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再召喚された勇者達は世界を滅ぼす  作者: 歩海
第1章 再召喚そして再集合
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『それじゃあ報告するわね』

「ああ、頼む」


 あれから1日経って、僕たちは精霊たちから咲夜たちの状況を教えてもらうために、また会議しをしていた。


『結論から言えば、労働者と言っても過言ではないわ』

『正直言えば、圭、水希、美希も同じ状況になっていたかもしれないわね』

『え? けーで遊んでいいのは私だけよ』

『今そういうのいいいから』


 報告してくれるのは非常にありがたいのだが、イフが口を開くたびに脱線してしまっている気がする。もう全部シルフィに話させたほうがいいんじゃないか?


『そんな態度なら話さないわよ』

「シルフィお願い」

『私を無視するなぁ』

「なら真面目に教えてくれよ」

『わかったわよ』


 なんで報告を一つ聞くのにここまで苦労しなければいけないのだろうか。でも、教えてくれるのならちゃんと聞くとしよう。それが話を聞くものの態度だから。


『彼らの1日の様子を順々に話していくわね……まず、朝起きて、食事をとって国の人と訓練そして昼食をとった後、また訓練をして夕飯を食べておしまい』

「は?」


 それは……確かに僕たちも同じようになっていたかもしれないな。でも、それってかなり窮屈ではあるけど、きついのかな? そんな風に思っていたのが顔に出ていたのかシルフリードから補足が入った。


『でも、あいつらの記憶をちょっと見てみたけど何かあれば傭兵として命懸けで出陣させられることもあるみたいね』

「それはキツイな。しかも本人の承諾なしに、だろ?」

『ええ、水希の言う通りよ。急に死地に送られることもあるってことね。咲夜がさりげなく毎回死地に出向いてフォローに回っているから死者は出ていないわね。でもクラスメイトたちは今の状況に不満を抱いているわ』

「誰だってそうなるだろうな」


 急に喚ばれて力があるからってことで訓練させられて、そして戦いに向かわされる。そんな生活をさせられていたら誰だって嫌になる。しかも、今まで平和な日本で生活していたわけだし。


「他には何か?」

『うーん、記憶を覗いちゃったせいで魔力が尽きちゃってこれ以上探るのは無理だったわ』

「イフは? お前記憶とか覗いてないだろ」

『私はずっと不可視の魔法を使っていたわよ。シルフィが記憶を覗いていた時にシルフィ分も私がしていたのよ。おかげで魔力の消費が激しくて激しくて』

「僕の魔力って結構あると思うんだけど……それでもキツかった?」

『不可視になるの久々すぎて忘れちゃってただけよ』

「そ、そう」


 つまり久しぶりということで魔力を予想以上に使ってしまったと、それならまあ、仕方がないね。そして、そこまで聞いたところで、美希がまとめた。


「ありがとう。なら、やるべきことは決まったわね」

「そうだな」

「それは迷うことはないぜ」


 その言葉に、僕も水希も賛成する。やるべきことは咲夜たちを助ける。そのために、するべきことを考える必要があるな。


「それで、具体的にどう助ける? 美希の魔法で転移させるか?」

「うーん、さすがに人数が多そうだから難しいかも。何人いるかわかる?」

『詳しい人数はわからないけど、20人以上はいると思うわね』

「それなら、キツイわね。私の魔力が足りないわ」

「僕たちから移せないんだっけ?」

『無理。できるとしたらあんたとアリスぐらいね。私とシルフィを介して、という感じになるけど』


 つまり僕とアリスならある程度なら出来るわけか。これはいいことを聞いたかもしれない。以前は精霊使いは僕だけだったからこんなこと全く知らなくても良かったのに。


「でも、数人なら送ることはできるか?」

「そうね。一度に送るとしたら….10人ぐらいが限度よ」

「なら半分はそれでいいか」

「そうだな。俺たちはどうとでもなるし。咲夜のやつもいるし、平気だろ」


 水希の意見には賛成する。4人もいれば一国を相手にすることぐらい平気だろう。でも、戦うのはいいのだけど、美希が送らなかった人たちを守りながら逃げるというのは……いけるか?


「僕たちで守りながら逃げれる?」

「うーん」

「相手の戦力がわからないからなんとも言えねえな」

「水希の空間斬りで壁ごと全部ぶち抜いたら?」

「あー、それならいけるか? 俺が道を作って、美希の魔法で空飛んで」

「私の魔力が持たないわよ」

「妾もお姉ちゃんみたいにできぬからな。風の精霊と契約しているのにすまぬな」

「いや、いいよ」


 自分にできることとできないことをきちんと教えてくれるのは非常にありがたい。できると思って作戦を組み立てたのに本番になった瞬間にできないですってなるのは大問題だ。そう話していたらユナちゃんが質問をしてきた。


「ちょっと待ってください。咲夜様のクラスメイト? たちをここに飛ばすのですか?」

「あ、ここに直接送ることは不可能よ? 言ってなかったわね」

「そうなんですか」

「関係ないんじゃない? ここの前に送れば結局解決だろ?」

「でも、どのみち、設明する人がいなければ厳しくないですか」

「あー……」


 確かにいきなりここに連れてこられたとしても、何が何やらわからないし、僕たちがここに戻ってくる前にまたどこかに移動してしまったり、最悪また囚われてしまうことになるかもしれない。そうなってしまえば堂々巡りだしよくないと思う。


「そうなると説明する人が欲しいな」

「はい、それを私が」

「いや、ユナちゃんじゃダメね」

「どうしてですか?」

「僕か、水希か美希か……少なくともこの世界の住民じゃダメだな」

「でも、そうなると、咲夜のやつもいた方が都合いいよな?」


 異世界人にいきなり言われたらわからないし、反発してしまう可能性もあるからね。だから同じ日本人であることを伝えれば多少は警戒心とかを和らげることができるかもしれない。それに、水希が言ったように咲夜も協力してもらえると助かるかもしれないな。戦力のことに目をつぶれば。


「わかった、なら僕と水希が残るから美希と咲夜がここで説明してくれないか」

「どうして」

「ここで休んで魔力が回復したら俺たちを回収しに来てくれよ。そうすればかなり楽になるし」

「それは……そうね」

「これで脱出の手立ては見つかったな。あとは、どうやって潜入するかだけど」

「妾も協力しよう。エルフの子はどうする?」

「もちろん、私も参加します。戦力ではお役に立てないかもしれませんが、回復魔法を使うことができますので」

「それは助かるよ」


 回復魔法を使うだけなら美希でもできる。咲夜のクラスメイトたちが怪我をしていた時に回復させてあげることができれば、その後の動きがかなり楽になる。でも、美希の後々の役割のことを考えると魔力はできる限り温存しておいてもらいたい。その点においてもユナちゃんが一緒に来てくれるのは非常にありがたい。


「結局まだ潜入方法は決まっていないわよ。どうするのよ」

「正面突破?」

「全部壊していくか?」

「あんたらに話を振った私が馬鹿だったわ、ユナちゃん、アリスちゃん。それからユイナさんも何かない?」

「そうですね……すみません」

「そうじゃな、思いつかぬな」


 みんな、悩んでいる。でもこういう時には複雑に考えることをやめて単純にするのがいいんだけどね。でも、さすがに脳筋で考えていくのは良くないのかもしれないな。


「あら、それじゃあこれはどうかしら?」


 そんな時に、ユイナさんがふと、提案してくれた。

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