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恋に恋する季節 ~バレンタインデーの贈り物~

 ああ君は覚えているかい? ああ僕は覚えているよ。

 君からもらったバレンタインのチョコレート。

 もらってすぐに食べてしまったけどあの優しい味を僕は忘れない。

 甘さの中に感じる君の愛と優しさ。

 ああ僕はずぅっと忘れない。一生忘れない。

 大切な大切な君との愛の日々を。とっても素敵なバレンタインデー。

 忘れたくない、僕と君とのバレンタインデー。

 雪が降る、白い空の下で君は僕に告白をした。

 僕はまさか君から告白されるなんて思っていなくて何も言う事が出来なかった。

 僕はやっとの事で声を出して君の告白にOKしたのさ。

 君はチョコレートを強引に押しつけると僕の前から消えてしまったのさ。とっても甘い思い出。

 約三十秒後にチョコレートが爆発。

 僕は身体はバラバラになってしまったけど超能力で復活したよ。


 習っていて良かった、ふじわらしのぶ様の「誰でも出来るふじわらしのぶ流サイキック暗殺術」。


 僕は次の日から君に復讐する為にふじわらしのぶ様のところで空手と忍術をミックスさせた全く新しい格闘技を習うことにした。

 その名も「サイレント・ハンド」、「忍空」じゃないのさ。


 「まずはこのダイアモンドの粒が入った袋を一日、千回パンチするのだ」


 えい!えい!えい!


 パンチする度に僕の手は血だらけになってしまったが、構うものか。

 お前の心臓を止めるまでは何があっても倒れん!


 てやややあああーーッ‼


 僕は無我夢中でダイアモンドの粒が入った袋を殴り続けた。


 そしてついに…。


 「為ったな、清春。ついにお前の拳はダイアモンド級の硬度を手に入れたのじゃ」


 しのぶは清治の手を握る。


 「お師さん…」


 大塚清治の目から涙がこぼれ落ち

 る。ついに清治は神の拳”ダイアモンドフィスト”を手に入れたのだ。

 これで清治に死にも等しい屈辱を合わせた男に復讐できる。


 「さあ、言って来い。清治よ。お前は既に我が拳をマスターした無敵の男じゃ。それとこれはワシからのバレンタイン牡丹餅じゃ。大事に食うといいぞい」


 しのぶは清春に牡丹餅を渡す。


 清春は号泣しながら牡丹餅を食べた。


 「流石はお師さん、つぶあんの牡丹餅なんて幸先がいいや!」


 「わかっておったか。世の中にはこし何とかという邪悪なあんこがあるそうじゃからのう」


 師弟は笑い合い、こしあん絶滅の誓いを掲げた。

 そして清春は復讐の為に偽のチョコレートを渡した悪漢太和屋幸司のもとに向かう。

 幸司は清治を爆殺したと勘違いして、セブンイレブンの前で大宴会をしている最中だった。

 モヒカンの大男に囲まれた幸司はイカくんを食べながら天下統一の野望を宣言する。


 「おい聞けよ、子分ども。あのモテない君の大塚清春を、俺はついに爆殺してやったぞ。アイツめ、俺がちょっと髪型を変えたくらいできっと俺の事を自分に一目惚れした美少女だと勘違いしたんだぜ?つくづく憐れな野郎だ‼ガッハッハッハ‼」


 幸司はカルピスウォーターをさらに水で薄めたギリギリカルピスみたいな味がする飲み物を飲んでいた。


 モヒカンたちは何とか幸司の気を引こうと心にもないお世辞を言う。


 「幸司さんはやっぱ最強っすね。これからは幸司さんの時代ですよ!」


 「ガッハッハッハ!よく言った!お前にはマンホールの蓋をやろう!さあ、持って行け!」


 幸司はフリスビー感覚でマンホールの蓋を投げる。

 

 ぐしゃあッ‼


 キャッチし損ねたモヒカンの身体が半分に避けた。


 「おっと手がすべっちまったぜ。後で誰かザオラルでもかけてけ」


 「流石は幸司さん、太っ腹だ!」


 ザオラル!

 しかし、モヒカンは生き返らなかった!


 「おい。もっとレベルの高い僧侶を連れて来いよ。これじゃあゾーマと戦っても全滅するだけだぜ?」


 そう言った直後、幸司の頭部がいきなり爆ぜ散った。


 「あびゅッ!!!」


 遅れて音声が再生される。


 「幸司、地獄の底から蘇ったぞ。俺の顔を忘れたとは言わさねえぜ‼」


 清春は出会い頭にダイアモンドフィストを撃った。

 幸司はモヒカンを盾にしてダイアモンドフィストを受け止める。

 モヒカンは思ったよりも頑丈で”マダマダイケマース!”と余裕の笑顔(※死顔)を浮かべている。

 清春はダイアモンドフィストをさらにパワーアップさせる為に牛乳を飲んだ。

 カルシウムは頑丈な体を作るのだ‼


 「清春よ、まさかお前も”ふじわらしのぶ流サイキック暗殺術”をマスターしているとはな。恐れ入ったぜ」


 幸司はいつの間にかダイアモンドを超える硬度を持つ”超合金 東海道中膝栗毛”で作られた鎧を身に纏っていた。

 この物質の最大の特徴は最終目的地である太宰府天満宮に二人の旅人が到着するまで一切のダメージを受け付けないということだった。


 「幸司、まさかお前もふじわらしのぶ師匠から教えを受けていたなんて…」


 清春はしのぶからもらった牡丹餅を食べていた。

 

 やはりつぶあんは最高だ。

 つぶあんの中に含まれた小豆の皮がほのかな甘みを出している。

 大体、皮を取るなんて許せない。

 仮性包茎の人に謝れ。


 清春は連続して幸司を殴った。

 幸司のまわりにいたモヒカンたちは全て棺桶に変わっていた。

 幸司は代理としてコンビニの店員に金を渡して盾になってもらった。


 「食らえ、幸司‼」


 「効かぬわー‼」


 「うぎょッ‼」以上のやり取りで人が一人ずつ死んでいった。


 幸司と清春は夜遅くまで戦い続ける。


 やがて清春のダイアモンドフィストが幸司の心臓に当たった。


 「げはっ!」


 幸司は天に向かって大量の血を吐いた。

 血は扇状に吹き上がり竜の姿となる。


 「幸司、まさかこの竜の姿は…ッ‼」


 「気がついたか、清春。これは俺という呪縛を破って無数の臥龍が解き放たれた証。乱世はさらに乱れるぞ!フハハハハッ‼後これ俺からチョコレート、良かったら食べてね」


 幸司は懐からコープのポイントでもらえる贈答用のチョコセットを清春に渡した。

 そして幸司の肉体は炎に包まれ、灰の中から鳳凰が生まれ天に向かって飛んで行く。

 清春は今、真のバレンタインチョコを手に入れたのだ。


 「イエイ‼」


 清春は早速もらったチョコの包み紙を剥がして食べる。


 なんて甘いんだ。


 これからの人生、大変な事もたくさんあるだろう。

 だがそんな時こそチョコの甘さを思い出して立ち上がるのだ‼頑張れ、


 清春。負けるな、清春。


 戦いはこれからだ‼


 「清春よ、真の敵はこのワシじゃ‼覚悟するがいい‼そうだ。ぶっ殺し合う前にワシからもチョコレートをやろう。ハッピーバレンタインじゃ‼」


 しのぶは清春にチョコレートを渡した。

 チョコレートの包み紙には「ゴジュラス」と書かれていた。


 なぜ抹消されたメカ生命体の名前が?


 清春は銀紙を開いて中身を確認する。

 なんと銀紙の中にはキン消しがギッシリと詰まっていた。


 「お師さん、これは食べれないというか食べ物じゃないですよ?」


 清春はサタンクロスのキン消しを手に取る。

 手足の太さが同じ事に違和感を覚えていた。


 「清春よ。それはお前の弱い心が見せている幻影…。本当に強くなりたければ自分の限界を越えて見事キン消しを食べきってみるのじゃ‼」


 「俺が間違っていました‼お師さん、俺このキン消し全部食べます‼」


 「よく言った‼さあ食べて見ろ‼お前の勇気を見せるのじゃー‼」

 

 清春は死力を尽くしてキン消しを食べた。

 途中、何度も吐きそうになったが我慢して食べた。


 「お師さん、全部食べましたよ…」


 「そうか。ワシも食べてみた。すっごいマズイのう…」


 「ええ。これ本当に消化できるんですかね」


 清春としのぶはお腹が苦しくなってきたので、とりあえず目を閉じることにした。

 そして二人は息が絶えるまでの時間ずっと互いの名前を呼び合っていたという。


 清春としのぶは人生の最後で本当に心を許し合える者をみつけたのだ…。


 みんな、ゴム人形を食べたらお腹を痛くするどころじゃすまないから絶対に食べちゃ駄目だ。

 ふじわらしのぶとみんなの約束だぞ?


 ジャンケンポンッ‼…ウフフフッ‼

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― 新着の感想 ―
[良い点] 笑わされて「わが意を得たり」と、考えさせられる素晴らしい作品です。 [一言]  誤ってキン消しを食べた記憶を呼び起こされました。  何と苦いバレンタインデーでしょう。いや、キン消しを食べた…
[一言] 十代後半に入って以来、バレンタインデーが本当に身近な人間関係にすら一切関係のない異世界の風習でしかなくなっていたので、この歳になってもう身の回りの誰もバレンタインの事なんか本気で話題にしなく…
2021/02/14 19:24 退会済み
管理
[一言] 「やはりつぶあんは最高だ。  つぶあんの中に含まれた小豆の皮がほのかな甘みを出している。  大体、皮を取るなんて許せない。  仮性包茎の人に謝れ。」 ふじわらさん、どうしてくれるんですか。…
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