15.二人の団長再び、そしてお礼と感謝
執務室に入るとジースさんが紅茶と焼き菓子を出してくれた。
「まだ食うのか? お前……」
「いいじゃない。お菓子は別腹って言うでしょう!」
私は湯気の出る紅茶を飲みながら、お菓子を摘む。
「で、話って何?」
話って言われても、昨日は王子もジースさんも側に居たので、話をする様な事があるのだろうかと疑問に思う。
「昨日の話をするのは俺じゃない。入れ」
王子の合図でドアが開く。
「あっ!」
ドアの方を見ると、そこには昨日私が治療した二人の団長が立っていた。
「失礼します。殿下、お時間を頂きありがとうございます」
二人は深々と頭を下げる。
「カリンさん、昨日の件で改めてお礼をしに参りました。昨日は私達共を助けて頂き、本当にありがとうございます!!」
そう言って、また深々と頭を下げる。
私は慌てて立ち上がる。
「そっ、そんな、顔を上げて下さい! 当然の事をしたまでなので!」
「いいえ、私達が命有るのは貴方のお陰なんです! なのでお礼をさせて下さい!」
二人の熱い申し出に、これ以上何も言えず、折れてしまった。
それにしても、あれだけの怪我を覆っていたのにも関わらず、動いて平気なのだろうか。
私は怪我の経過も知りたくて聞いてみた。
「もう怪我の方は大丈夫なんですか?」
すると、二人もこんなに早く治ると思っていなかったみたいで驚いてた。
「カリンさんが治療した者達は皆、今朝起きたら治っていたみたいで、皆仕事に復帰してます。私共も驚いてるんです。こんなに早く治るなんて」
私が作った薬は何故か治りが早いと近所からは評判だった。
でもこんなに早く治るのは初めてで、自分自身も戸惑っている。
「何にせよ、早く仕事に復帰出来た事は、私共も嬉しい限りなので、本当に感謝してるんです!」
「いえ、元気になられて私としても本当に良かったです! でも、無理はなさらないで下さいね。病み上がりなので」
無理をして、また怪我でもしたら本末転倒だ。
とは言え、騎士をしている以上、怪我は避けては通れないのかもしれない。極力無理をしない程度にお仕事を頑張って欲しいと二人に伝えた。
話は終えた所で、団長二人は執務室を後にした。
「でも、本当に元気になって良かったわ。こんな早く治ったのはびっくりだけど…」
団長二人の元気な姿を見れたので、少し安心した。
特に死の瀬戸際であったフォレス団長が、元気に動き周れている事が、何より安心した。
また一つ心に余裕が持てたというものだ。
「それで、これから私はどうしたらいいの?」
昨日は突然の騒ぎで考える余裕が無かったが、私はこれからどうしたらいいのか分からなかった。
「その件、明日話す。今日はゆっくりしていろ」
「ゆっくりって言われても……」
あんな豪華な部屋じゃあ、余程疲れてない限り、落ち着けない。
「なんだ?」
「いや、まあ……」
私は考える。
流石にあんな豪華な部屋を用意してくレてるのに文句は言えない。
「そっ、そうだ。お城の中を散策してみても良い? お城の全体はまだ案内してもらってないし、中には入ってはいけない場所もあるでしょう? だから城の中を詳しく知っておいた方がいいかなぁと思ったんだけど、駄目かなぁ?」
思い付きではあったが、ちょっと城の詳しい内部が知りたかったのも本当なので、嘘は言っていない。
王子は少し考え、ジースさんに案内をするよう命じた。
「だが、あまりジースからは離れるなよ」
「ええ、分かったわ」
私は少しワクワクした気持ちで、ジースさんと共に執務室を後にした。




