21.ウブな反応、そして意外な朝稽古
食堂に向かう為部屋を出ると、ドアの横にアレク団長が立っていた。
「カリンさん、おはよっス!!」
「あっ、アレク団長! おはようございます!」
笑顔で挨拶をするアレク団長に私は満面の笑みで返した。
するとアレク団長が私の方を見るなり固まってしまった。
「………………」
どうしたのかと首を傾げる。
「どうかしましたか?」
アレク団長は私の問い掛けにハッとなり、何故か顔を赤くし慌てていた。
「あぅ、いや、なっ!?」
何を言ってるのだろうか。
アレク団長の慌てっぷりに少し不安になっていると、背後にいたティナがコソッと耳打ちした。
「恐らくですが、カリン様の雰囲気が随分とお変わりになっているので動揺してるのだと思われます」
「えっ!?」
私は再びアレク団長の方を見る。
どうやら図星の様で、赤い顔を手で隠しながら必死に見るなと制していた。
「見た目に反して結構ウブの様ですね」
ティナは冷静に分析している。おまけに手帳を出して何か書き始めた。
「なっ、何書いてるの?」
恐る恐る聞いてみる。
するとティナは口元に人差し指を当て、
「ヒミツです!」
と笑顔で答えた。
ティナの笑顔が少し怖かったので、これ以上は聞かないことにした。
アレク団長は自分を落ち着かせる為、何回も深呼吸をしていた。
そして段々落ち着いて来たのか、普通に会話が出来るまでに至った。
「すまん……動揺し過ぎた……」
「いえ、私も何だかすみません」
別に悪い事した訳では無いのだけど、取り敢えず謝る。
アレク団長が冷静になったのを見計らい、私達は食堂へと向かった。
今日もいっぱいある品を全て食べてしまい、朝食を終わらせた。
時間に余裕があったのでアレク団長に城の案内をしてもらう事にした。
「そう言えば、今日食堂に王子居なかったね」
「そう言えばそうだなぁ」
二人して珍しいと思っていたら、どうやらティナは王子が居ないのを知ってるみたいで話してくれた。
「殿下でしたら朝稽古をしていらっしゃいますよ」
「朝稽古?」
「はい、なんでも身体作りの為鍛えるだとか」
何だか意外と思ってしまった。
稽古なんて面倒臭いと言ってやらないイメージでいた。
私の思っていた事はアレク団長も同じだった様で、意外だと口にしていた。
「俺、殿下がよく稽古をサボってるっていうの耳にしてるから、真面目に稽古してる殿下が想像付かん」
「それ、私も思いました。
と言うか、何故いきなり身体作りなんて始めたんだろう?」
サボり癖のある王子がいきなり身体作りと言って稽古を始めたのが不思議で堪らない。どういう風の吹き回しだろうか。
「身体作りと言う事は筋肉を付けると言う事でしょうか?」
「筋肉………………あっ!!」
何か思い当たったのか、アレク団長は私の方を見た。
「もしかしたらカリンさんが原因かも!」
「えっ!? 私!?」
私何かしただろうか。そう思った時、フッと昨日の事を思い出す。
「そう言えば、昨日筋肉の話しをしたような……」
すっかり忘れてた。
「多分、殿下自分の体型を気にしてやり始めたのかも」
「でも王子も結構筋肉付いてるでしょう? 最初に出会った時、診察で身体少し触れたけど、がっしりしてましたよ?」
そんな貧弱な身体はしてなかったと思ったんだけど。寧ろ、私的にはあれこそ細マッチョでは無いかと思っている。それ以上鍛えなくても十分な気がするのに。
「おそらくですが、殿下は筋肉を付ける事で身体を大きく見せたいのではと思われます。殿下は少々小柄なので、がっしりしていても見た目では分かりにくいですので」
確かに見た目では分かりにくい。
だが、あれは筋肉を付けたとしても大きくはなれないと思うが、それを本人に言ってしまったら頑張って鍛えてる王子に申し訳無い気がしたので、言わないでおこうと思った。
「しかし、それが理由だとしたら、別に気にしなくてもいいと思うんだがなぁ。例え殿下が小さかろうと誰も指摘なんてしないのになぁ」
そう思った事を口にしていると、
「ほぉーう、俺はそんなに小さいのかぁ……」
「……え?」
背後から不穏な空気と共に、矢で射る様な鋭い声が聞こえた。
その声の持ち主が誰なのか悟った時、一瞬にして冷や汗が出た。
(こっ、これは……まずいのでは?)
私もアレク団長も振り返る事が出来ない。
だが、背後に立つ人物のドス黒いオーラが逃さないと張り付く。
「アレク=レイビン」
「っ!!」
アレク団長は咄嗟に名を呼ばれ、思わず振り返る。
「今から俺の執務室へ来い」
「えっ、いや、あの……」
「聞こえなかったのか? 俺の執務室へ今から来い!」
オロオロするアレク団長に間髪入れずに王子が言う。
一瞬アレク団長と目が合ったが、巻き添えを食いたくなくて、私とティナは目を逸らした。
(ごめんなさい、アレク団長!! 安らかに成仏して下さい!!)
アレク団長はそのまま王子によって連行されて行った。
これは余談だが、アレク団長は執務室で正座をさせられ、こっ酷い仕打ちを受けたと後で聞かされたのだった。
本職が繁忙期な故、中々執筆出来無い状態に陥っています。頻繁に更新出来ればいいのですが、本職の疲れ、子育てによるストレスがピーク状態で頭が回らず執筆速度がかなり落ちています。続きを楽しみにして下さる読者様には大変申し訳なく思っております。そんな中でも頑張って書いていますので、これからも応援宜しくお願いします。




