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第114話 ついに追い詰められたパメラとニコラス

 パメラは私のクラスメイト達が怒りに燃えいている様子に全く気付く様子も無く、ニコニコしながら声を掛けた。


「あら、あなた達も私の店に買い物に来てくれたのね?やっぱりビラを配った甲斐があったわ。まだ品物は残ってるから、手に取って見てみてよ」


パメラは目の前に私がいるにも関わらず、図々しいことを言ってくる。


本当に…何と図々しい女なのだろう?


思わず文句の1つでも言ってやろうかと思ったけれど、グッと私は自分を思いとどまらせた。


何故なら…。


「あら、新しいお客様達が来たようね?ここの商品は本当に素敵なのよ?」


「ええ、やっぱり手作り品て何処か違うわよね?」


「私、この品物とても気に入ったわ」


何も知らないお客様達が私のクラスメイト達に話しかけてきた。


すると1人の女生徒が叫んだ。


「駄目よっ!皆さんっ!騙されないでっ!そこに並んでいる商品はね…全て盗まれた品物なのよっ!」


「ええ、そうよ!この女はね…そこに立っている女性の作品を勝手に盗んで売りさばいているのだからっ!」


更に別の女生徒がパメラを指差し…次に私の方に視線を移す。


「えっ?!ま、まさか…これを作ったのは…貴女なのですか?!」


ポシェットを買おうとしていた令嬢が私を見て驚きの表情を浮かべる。


「ええ…そうです。ですが、その商品は私が手馴しで作った作品なので…売りに出すのもおこがましいものなのです」


私はペコリと頭を下げた。


「う、嘘よっ!こ、これは…私が作った作品なんだから!そうよね?ニコラス!」


何故かパメラはニコラスに同意を求める。


「え?あ、ああ。そうだ、これはパメラの手作り品だぞ?」


ここからは…私は見物人にさせてもらおう。もうはっきり言えば、パメラとニコラスの相手をするのもうんざりだからだ。


けれど、理由はそれだけでは無いのだけど…。



「ねえ、でもどうしてこの品物は盗まれた物だって言えるの?何か証拠でもあるのかしら?」


巾着袋を買おうとしていた令嬢がクラスメイト達に尋ねた。


「ええ、証拠ならあります」


そしてクラスメイト達は一斉に私のあげた品物を取り出すと、その場にいたお客様達に見せたのだ。

それは今、ここに売られているのとは比べ物にならない程に手間暇かけた作品だった。

細かな刺繍がされていたり、ポーチには可愛らしい柄のタグが付いていたり…。

どれも私が一針一針、心を込めて作った作品なのだから。


それらの作品を目にしたお客様達は目を見開いた。


「えっ!この品物…すごいわっ!」


「何て手が込んでいるの!」


「確かにこの品物と雰囲気が似ているけど…こっちのほうが断然素敵じゃないっ!」


お客様達の興奮は止まらない。


するとパメラがこの後に及んで、声を荒らげた。


「ちょっと!た、確かにあなた達が手にしているのは…アンジェラさんの作品かもしれないけど…こ、ここにあるのは私の作品なんだから!」


何と愚かなパメラだろう。そろそろ私の出番かもしれない。


「パメラ…いい加減にして頂戴。証拠ならあるって言ったでしょう?」


「な、何よ…!」

「アンジェラ…お前っ…!な、なら早くその証拠をみせてみろっ!」


2人は憎々しげな目で私を睨みつけている。


「ええ、いいわ」


私はポケットから予備に持ち歩いていた自分の作品を皆の前に見せた。


「ほら、このタグにはイニシャルが刺繍されているでしょう?このイニシャルは私の名前の頭文字と、お店の名前の頭文字を合わせたものなのよ。こちらにいるお客様達の品物にも同じイニシャルが刺繍されているでしょう?」


「ええ!確かに同じイニシャルよ!」

「全く同じじゃないのっ!」

「って事は…やっぱり盗品だったのね!」



お客様達の興奮は止まらない…その時である。



「どう?パメラ…そろそろ観念したら?」


今迄鳴りを潜めていたペリーヌが腕組みしながら群衆?の間を割って入ってきたのだ。


「ええ、そうよ。この泥棒っ!」


その背後にはシビルもいる。


「良くもこんな真似できるわね」

「これは立派な犯罪だわっ!」


いつの間にか、グレタにイレーヌも前に出ていた。


「そ、そんな…」

「は、犯罪だって…?」


今や、パメラとニコラスは敵意の目で見られた群衆に囲まれて青ざめている。

もうここまでくれば、言い逃れは出来ないだろう。



すると―。


「アンジェラ様ーっ!」


タイミングよく、公園の入り口から私を呼ぶ声が聞こえてきた。振り向くと、こちらに向かって近付いて来るジムさんの姿がそこにあった。


「ジムさんっ!」


私は声をかけた。


「お待たせ致しました、アンジェラ様!」


息を切らしながらこちらへ近付いてくるジムさんの後ろには…2人の警察官が付いてきていた―。



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