06
またアイリーン目線に戻ります!
先生の話の後、自主学習になった。要は部屋に帰って勉強しろという事だ。
私は部屋には帰らず図書館に寄る。
明日はいきなり魔法動物の実習だ。
そして私は動物が苦手だ。
何故かと言うと向こうが私を嫌って攻撃してきたり、逃げ回ったりしてくるのだ。
そのため、予め懐柔出来そうな案を練っておかなければ実習は無謀に近い。
初日から図書館に来る人は流石に少ないようで人はまばらだ。
動物に関する本のエリアは全く人がいない。これは集中して調べものが出来るぞ、と思い、早速ケルピーに関する本を探す。
ケルピーって言うのは基本的には水辺に住む馬そっくりの妖精だが、気性が粗いことで有名だ。
元々気性が粗い生き物が私と触れあうことで更に凶暴化したら……
考えたくもない!
え~と、なになに?ケルピーの好物は…………?!
「……………。」
人間の内臓らしい。
そんなの無理でしょ。
寧ろ私たち食べられるんじゃない?
そんな危険な生き物を躾るのって学校としてあり?!
普段の飼育用の餌としては、豚のレバーなどをあげるらしい。明日いきなりは用意できない。
それに手を差し出した瞬間バクっと手をやられそう。
このままヤツに大人しくやられるしかないのかと思うとお腹が痛くなってきた。決して仮病ではない。
でも仮病、じゃなかった腹痛で休むとして、ただでさえ危ういのに魔法動物学の単位落としたら本当にまずい。
先生も鬼じゃないだろうから命懸けで動物と向き合えとまでは言わんだろう。
いや、頼むから言わないでくれ!
ため息をついて振り返ると誰かがいたようでその人の胸にぶつかった。
よもやケルピーの刺客じゃあるまいな!
顔を上げて思い切り睨み付けて後悔した。
この人アルバート殿下じゃん!!
ケルピーは地域によって妖精だったり悪霊だったりまちまちです。
馬のふりをして乗馬した人間をそのまま水の中に引きずり込むようです。