表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

105/119

第105話 最後の仕上げ

 2台の馬車が私の店『アンジュ』に到着した。


皆で馬車から降りると、店の中からミルバ達と他にメイドと2人のフットマン達が出てきた。


「アンジェラ様、お待ちしておりました」


ミルバが声を掛けてきた。


「ありがとう、皆。それで?お願いしていたことはやっておいてくれたかしら?」


尋ねるとフットマンが説明してくれた。


「はい、アンジェラ様。私達で近隣のお店に明後日10時にお店がオープンすることを伝えてきました。またお店の前を通る人達にはビラを配りました」


「まぁ、アンジェラ。ビラまで用意していたの?」


ペリーヌが驚いた様子で尋ねてきた。


「ええ、そうなの。ビラは事前に印刷屋さんにお願いし、とりあえず200枚だけ作ってもらっておいたのよ。それで何枚位配れたのかしら?」


するとミルバが興奮気味に言った。


「それが、聞いて下さい。午前中であっという間に200枚全て配り終えることが出来たのですよ?」


「え?そうだったの?!」


まさか…50枚でも配れればいいなと思っていたのに、200枚全て配れたなんて…。


「ありがとう、皆」


私は改めてミルバ達にお礼を述べた。


「良かったですね、アンジェラさん」

「きっとお客様が沢山来てくれるはずですよ」

「当日は忙しくなりそうですね」


シビル、イレーヌ、グレタが口々に言う。


「ええ、そうね。だといいけど…何しろお店をオープンさせるために…これから一か八かの掛けに打って出ないといけないから…」


私は全員を見渡した。


「大丈夫、きっとうまくいきますよ」


「ええ、その為に我々は頑張りましたから」


「あれだけ宣伝もしているし、近隣の店にも話してありますからね」


使用人達の言葉に勇気づけられた。


「そうよね…。きっと餌に食いついてくるはずよね?」


私の言葉にミルバが賛同した。


「ええ、間違いなく食いつきますよ。もうこのお店が2日後にオープンすると言う話は絶対に知っているはずですし、今日は私達が1日お店の中と外に張り付いていたので、さぞやきもきしているはずです」


「そうよね…。ここまで来たら、もう後には引けないわ。少々危険な賭けだけど…。それじゃ後は私達で準備をするから、皆はジムさんの馬車に乗って帰っていいわよ?」


「アジェラ様とお友達の方たちはどうされるのですか?」


ジムさんが尋ねてきた。


「大丈夫よ、皆で今日は辻馬車に乗って帰るから」


ペリーヌ達は私の言葉に一斉に頷く。


「分かりました、それでは皆さん。お先に失礼しますね」


そしてミルバ達はジムさんの馬車に乗り、用事のあるペリーヌだけは少しだけ手伝ってくれると馬車に乗って帰って行った。



****


「今更…こんな事言うのも何だけど…やっぱり少し不安だわ…」


3人で作業しながら私はつい不安を口にしてしまった。するとシビルが言った。


「大丈夫ですよ、アンジェラさん。パメラの性格は私達が一番良く知っていますから」


「ええ、必ずパメラは動くはずです」


「パメラは単純ですからね〜しかも後先考えずに行動しますからね」


「ありがとう、皆。そうね…。仕込みは完璧だもの。後はパメラが餌に食いつくのを待つだけよね?」



その後も私達は作業を続け…17時に全ての作業が終了し、皆で辻馬車に乗って家路についた。


明日の成功を祈りながら―。





評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ