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解放される能力

(……あぁ……この音を聴くと頭が……割れる……)


「あ……がァ…」


マモンが鳴らした音を聞くと蝿の悪魔は突然頭を抱え唸り出したのだった。

マモンは思う。直感で思う。


こいつは想像を遥かに超えるものを持っているのではないかと


そう思っていたさなか突然目の前から蝿の悪魔が消えたのだった。


「は!?……な!?こいつ!」


バキィン!!


と音をたて壊れたのはマモンが持っていた鉈が持ち手から先が壊れていた…否


ゴリゴリバリバリ…ゴクン……


「ゲプッ」


「こいつの歯は…どうなってんだ?喰いやがったぞ!?俺の秘蔵の武器を!」


そう蝿の悪魔はマモンの鉈を喰らったのだ。それを見た周りのものは驚きを隠せない…マモンもその1人だった……なぜならマモンが持っていた鉈はオリハルコンと呼ばれる悪魔鍛冶師が持つハンマーでしか加工できないとされている代物で出来ていたものだったのだ


「…そう言えばこいつのスキルにゲテモノ喰らいとかがあったな…そのスキルか」


すると蝿の悪魔は鉈を食べ終わるとマモンに襲いかかってきたのだ。


蝿の悪魔の攻撃は正直強くは無い。どちらかと言えば雑魚と言えよう…だが何かおかしい…そんな違和感を抱きながらマモンはしっかりと避けるのだった。

すると周りの使用人の1人がそれを見て我慢出来なかったのか素早く動き拳を振り上げ蝿の悪魔の死角から攻撃を入れようとした。マモンは気づき


「待て!」


と言ったのだが時既に遅し…使用人の拳は蝿の悪魔に止められた。そのまま使用人の拳、腕は…


バクン!…ビチャビチャ…ハグハグ…


と蝿の悪魔に喰われたのだった。どうやらマモンが感じていた違和感の正体は目の前に起きている状況だった。


「…こいつ…腕にまでいや体の至る所に口がありやがる…防御すりゃそのまま食えるってか!気色悪ぃ!!」


とマモンが言いながら使用人が食われるのを待つ何故なら既に助けられないからだった。


ゴリゴリ…パキンッ…パキン…ゴリュ…ゴクン…


使用人は生きたま腕から首に噛みつかれ首の血管をチュルチュルと吸い上げた後頭の頭蓋を噛み砕き脳を美味そうに平らげそのまま体を食べ進め最後に残していた心臓を頬張り……蝿の悪魔は落ち着きを取り戻りそのまま寝てしまったのだった


「…これはエグいものを拾ったなぁ〜…おい、ほかの手が空いてるものが居るなら此奴を鉄格子付きの部屋にでも入れておけ…もちろんそいつも一緒にな」


とカプセルを指さすマモンだった。先程まで闘志で溢れていたが目の前で使用人が喰われては戦意も喪失していた。

マモンは遺体が無い使用人を弔った後蝿の悪魔の元へと向かう。その後マモンは彼に話しかけた。


「なぁ、お前あいつは美味かったか?」


と聞くと先程まで喋る事すらままならなかったはずの蝿の悪魔が突然


「あぁ…美味かった…また…食べたい」


「…お前喋れる様になったのか…ちょっと良いか?」


とマモンは蝿の悪魔に質問する


「名前は?」


「……なま…え……名前?…名前!」


「あぁ…名前だ、あるだろ?」


と聞くと蝿の悪魔はにやりと笑い自らの名前を言うのだった


「……ぜ…ぶ」


「ん?なんだって?」


「ベルゼブブ」


「……ほぉ?それがお前の名前か」


「うん」


それを聞くとマモンは「また来る」と一言残しその場を後にした。

マモンは自室に戻ると思わず膝から崩れ落ちたのだった…そしてすごく嬉しそうな表情となり


「おいおい…こりゃァとんでもねぇ!!!!掘り出し物の中でも最上級!!!これは運命か!?それとも因果か!!あいつが死んでから666年!!たった今日!!あいつと同じ名前のしかも暴食持ちの悪魔!!…しかし…何であいつのパークは鑑定出来なかったんだ…?」


とマモンが考えていると突然ドカンと音を立て強引に部屋の扉を開けられ、そこには使用人が焦った表情と今にも泣きそうな表情でマモンにすがりついていた。


「おい、どうしたんだ?突然」


「そ、それが!蝿の悪魔…鉄格子を喰い破り…他の悪魔を平らげ…館から逃走しました!」


「はぁ!?あの鉄格子にゃ、最高級の魔導具で練り上げた結界を貼ってあったんだぞ!?」


「…はい、その結界ごと」


「…はははははは!!!!!流石暴食!!悪魔1人じゃ足りないってか!!クソ野郎!!」


とマモンは腰につけてあった鍵で扉を開きそこから何かを取り出しまた新たに扉を開く。


「最初に開けた扉に使用人等を避難させろ…俺はちょいとあのバカを説教しに行く」


「は、はい!」


とマモンが告げると共にマモンは扉へと入り入った扉は閉じたのだった。


〜マモンがベルゼブブから離れた後〜


蝿の悪魔

ベルゼブブはどうなっていたかと言うと目を覚まし辺りを見回す


(……ここは何処だ)


ここが何処か分からない


(一体何が…ん?口元が生暖かい…?)


自分の手で口を拭う…そこには血がべっとりと付着してている


(……え?…これは…血!?)


彼は今さっきまでの記憶が曖昧となっていた


いや違う…彼は今ようやく自我を取り戻す事に成功したのだった。そんな彼の頭の中に声が響く


『スキル、狂喰の効果が先程の個体を喰らった事で解除されました』


(……すきる?一体何だ?頭の中で声がする)


『個体名、ベルゼブブ…パーク完全解除を実行できます。実行しますか?』


(誰なんだよ!答えてくれよ!)


しかし…頭の中で流れる声は同じ事を言うばかり


『パーク完全解除を実行できます。実行しますか?』


(……ぱーく?…さっきから…何を?…あのカプセルは一体なん……あが!?)


と考えていると突然激しい頭痛がし始める。その頭痛により、パークやスキル。この世界がどんなのか……自分が元は何者だったのかをある程度は思い出す事ができたのだ…カプセルに入っている者も


「…あぁ…痛かったなァ……パークをようやく解除出来るか……なら…解除する」


『了解。パーク完全解除を実行します』


ベルゼブブはここに来てようやく自我を完全に取り戻し尚且つまともな思考をも持つ事が出来たのだった。


するとそこへ使用人がやって来る。


「今なにか聞こえなかったか?」


「そんな馬鹿な…俺たち以外入ってないだぞ?ここの周辺は」


「まさかあの悪魔かな…ほら同期を食べやがった…あの悪魔」


「あぁ…マモン様が拾ってきた悪魔か…俺見たけどよあいつまともに喋れる様になったはずじゃないぜ?あぁ…とか…うがぁ!とか」


と使用人達がベルゼブブの部屋の前に立つ。

ベルゼブブの姿はあるのだが…何やら不穏な空気を感じ取れる…まるで自分が今から調理されるかのような気分だった。


「…おい、この悪魔以外いないぜ?やっぱり聞き間違えじゃないのか?」


「あぁ〜聞き間違えかァ〜何だったんだろ?」


と使用人が帰ろうとすると


「お〜い、あんたら此処はどこだ?」


「え?此処はマモン様の…って!?お前…喋れるのか!」


「ほらな!?やっぱり聞き間違えじゃないだろ!?」


「あぁ〜喧嘩なら後にしてくれないか?俺にゃやりたい事があってここを出なくちゃならないだ」


と言うと使用人の目付きが変わる


「すまないがまだ出す事はできない」


「そりゃ残念…理由は?」


「マモン様の許可がないからだ」


「ほぉ〜そんな偉い奴なのかマモンってのは」


とベルゼブブがマモンの事を呼び捨てにすると使用人達が大声をあげた


「てめぇ!!様をつけろ!」


「マモン様がどんな立場か分かってんのか!?このクソ悪魔が!!」


「おいおい…そんな大声出すなよ…頭に響くぜ…ったく…」


「マモン様はな!初代強欲を継ぎ今は現段階の強欲の席に座られている方だ!」


その言葉にベルゼブブは反応する


「……………席?」


「あぁ!席はこの魔界で!」


「……いい、説明不要だ…と言うかその単語は今は聴きたくない…」


「はぁ?何を言っ」


すると突然ベルゼブブは拳を思いっきり鉄格子にぶつける。当然今のベルゼブブには破れない。ただただ大きな金属音が部屋を包んだ。


「聴きたくない…黙れ」


使用人の1人は黙ったが1人はマモンを侮辱されたのかと思いまだ言う。


「生意気だな!そんな也の癖に何言ってやがる!大体お前は何なんだよ!突然来たかと思えば!マモン様に好かれ…更には同期を食べやがって!」


「お、おい。落ち着けって冷静に」


と1人は宥めようとするがその声ももう届いていなかった。


「それに!そんな小汚いカプセルなんか持ち込みやがって!中に何が入ってるのか見せやがれ!」


と近くにあった椅子をそのカプセルに向かって投げカプセルを割ってしまった…

すると中からは液体と共に何かがゴロっと…転がり出てきた。


「…おい!お前、マモン様に怒られ…え?」


「…なんだ…ありゃ…?」


転がって出たのは…悪魔の体の一部分だった。

恐らくは頭蓋骨と思われる…


「…………………………」


「なんだそりゃ!気色悪ぃ!そんなもの持って!一体何になるだよ!」


そんな声は彼には届かない…ベルゼブブは液体が溢れる床をピチャピチャと歩き…静かにその頭蓋を持ち上げる。液体が滴る頭蓋はそっと抱きしめ…


「あぁ…お前を必ず…復活させる…」


とボソリと呟やいた後…ベルゼブブは視線を使用人達へと向けた。


使用人達はその視線を感じ…後悔する。

次の瞬間ベルゼブブの頭の中にはこう流れる


『パークの解除…完了しました』


「おぉ!ベストタイミング」


「何を言ってや」


と瞬間に鉄格子がバラバラに切り落とされ、使用人の1人は姿を消したのだった。


「あれ?どこ行っ」


と言いかけた時にはもう1人もその場から姿を消したのだった。2人は既にベルゼブブの腹の中に入っていたのだった…


「はぁ……久しぶりに味を感じるんだろうけど……やっぱり…肉は味濃いなァ…魔力が高いからか」


と口を拭きながら呟やくのだった。

そしてその拭いている手に握られているのはマモンが使っていたはずの大きな鉈だった。


「こいつがパークの効果か…悪くない。っとささっとここを出るとするか…」


とベルゼブブは片手で頭蓋を優しく抱き、そしてもう片方には大きな鉈を握りしめマモンの屋敷の使用人を複数人殺った後窓を突き破り外へと出るのだった。


屋敷を後ろに歩いているベルゼブブだったが


「…やっぱり早いね〜…あんたは」


とベルゼブブが目線を自分の後ろにやるとそこには、扉が現れ…開き、扉から出てくるのは勿論


「あぁ〜、おめぇはちと殺りすぎだ…流石に許さんよ…今から此処で」


とマモンが話している途中だがベルゼブブは地面を力強く踏み走り出す。そして鉈をマモンの顎を砕こうと振り上げる…が


ガキィィィン!!!


とマモンは既にハルバードを扉から出しており難なくベルゼブブの攻撃を防いだのだ。


「やっぱり1発じゃァ仕留められよなァ〜」


「当たり前だ♪俺は席だぞ♪この馬鹿野郎!!」


とマモンはハルバードを一瞬で持つ手を変えた後ベルゼブブへと攻撃を繰り出したのだった。

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