第七章<運命の変化は夜会で6>
「あ、アレン様?どこへ行くのですか?」
我ながら、引きずられ、やや強引馬車に乗せられたという???な状況に置かれている割に、ちゃんとした言葉使いが出来たと思う。といっても、珍しく本音が毒舌すぎるというわけではなくて、驚きすぎて、脳内が真っ白になってしまったからだからこう思っただけだけど。
「この時間帯に一人は危ないだろう。送る。」
遅い!伝えるのが遅すぎる!ズルズル引きずられてたとき、まさかの事態が一瞬頭の中をかすめたからね!?話してくれるまで、結構ドキドキだったからね!?あー、ドキドキして損した。あと言葉足りない!それに作者!曲がりなりにもこのお話が恋愛ものなら、アレン様に、ドアの陰に隠れてた私の前で立ち止まって手を差し伸べて、
「夜に女性一人は危ないだろう。良ければ送ろうか?」
とかいう台詞を言わせるくらいさせなさいよ!何でアレン様のキャラ設定が言葉足りなさすぎキャラなのよ!(作者:作者に逆らうんじゃない。もっとひどくするぞ)もうちょっと考えてよ!(作者:失礼な、ちゃんと考えてます)まあ私恋愛感情ってもんを持ったことないからいいんだけどね。ただ、この話の中で、こんな現実とフィクションをごった煮にしたバカな文章書いていいの?イメージ壊れたりしない?今からでもカットするべきでは?(作者:余計なお世話)
作者:失礼しました。リリアーネの毒舌に、うっかり応戦してしまいました。テヘペロ(*´∀`*)改めて、本編をどうぞ。
まあ、遅いとか失礼なことは絶対言わないけどね!?さっきはかばってくれたけど、変に毒舌こぼしてアレン様の機嫌損ねたら、100%断頭台行きだからね!?国外逃亡する選択肢もなくなるからね!?
まて、毒舌を優先させる私の思考回路のせいで後回しにされてたけど、私今、アレン様に心配してもらって、家まで送ってもらってるわけ!?マジ?そんな思いを極限まで丁寧語に置き換え、アレン様に尋ねてみる。
「あの、アレン様…なぜ、初対面の私にここまで優しくして下さるのでしょう…?」
「別に」
帰ってきた返事はそっけないものだった。なんだかなあと、肩を落とす。ここで、私はかなり重要なことに気が付いた。
「あっ!父様!父様ってどこにいるんですか!?」
思ったより大きな声になってしまった。やはり、私は思ったことをダイレクトに発言するべきではない、と悟ったが、もう遅い。だが、アレン様は少し驚いたような顔をしただけで、すぐに表情を戻し、答えてくれた。私が予想だにしなかった答えを。
「ルミナス公爵は既に自宅まで送っている。」
「はい?」
「ルークに国交一時停止を言い渡す前に送らせた。もう着いているだろう。」
「それは…ありがとうございます。」
素直に礼を言っておく。どうせ「ありがとう」と、「ごめんなさい」はタダだし。(うわ最低)
だが、そんな思考も、次の瞬間、一気に太陽系の外まで追い出された。
「気にするな」
本日二回目のその台詞に添えられた、笑み。否、言葉が笑みに添えられている。基本的に、沈着冷静が標準で、ランスはおろか、フィオの重臣でさえ、見た者が極めて少ないアレン様の笑顔。何故、現在進行形で私に向けられているのでしょう?
思わずまじまじと見つめてしまい、結果的に長時間見つめ合うことになってしまった。
自宅に着くと、アレン様はひらりと馬車から降り、私に手を差し出してきた。おそるおそる手を重ねれば、その手をギュッと握られる。気が付けば、馬車から降りていた。
「今日は、いろいろとありがとうございました。」
礼を言えば、またまた予想だにしていなかった答えが返ってきた。
「また、日を改めて迎えに来る。」
は?このお方は何を言っていらっしゃるのだろうか。そして、何故か後ろに、物凄く上機嫌な父様と、驚いたような顔をしながら、それ以上の笑顔の花を咲かせているアンナがいる。これはいったい、どういうことなのだろうか。
「では。」
そう言って去っていくアレン様に、深々と頭を下げることだけは忘れない。
私は、何も考えることのできない頭で、去っていく馬車をしばらく眺めていた。
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