局娘は…学校から1周間の停学処分を受けてしまいました…」


「え…?その話って…」

「ひょっとすると…」


私と兄が同時に声を上げた。


「え?どうかしましたか?」


首を傾げる男性に尋ねた。


「もしかして…シビルのお父さんですか?」


「え?何故娘の名を…?も、もしや娘が盗みを働いた貴族令嬢とはあ、貴女の事ですか?!」


男性は目を見開いて私を見た。


「ええ、そうです。私の事ですよ」


すると…。


「も、申し訳ございませんでしたっ!」


突然男性は地面にうずくまり、土下座してきた。


「まさか、いくらパメラお嬢様に命じられたからと言って、貴女から盗みを働くなど…よーく娘の事を叱っておきますので…どうかお許しくださいっ!」


その様子に他の4人の労働者達は驚いたように男性を見ている。


「待って下さいっ!どうか顔を上げて下さいっ!私はシビルさんがパメラから命じられて仕方無く盗みを働いた事を知っていますから!」


「え…?そうなのですか?」


シビルの父親は顔を上げた。


「ええ、そうです。シビルさんは本当は盗みなどしたくなかったのです。パメラに脅迫されてやむを得ず、私から盗みを働いたのですから」


「え?脅迫…それは一体どういう事ですか?」


そこで私は説明した。


「パメラはあなた方の娘さんを脅迫していたのです。自分の言うことを聞かなければ父親をクビにすると言って。なのでやむを得ず彼女達はパメラの言いなりになっていたのです」


「な、何だって?うちの娘はそんなこと一言も説明してくれ無かったぞ?!」

「俺の娘もだ!」


背後で話を来ていた他の2名の男性たちは驚いたように顔を見合わせた。


「そ、そんな…娘は…俺を守る為に…?」


シビルの父は顔を真っ青にさせて震えている。


「すみません。パメラの手前…あえてシビルさんに停学処分を受けて頂きました。私に嫌がらせをすればどんな目に合うか、どれ程の罰を受けることになるのか分からせる為に。パメラに思い知って欲しくてシビルさんに重い罰を受けて貰ったのです。申し訳ありません」


頭を下げると、シビルの父は慌てたように言った。


「そんな!貴族令嬢の方に頭を下げていただくなど、とんでもありません!」


「ええ、その通りです!」

「そんな事されるとは…恐縮です」

「我々平民に頭を下げられるとは…」

「何と素晴らしい人柄なのだ…」


他のリーダーたちも口々に言う。その様子を今迄黙って見ていた兄が言った。


「でも大丈夫だ。もう皆さんは不当な労働条件でウッド氏のもとで働く必要はなくなるから安心していいですよ」


「お兄様…それでは…?」



「ああ、もうウッド家は終わりだよ」


兄はニッコリ笑みを浮かべた―。


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― 新着の感想 ―
[一言] 自分の父親の地位を利用しての窃盗教唆罪と犯罪行為の強要罪とか犯罪行為の偽証罪とかこれは王国の犯罪を取り締まりの憲兵などにばれたら投獄確定ですな。 犯罪を教唆したものの罪は犯罪を犯した者よりも…
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