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第23話 犯人はやはり

 何の騒ぎだろう…?


 背後を振り返り、そこにパメラと彼女の取り巻き3名の女子生徒が他の女子生徒達に囲まれていた。そしてロングヘア女子生徒が私が作ったペン立てを手にしていた。


あ!あれは…っ!


 遠目からでも良く分かった。何故なら布製のペン立てなんて恐らくこの世界には存在していないのだから。それにあの布の組み合わせと柄を見間違うはずがない。


やっぱりパメラが取り巻きに盗ませていたんだ…!


「パメラ…ッ!」


ガタンと席を立ちかけたところで、思いとどまった。今、仮にあの場に行って、それは私が手作りしたものだから返すように言っても私が作ったという証拠はどこにもない。逆に言いがかりをつけたと言われてしまう可能性のほうが高い。


「今はまだまずいわね…。あの4人だけになった時に声を掛けないと…」


するとそこへ飲み物を買って戻ってきたペリーヌが声を掛けてきた。


「あら?どうしたの?」


「あれ、見て…」


私は視線だけでペリーヌに方向を指し示した。


「あ!パメラたちじゃないの…それにしてもすごい騒ぎね。ざっと見る限り10人近くは集まっているわ…あら?あの女子生徒が持っているのって…」


ペリーヌはロングヘアの女子生徒が手にしているペン立てが目に入ったようだ。


「ちょっと!もしかして…あれってアンジェラの作ったペン立てじゃないのっ?!」


ペリーヌは私を見ると驚いたように言う。


「やっぱり分かる?」


「分かるに決まってるじゃない!だってあんな便利で可愛らしい布雑貨はアンジェラしか作れないもの。でもやっぱり盗ませていたのね…泥棒と一緒だわ!」


ペリーヌは盗まれた私よりも怒りをたぎらせた目で騒ぎの中心にいるパメラを見つめている。


「ペリーヌ、とにかく今はまだ動かないほうがいいと思うの。ここで私が『それは私の作った物だから返して』と言っても逆に言いがかりをつけたと責められかねないわ」


「う…た、確かにそうよね…ならどうするの?」


「とにかく、まずはお昼を食べてしまいましょう。いずれあの人だかりも無くなると思うから…とりあえずは待ちましょう」


「流石は冷静なアンジェラね。それじゃさっさと食べてしまいましょう」


「ええ、そうよ」


そして私達はパメラ達の様子を注視しながら食事することにした。


「アンジェラ、今日は何を持ってきたの?」


「今日はね、BLTサンドイッチを持ってきたの。カリカリに焼いたベーコンにスライスしたトマトとレタスをバターを塗ってフライパンで焼いたパンで挟んだものよ?」


「素敵…。見た目もカラフルで美味しそうね。本当にアンジェラって不思議な人よね。布で色々な物を器用に作り出せるし、料理だって今迄見たことも無いようなメニューを考えて作り出すし…」


ペリーヌがパメラ達の様子をチラチラ見ながらも私の料理に関心を示している。


「フフ…。ありがとう」


でも私が色々な知識を持っているのは前世で培った知識がある為なのだが、この事は両親にもペリーヌにも秘密にしている。


「ペリーヌは何を持ってきたの?」


「ほら、見て。アンジェラが持ってきたのと同じロールサンドよ?」


ペリーヌはバスケットの蓋を開けると、そこには綺麗にセロファンに包まれたロールサンドが並んでいる。


「どう?我が家のシェフにお願いして作ってもらったの?うまく再現出来ているかしら?」


「ええ。よく出来ているわ、美味しそうじゃない。それじゃさっさと食べてしまいましょう」


「ええ、そうね」


ペリーヌは返事をすると、私達はパメラ達の様子を伺いながら食事を始めた。



「ところでアンジェラ。パメラに何と言って切り出すの?」


「とりあえず、それは私の手作りの品物だから返すように言うわ。第一パメラはあのペン立ての色々な使い方を知らないしね。だけど…それでも駄目なら…」


「駄目なら…?」


パメラが尋ねてくる。


「うん…他に何か良い方法が無いか考えるわ」


私は肩をすくめながら言った―。




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― 新着の感想 ―
[一言] ペン立て取り返すことよりパメラと取り巻き連中が自分の机に近づいたらそれは窃盗する合図だとクラスメイトに周知してパメラ達はいつでも泥棒になると思わせよう
[一言] 教師に言わないのかね?立派な犯罪なんだし。
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