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女子ばいくぶっ!  作者: 吉田松陰
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まずはキャブレターから・そのいち


 「というわけで、ハカセに手を貸してほしいんだが」


 「どういうわけだよ」


 11月某日午後3時、千葉県の女子大工学部。

 千葉県の西側にあるため、東京住みの私は当然下宿するもんだと思っていたが、家の経済状況じゃ厳しいと朝5時起きの生活を余儀なくされた。

 女性の一人暮らしは危険だからとかじゃないのが癪に触る。

 そんな大学の隅っこ、ぶっかけうどんがすこぶる不味いと評判(博美調べ)の食堂にて作戦会議が開かれた。


 「何回も言ってるだろう。バーディーちゃんが謎のヘッドライト故障を見せてくれたからチキチキマグナ50くん修理大作戦を開くんだよ」


 「そもそもバーディーのヘッドライト如き直せない奴が不動車直せると思ってんの?」


 そう言うのは私の友人である藤堂葉加瀬。

 スズキのストリートマジックのエンジンを3回壊したことのある猛者だ。

 どうしよう、もう不安になってきた。


 「直そうと思えば直せんだよ。でも今迄バーディーのヘッドライトが何かしらの不具合訴えんの何回目だと思う?」


 「5回。4回目は私が助けに行った」


 「もう付き合ってられん」


 あのバーディーも乗れなくはないのだ。

 だが、いい加減まともな車両に乗りたいというのと、いつ壊れるかわからないエンジンはもう嫌と思う気持ちが大きい。


 「で、どこまでやったの?」


 「キャブ開いた。綺麗だった」


 「メインとスローは確認したの?」


 「どこかの世界線では確認してるはず」


 「解散」


 そう言うと葉加瀬は席を立った。


 ※キャブ:キャブレターのこと。ベンチュリー効果(水が出てるホースの先をちょっと抑えると水の勢いが強くなるアレ)を使ってガソリンをキャブレターの中に取り込み、空気と混ぜて燃えやすくしてエンジンに送る。原付が止まったら大体こいつのせいだと思ってる。


 ※メインとスロー:メインジェットとパイロットジェットのこと。本来エンジンは回転数が常に変動するが、メインジェットがアクセル全開時の、スロージェットはアイドリング時の調整を行い燃料を噴出する。


 「部室に持ってきてたらみてあげようか」


 「動かない原付を60km無料で運ぶ手段があるとでも」


 「じゃあ解散で」


 「あざっしたー」


 こうして第1回チキチキマグナ50くん修理大作戦会議は幕を閉じた。






 翌日、私の自宅にて第2回チキチキマグナ50くん修理大作戦会議が開かれた。

 参加者は私と通話で葉加瀬が参加してくれた。


 「キャブ取り外したぞー」


 『メインどう?』


 「私の人生より先が明るく見える」


 『じゃあスローかな。取り外して細いワイヤー通してみて』


 「使ってないギターの弦切ってくる」


 私は中学生時代にエレキギターを買ったのだが、半年で飽きてケースごとオブジェとして小さな部屋の一部を占領している。

 取り敢えず1弦から3弦まで切り取り、取り外した部品の中を通してみる。

 

 「1弦と2弦は通ったけど3弦は通んないわ」


 『じゃあスローだね。さっさと買ってきなさい。それで多分エンジンはつくから』


 「了解。結構遠いから今日はここまでで。ありがとね」


 『いいってことよ、またなんかあったら言ってくれれば教えるから』

 

 「今度一杯おごるわ」


 第2回チキチキ以下略は以下略。

 と言うわけでキャブレター関連を直していくことになったのだが、徒労とは言わないが直るまでまだ程遠いことにこの時まだ私は気づいてなかった。


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