27.王子の態度、そして休息
「っん……あれ? 私、いつの間に……」
目を擦りながら起きると、腕と足を組んで景色を眺めている王子の姿が目に入った。
一体いつの間に寝てしまったのだろうか。
思い出そうとするが、何故か良く覚えていなかった。
(王様の話を王子がしていたとこまでは覚えてるんだけど……)
その後がどうしても思い出せなかった。
「…………」
王子は黙ってただ流れていく景色を見詰めていた。
私も窓の方を見ると空はすっかり明るくなり、高々と陽が差していた。今まで霧の所為で景色が何も見えなかったけど、明るくなったお陰で景色が見えるようになっていた。どうやら今は森の中にいる様だ。
「ねぇ、どのぐらいで着くの?」
「…………」
何故か答え無い。
「? ねぇ、聞いてる?」
私は少し王子に近付いて話す。
王子は私の方をチラッと見て、また景色の方に目線を戻す。
(なっ、なんなのよ!)
急な態度の変化に少しムッとする。
そんなこんなで私達はただ窓の景色を眺めるだけで口を聞かなかった。
景色は段々と森から平地へと映り変わり、やがて街に入って行った。
暫く走った所で馬車が停まった。
するとジースさんが何処かの建物に入り、誰かと話をしていた。そして数分もしない内にジースさんは戻って来て、私達の方へやって来た。
「殿下、カリンさん、少し休憩を致しますので、ここの宿で休まれて下さい。私は少々用事がありますので、何かありましたらティナさんかアレク団長に申し付けて下さい」
「分かった」
そう言い、王子は先に馬車を降りた。
(ん? アレク団長?)
私も馬車を降り、周りを見回す。すると馬車の御者台からアレク団長が降りて来たのだ。
「アレク団長!?」
まさかアレク団長が御者をしていたなんて追知らず、そう叫んだ。
アレク団長は私の叫び声にびっくりして振り返る。
「なっ、なんだ!?」
「あっ、ごめんなさい!」
私は口に手を当て謝る。
「アレク団長も来てたんですね。私、知らなくて……」
「ああ、俺も急に言われてな」
アレク団長は苦笑する。
良く見るとアレク団長の目の下には大きな隈が出来ていた。
「アレク団長、大丈夫ですか? 何か疲れてる様に見えますけど……」
「えっ? ああ、実は殿下に反省文書けって言われて、徹夜越しに書き上げたもんだから、眠くて……」
そう言いながら大きなあくびをする。
おそらく、昨日のアレの所為だろう。
私も苦笑しながら、少しだけアレク団長に同情した。とは言っても半分は私達の所為でもあるのだけれど…………。
「そう言えば、殿下と何かあったのか?」
「えっ?」
「いや、何か雰囲気があまり良くないように感じたと言うか……」
アレク団長も気付いてたようだ。正直、何故王子の態度が悪いのか分からなかった。私はただ王子の話を聞いていて途中で寝てしまっていただけだ。
(話の最中に寝てしまったから機嫌悪いのかなぁ?)
幾ら考えても分からずじまいだ。
「私も良く分からないんです」
「なんじゃそりゃ」
アレク団長はそれ以上深く追求はせず、そのまま宿へと荷物を運んだ。
私も中に入ろうとした時、ティナが私の荷物を持ち、側までやって来た。
「道中お疲れ様でございます。荷物をお運び致しますね」
「ありがとう、ティナ」
「いいえ、これも私の務めですので。
それでは部屋にご案内致しますので着いて来て下さい」
ティナは私の荷物を軽々と持ち上げ、部屋まで案内してくれた。
(ティナって私よりも小柄なのにあんな重い荷物を軽々と持って、どこからそんな力が出てるんだろう?)
ティナをマジマジと見詰め、疑問に思う。
「……カリン様」
「えっ!? あっ、はい!!」
「あまり私を見詰めないでください。気になりますので」
「……はい、ごめんなさい」
どうやらマジマジと見てた事に気付かれていたようだった。




