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まだ、形もない神が生きていた頃  作者: 幼卒DQN
チトフの旅
1/13

プロローグ

 誰にするかは酋長の一存に懸かっていた。

 だからみんな必死だった。体に不具がある者は確実に対象にされる。

 暗々裏に食料を献じて保身を図る者もいた。讒言も後を絶たず、酋長の権威は高まる一方だった。

 始まりは父の怪我だった。足を挫き、動けなくなった。父は間もなく殺された。

 父の死を嘆いて母は寝込み、病気に罹った。母は殺された。

「ほら、食えよ」

 嘲笑が集落を満たした。

 肉を食べろなんて言われたのは初めてだった。血の滴る肉を僕の目の前でぶらつかせる。

 さっきまで息をし、僕を庇ってくれていた。母の肉塊。

 喉から酸っぱいものがこみ上げた。僕は揺れる霞む歪む集落を脱し、どこへともなく駆けた。

 これで僕は天涯孤独。僕が不甲斐ないせいだ。僕が反駁できないことが解っているから、父も、母も。

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