鉄くず
初めての投稿で読みにくい部分やわけのわからないところが多いかもしれません。読んでくださると嬉しいです。感想をくださるともっと嬉しいです。
「暑いな」
木漏れ日の揺れる森の中にある公園でベンチに座り、僕は身体をを休めていた。町外れにあるこの公園に来るのは、十年ぶりだった。セミが鳴き、汗を拭う。ふと、昔のことが思い出される。錆び付いたあの人の言葉。ホコリを被ったガラクタのように、他の記憶も付帯し、蘇る。たしかあれもこんな夏の一日だった。
日が昇り、花は咲き、忘れられたように月は薄れる。月に私とあなたを形容する。そうして自嘲をしては、この堕落した生活を正当化する。何がしたかった、何を得たかった、何を言いたかった?苦しみから逃れるためだけに嘘の自分を開拓していった。昔の自分。今の私はまさに、鉄くずである。
朝、まだ陽の昇らない時刻に目を覚ました。歯を磨き、朝ごはんも食べないまま散歩に出る。閑静な住宅街を歩く。何も考えず、ただただ歩いていた。徐々に景色が明るくなっていき、気がつくと海に着く。海の表面が光を乱反射し、まだ日が高くないのにも関わらず真昼のように明るく感じた。私は海辺に座り、持ち合わせた小説を読んだ。二時間ほどたっただろうか。ふと私は肩を叩かれた。振り返ると、彼女がいた。「おはよう」彼女は微笑みながら私に言った。立て続けに「何読んでるの」と聞く。ぶっきらぼうに答え、私たちは海辺を歩いた。道先の入道雲を見上げる。空には葉音のような潮騒が聞こえている。
その後、私たちは森の公園に行きベンチに座っていた。長く歩いたためか、足は鉛のように重い。木漏れ日が足元を照らしている。「ねえ、あなたは何になりたいの」彼女が少し恥ずかしそうに聞いた。「特にないな。」「そっか。それでもいいや」彼女は少し微笑み、嬉しそうに答えた。彼女が何をしたいのか、あまり汲み取れない。そのまま惰性のように会話が続き、陽も落ちようとするとき私たちはベンチを立ってまた歩き始めた。ヒグラシがカナカナと鳴く。遠いどこかで祭りの音がする。辺りには夕日が差している。
そのまま私たちは森をぬけ、海とは逆の方向に歩き始めた。その道を進むと坂がある。そしてその向こうには小さな神社がある。坂の上から神社の辺りに明るく光が点っているのがわかる。どうやら祭りがあっているようだ。花のようにポツポツと赤く点っている。少し急ぎ足になりながら、彼女と坂を下りた。「ねえ、運命って信じる?」彼女は僕に聞いた。「わからない」雑に返答をする。その時私はずっと昼間の木漏れ日のことを考えていた。二人で肩を並べ、空を仰ぐ。紅色の花が大きく放たれ、一瞬で散っていく。頭の中でその景色をなぞるように俳句が繰り返される。「人の身は咲てすく散る花火哉、人の身は咲てすく散る花火哉、人の身は咲てすく散る花火哉」
私はこの景色がたまらなく美しいと思った。
そのまま私たちは花火を少し見た後に、一緒に海へ戻って別れた。
そんな彼女はもういない。いなくなるのは一瞬だった。あの日見た花火のように突然死んだ。そして十年経った今思い出し、あの言葉の意味を理解する。あの着色された不健康な状態を今も引きずって私は生きている。ただ、彼女との記憶だけが美しい思い出として脳に堆積している。
道は執念、空気は寂しさ、思い出だけが空になりうる。後悔だけが残され、彼女に何も出来なかった自分を恨んでしかいない。私はまさにガラクタだ。
日が昇り、花は咲き、忘れられたように月は薄れる。月に僕とあなたを形容する。そうして自嘲をしては、この堕落した生活を正当化する。何がしたかった、何を得たかった、何を言いたかった?苦しみから逃れるためだけに嘘の自分を開拓していった。昔の自分。今の俺はまさに、鉄くずである。
考察の余地を残せる作品を作りたかったので、雑に書きました。初めての投稿で読みにくいところがあったと思いますが、読んでくださってとても嬉しいです。感想をくださるともっと嬉しいです。