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第107話 家族への報告

「以前私がお店に出す予定の試作品をパメラの取り巻きに盗まれた話は覚えていますよね?」


「ああ、勿論だ」

「脅迫して盗ませたのだろう?」

「あれは酷い話だったわね」


父、兄、母が頷く。


「パメラは私から盗んだ試作品を他の女子学生たちに店で買ったものだと言って自慢していました。そこで、今回私の店を覗き見していた人物がひょっとするとパメラでは無いかと思ったのです。パメラが出所した日に私の店を覗いていた人物がいた…単なる偶然とは思えなかったのです。しかも拘置所は私の店から歩いて20分程の距離です。…パメラが偶然知ってもおかしくないと思ったのです。あの時店には私以外に、かつてパメラの取り巻きで今は私の友人となった人達と一緒にいたからです」


「成程…可能性としてはあるかもしれないな」


父が相槌を打つ。


「その後も何度か私の店を覗き見していた人物がいたそうです。ペリーヌも見かけた事があったそうですし、あの店の近隣の人達も何度か覗き見している人物がいたという証言を貰えたことを昨日、店番をしてくれたミルバ達から教えてもらいました」


そう、ビラ配りのついでに近所の人達に怪しい人物が店を覗き見していないか聞き込みをミルバ達に頼んでいたのだ。すると何人もの人達から、やはり怪しい人物が私の店を覗き見していたと証言を得ることが出来たのだった。


「昨日は朝から夕方まで私の店には無人にはなりませんでした。店の周囲にビラを配っていた為でしょう。怪しい人物も見かけませんでした。そしてあのビラにはお店が明日、オープンする事を書いていたのでもしパメラが動くとなると、昨夜か…もしくは今日だと考えたのです」


すると私の話に父が目を見開いた。


「アンジェラ…その話では…パメラがお前の店の商品を全部盗む事を想定していたことになるぞ?」


「はい、そうです。パメラは前から私を困らせる行動ばかり取っていましたから…。何しろ仮にも子爵令嬢である私から平気で物を盗ませ、堂々と自分の物だといい切るくらいですよ?しかも罪が発覚すれば、自分は関与していないと開き直れるくらいなのですから」


「全く…何処まで図々しい人間なんだ?パメラと言う人物は…。流石あのミジンコの幼馴染だけある」


兄が忌々しげに言う。


「パメラは出所時、酷く私を恨んでいました。仕返ししてやると言っていたのですよね?」


「ああ、警察の人の話では…確かにそう言っていたらしい」


私の質問に父は答えた。


「なので私は覗き見していた人物はパメラではないかと考えました。彼女は私の作った試作品に興味を持っているようでしたし…。そこで私は餌を撒くことにしたのです。」


「餌をまく…?」


母が首を傾げた。


「はい、わざと大々的に店のオープン告知をすることにより、パメラの耳に入るようにしました。そしてクラスメイト達には昨日、私が以前作り貯めておいた布小物をプレゼントしたのです。お店のオープンの事も伝えました。何より私が手掛けた作品には全てイニシャルを刺繍しておいたので、一目で私の作品だと分かるように差別化をしてあるのです」


「成程…だんだん話が見えてきたぞ?」


父が興奮気味に言う。


「そして、昨日…私は皆で手分けして今迄店に並べていた商品を全て引き上げてきました。代わりに数年前に作った単純な作りの品物を並べてきたのです。例え、盗まれたとしても…私に取ってダメージの少ない品物を」


そして私は笑みを浮かべた―。



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― 新着の感想 ―
[一言] これで2回目の窃盗事件で今の身分が平民だから反省もしていなければ窃盗を繰り返し行っていて犯罪を助長しているとか司法とか警察が判断するとパメラの刑が重くなりそうですし、パメラの犯行を手助けした…
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