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再召喚された勇者達は世界を滅ぼす  作者: 歩海
第1章 再召喚そして再集合
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ブクマありがとうございます。


「さて、脱線してしまったけど続きを話すわね。ユナちゃんは聞きたいことがあるんじゃないかしら?」

「あ、はい。あの、どうしてケイ様やミズキ様はすぐに走り出したのですか?」

「ああ、そのことね。さっき水希が言ったと思うけど、国同士が緊張関係にあるから、他国からっていうのは避けたほうがいいんだ。余計な疑いを抱かれたくなんてないしね」

「柏木、それ微妙に答えになってないぞ。言いたくない気持ちもわかるけど、50年前に俺たちが旅をした時に結構邪険に扱われたことがあった。それだけの話だ」

「そんな、50年前は皆様はこの世界を救うために動いていたのですよね。どうして」


 どうして、と言われても、その正確な理由なんてわからない。まあ、普通に余所者が急に来てしかもこの世界の基本的な知識が欠けていることがわかったらあんまり近寄りたくないだろうし。僕も逆の立場だったら同じような行動をしていただろうから特に責める気はない。それでも、嫌な気持ちになったのは間違いないけどね。


『ま、大抵襲われている魔物を倒したりしたら手のひら返されたけどね』

「人間なんてそんなものでしょ」


 だから今、この村で水希たちがどんな扱いなのかを知るまでは下手に行動をしたくなかった。宿で話す予定だったけど……まあ、順序が変わったと思うことにしよう。


「水希、お前らってどういう扱いを受けているんだ?」

「ん? ああ、王宮から派遣された兵士見習いって感じだな。だから今信頼を集めているところ」

「なるほどね……それなら僕と一緒にいたことがバレてるのまずくないか?」

「まあ、俺とお前が知り合いってことにして逃げるか」

「結局そうなるわけか。僕としてもそもそもお前を誘うつもりだったから都合がいいけど」


 ただ、そうなると水希の、クラスメイトからの評価が大きく影響を受けそうだけど大丈夫なのだろうか。そう思っているのがわかったのか、水希は笑いながら、


「お前とクラスメイトを比べたら俺はお前たちを選ぶ。当たり前だしお前もそうだろ?」

『ええ、だから国から逃げてるもの』

「お前が勝手に言うなよ……間違っていないけどさ」


 水希の心遣いには感謝するしかない。そして、これで大体の話が終わったとして考えてもいいのだろうか。ユイナさんのほうをチラッと見たら、僕のほうを見て、


「私の話は以上よ。今日はゆっくりと休みなさい。明日から忙しくなるから……それじゃ、私は食事の用意をしてくるわ」

「あ、私もお手伝いしてもいいですか?」

「もちろんよ。助かるわ。圭ちゃんたちはどうするの?」

「手伝うよ。何すればいい?」

「あはは、冗談冗談。今日はユナちゃんだけでいいわ。その方が色々と都合がいいもの」

「変なことするなよ?」

「失礼ね。圭ちゃんがいるのにそんなことしないわよ」


 まあ、ユイナさんが変なことをするような人じゃないことぐらいわかっている。だからユナちゃんを一人で行かせても心配ないって判断することができるわけで。そして、二人が消えた時に、水希が僕の方に話しかけてきた。


「あれって、あの時のエルフでいいんだよな? 綺麗になったよな〜」

「だよな。驚いたよ」

「それで?」

「ん?」


 それで? それでってどういうことなんだ? 正直水希が言っていることがよくわからないけど、なんかからかわれているような気がする。


「お前、ユナちゃんと一緒にいて、何もなかったのか?」

「……あるはずないだろ」

「嘘だろ。あんなに綺麗な子と一緒にいて何もなし? しかもかなり慕われているみたいだしさ」

『けーってなんか奥手というかビビリよね』

「憧れと恋慕が混ざってるんじゃないか?」

「そうか? 普通に恋愛感情を抱いていると思うけどさ」


 そう言われてもね。ユナちゃんのことを彼女にしたいかと言われたら、そりゃあんなに綺麗で性格が良くて僕のことをかなり好意的な目で見てくれるし、もちろんしたいと思う。素敵な人だ。


「でもなぁ」

「何か問題でもあるのか?」

「魔族のことがある。アリスが王になっているのなら、僕は、あいつを殺す」

『まったく、なってないと信じているからこその言葉よね』

「こいつちょっとツンデレだから」

「お前らうるさいぞ」


 そりゃ、なっているなんて思っていないけどさ。でも、万が一のことがある。……いや、これも全部言い訳だよな。僕が彼女のことを恋愛感情で見ないのには、理由がある。


「仮に、恋人になったとして、その幸せはいつまで続くんだ?」

「……」

『……』

「どんな形であれ、僕は誰も死ななければ、それでいい」

「はぁ、それに関しては否定できないのがズルいよな。あの子の実力がどれくらいかわからないけど、これから俺たちが進む道はどう転んでも荊の道だ」

「彼女が強いのは事実だよ。『光爛』を使える」

「……!」


 さすがに公平な意見を言わないといけないので事実を伝える。そして、僕の言葉を聞いて、水希も僕と同じように驚いている。


「そういえば、お前、自分の属性は」

「まだ伝えてないけど……察していると思う」

「そうか。俺も教えた方がいいな。お前から能力を一つ教えてもらったわけだし」

「ああ」


 きっと彼女は許してくれるだろう。でも、他人の能力を簡単に言うなんて普通はできない。相手が水希でここにイフリートがいたからこそ、僕は伝えたんだ。


「ま、振った俺が言うのもあれだけど、あんまり辛気臭い話はやめようぜ……って言っても無理な話か」

「僕もそうしたいよ。そういえば、咲夜と美希みきは会えてるのかな?」

「どうだろ」

「あー、名前だしたらあいつらに会いたくなってきた」

「俺もだ」


 こんな世界だから……いや、こんな世界だからこそ、大切な仲間たちに会いたいと願う。それは自然で当たり前のこと。二人でかつての仲間たちのことを思い出す。


『どうするの? アリスの方を先に向かう? それとも咲夜や美希の方にする?』

「うーん、でも地形的には魔の国の方が近いんだよな?」

「効率を重視するかそれとも仲間を優先するかだよな」

「それにお前の愛刀を探さないといけないし」

「あー……まあ、それは後回しでも構わない。あれがなくてもある程度は戦えてるし」

「お前のお守りなんて絶対に嫌なんだけど」

『私もそれは嫌』

「お前らなぁ」


 水希がちょっとだけ怒っている感じで僕たちに言う。そんな軽口を叩けるくらいには僕たちの雰囲気は明るくなったと思う。それからもう少し水希と話していると、ユイナさんとユナちゃんが戻ってきた。手にはおそらく夕飯であろうものを持っている。


「あ、それが夕飯?」

「そうよ。水希ちゃん、あなたのクラスメイトに夕飯を伝えてきて」

「ああ、わかった。それからユナ」

「はい」

「俺の属性は『うみ』だから」

「え?」


 そう言って、水希は階段を上っていった。クラスメイトたちを呼びに行ったのだろう。そして僕は何がなにやらわかっていないユナちゃんに説明する。


「ユナちゃんの属性をあいつに教えちゃったからさ……ごめん」

「いえ、ケイ様が判断されたのならそれで構いません」

「いや、よくないから……なあ、これは僕の完全な我儘だけど何か一つ願いを聞くよ」

「あ、はい。考えておきますね」

『あんたそういう言い方上手くなったわね』

「まあ、ね」


 普通に何かお願い聞くよって言っても絶対に遠慮しますって断られるだろうからね。だから、ユナちゃんの頼みを聞きたいと僕が願っているという言い方をした。我ながらズルい言い方だと思うし、自己満足でしかないけど、それでも、つい、言ってしまった。


「あー美味しそう」

「これユナとユイナさんが作ったんだぜ」

「そうなの? ユナとちゃんありがとうー」


 僕がユナちゃんと会話を終えた瞬間に水希がクラスメイトを連れてきた。そしてみんなで食卓を囲んでユナちゃんとユイナさんが作ってくれた料理を楽しんだ。

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