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再召喚された勇者達は世界を滅ぼす  作者: 歩海
第1章 再召喚そして再集合
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再召喚モノを初めてみました。よろしくお願いします。


「どうか、この世界をお救いください」


 ふと、いつものように授業を受けていたら眩いばかりの光に包まれて、そして、気が付いたら見たことのあるところにいて、そして先ほどのような言葉を言われた。あたりを見渡してみれば、僕のクラスメートが全員いて、何が何やらわからない感じで戸惑っているのが見えた。


「え、えっと」

「ああ、いきなりですみません。さて、どこから説明すればいいでしょうか」


 そして、僕のクラスの委員長である園田弦一郎そのだげんいちろうがみんなを代表するように口を出そうとしたら目の前にいる人物がそれを遮って、説明を始める。目の前の人物が説明を始めるというのでみんなは少し落ち着いたようだ。だから僕もあたりの様子でどこか変わっているところがないか、確認する。


「……」


 見た所、僕が以前召喚された世界とは違うのかな? でも、なんとなく見た記憶があるから、同じ世界の可能性は高いだろうな。ここはどうやら広間のようで、そして目の前には王座があり、そこに銀髪の男性が座っていた。ああ、これは間違いなくエルフだろうな。ということはここはエルフの国であるアルネムとみて間違いないのだろうか。僕がそんなことを考えているのかなんて知らずに(当たり前だが)王座の横にいる先ほど園田の言葉を遮った初老の男性が説明するので待つ。


「この世界の名はオリスピア。あなた方の世界、地球とは異なる世界です」

「え?」

「地球とは異なる!?」

「異世界?」


 ああ、じゃあやっぱりここはオリスピアで間違いないんだな。そしてその初老の男性の言葉を聞いて、クラスメートが口々にパニックになる。まあ、無理もない。僕もかつてこの世界に召喚された時はあれ以上にパニックになってしまっていたからね……。


「静まれ!……いや、『風』」


 そしてその男性が唱えた瞬間、この大広間全体に風が吹いた。突然の現象にクラスメートたちはみんな驚いて言葉を失ってしまった。それを見た老人は満足そうにうなづくと、


「よろしい。さて、いきなりのことで何も分からないことと思います。ですが、百聞は一見に如かず、でしたかな? ベンディクションと唱えてください。もちろん心の中で念じられても構いません」


 これ、最初からこうしておけばよかったんじゃないかな。僕は自分の心の中でベンディクションと唱えならだそんなことを考えた。これでちゃんと開示されれば同じ世界、開示されなければ異なる世界、と判断することができたからね……僕もまだまだ冷静さが足りていないな。そして、僕が唱えると、頭の中に以下の文字が流れ込んできた。


***


柏木圭かしわぎけい 男性17歳 属性 (ほむら)

筋力 2

俊敏 1

魔力 134

幸運 0

能力 『焔』『不知火』『ー』『ー』


***


 うん、特に何か変わっている点があるわけじゃないみたいだ。正直ちょっと強化されていないかなって思っていたけどそれも違うみたいだ。でも、気になるのは能力の欄。これはおそらく契約が解除されているからなのかな? そしてクラスのみんなも同じようにベンディクションと唱えて、僕と同じようにこの情報を見たのか驚きで固まっている。


「ご覧になられましたか? それがこの世界における皆様の能力状況、通称ステータスなのです」

「こ、これが……」

「この数字ってどれくらいなんだ?」

「属性?」


 そしてみんなステータスの情報を読み取ることができないみたいだ。僕は知らないけれど普通なら攻撃とか防御とかそういう感じの能力が表示されるみたいだから。でもそんなことは関係ないしね。この世界はこういうものだし。クラスの人たちが確認したのを感じたのか、初老の人が説明を始める。


「では、そろそろ続きを……いや、まずはその能力値の説明をしましょう。表示されているのは名前、年齢、属性、筋力、俊敏、魔力、幸運、そして能力があると思われます」


 そうだよね。名前と年齢はまあ地球にいた時からあったものだし別におかしくはない。そして次に属性、この世界の人間は1つまたはそれ以上の属性を与えられる。複数持ちはかなり珍しい。


「属性ですが、細かなものは後回しにしましょう。今は自分が使える魔法の種類がわかるとだけ思っておいてください」

「それじゃあ複数あるのは複数使えるってことでいいのか?」

「なんと……ええ、そう思われて結構です」


 まじか。これが転移者特典というべき……いや、普通に特典だろうな。僕は今複数持ちを宣言した人を見る。あーあいつか、高山結城たかやまゆうき。このクラスのいじめっ子の一人。体格が大きくて力が強い。おまけにかなりの自信家で今も周りのクラスメイトに自慢している。そして老人も驚きを口にしたけど、すぐに立て直す。さすがは年の功といったところだろうな。


「さて、続きを言いましょう。筋力はあなた方の力がどれくらいか、また俊敏はどれだけの速さで走ることができるのか、そして魔力は魔法の威力に関係します。さらに幸運はこの世界の神のご加護の数値です。回復魔法の効果の表れとなります」


 神のご加護って言われてもよくわからないよな。まあ一応敵の攻撃が急所から逸れることがあるとかいう効果があるみたいだけど、それでも攻撃自体は当たっているからあんまり意味はないみたいだけど。後はまあ回復魔法を使うのなら高い方がいいみたいだし。


「最後に能力ですが、皆様が使うことができる魔法、ということになります。今は何も使うことができないと思いますがこの世界でしっかりと修練を積めばかなりの種類の魔法を使うことができると思います」

「なるほど……そうですか」

「ええ、では、次の話に移りましょう。この世界についてです」


 そして老人は説明を始めた。この世界には全部で6つの国がある。そしてその中の一つである魔の国の王、通称魔王が他の5つの国を侵略して支配を企んでいるということ。他の5つの国は危機を覚えたので過去、つまり50年前と同じように異世界から勇者を喚んで世界を救ってもらおうと計画を立てたというもの。


「……」


 話を聞きながら、僕は少しだけ悲しい気分になった。今から50年前にこの世界に喚ばれて、魔王を倒して、そしてこの世界を一度救ったというのに、それがほぼほぼ意味ないと突きつけられた気分になったからだ。でも、まだ情報が少ない。できることなら外に出てもう少し情報を手に入れるか、それか誰か僕たちを知っている人に出会って話を聞くかしたいな。


「さて、ここまで話をして……あなた方にお願いしたい。どうか、この世界を救ってほしい」


 そう言って老人は頭をさげる。最初にステータスのことを説明したのは僕たちに今この世界の状況を伝えやすくするためだろうな。以前の最初のことを思い出して、少しだけほんわかする。あの時は何が何やらわからなくてみんなで暴れまわったからな。……あれ? そういえば以前の時と違ってこの世界の神様と対話してないけど……もしかして二回目だから省略されたのか? もちろん持ってる情報があるからそこまで慌てることがなかったけどさ。


 そんなことを思いながら僕はクラスメイトの方を見る。さて、みんなはどんな決断をするのだろうか。僕の答えはもう決まっているからみんなの様子を伺う。


「そうだな! せっかくだし助けてみようぜ!」


 悩んでいる中で声をはじめにあげたのはやはりというべきか、岡田だった。そして岡田を皮切りにみんな口々に賛成の意を示す。


「困っているみたいだし、助けるのもいいんじゃないかな」

「こういうの楽しそうだし、世界を救おうぜ!」


 ああ、やっぱりそうなるか。みんな楽しそうに受け入れている。僕たちもはじめはそうだった。でも、そんなだからこの世界が地球とは違うということにすぐに気づかされた。


「あれ? 柏木、どうしたんだ? もしかして戦うの嫌か?」

「え? ああ、僕ももちろん(・・・・)誰かの命を救うために戦いたいと思うよ」


 少しだけ不自然だったのだろう。近くにいたクラスメイトが僕に声をかけてきたけど、僕はすぐになんでもないように言葉を返す。


 僕たちは、決めたから、もう二度と……後悔しないと。そのために自分の信念を貫き通すと。

もしよかったら、ブクマ、評価よろしくお願いします。

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