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いや、私も殿下と話したくなかったんですけど……とか言ったらダメなんだろうな。
ちょっと言い過ぎな気もするけどさっき私も結構酷いこと言われたし……。これは私の敵を打ってくれたんだと思わないと殿下が怖すぎる。
「さあアイリーン嬢、君を母上に紹介したいんだ。来てくれるよね?」
言い方が怖い!有無を言わさぬ感じが王族というかなんというか。いいのか悪いのかと言われればいいんだけれども、一般人の私からしたら迷惑な……。
いやいや、こんなことを考えている事がバレたらもっと恐ろしい!
「私のような者が紹介されるなどと……。」
「何かな?」
「いえ、何でも!」
「じゃあ行こうか。」
「はい。」
押しきられてしまった。
でも王妃様の所ということは頼もしいレイのお母様がいる!
本当にそれが私の最後の砦だ。お願いします、やっちゃってくださいお母様!
私が呑気に考えているとあっという間に王妃様のもとについてしまった。
絶体絶命‼
「母上!紹介します。この方はアイリーン・シュタイナー伯爵令嬢です。僕の後輩ですよ。」
ああ、遂に驚異が目の前まで来てしまった。
殿下は私みたいな平凡で貧乏な令嬢を本当に婚約者にするつもりなのかな。冗談とかからかうためとかじゃないのかな?
どっちにしても強引過ぎる!
私はこの時珍しくちょっと怒っていた。普段はわりと自分でもぼやっとしている自覚はあるが、怒るときには怒るのだ。
私はいいにしても家族に迷惑がかかるかもしれないと考えたからだ。
「まあっ、貴女がアイリーンさんなのね?聞いていた通り本当に可愛い子だわ。貴女が私の娘になってくれるのね。嬉しいわ。」
「いえいえ、なりませんよ?」
しまったー!不覚にも声に出してしまっていた。王妃様に失礼なこと言っちゃったよ泣
恐る恐る王妃様を見ると意外にもクスクスと笑っていらっしゃった。
安心するのはまだ早い。笑っているけど実は怒ってるとかだってらどうしよう。
「照れちゃって可愛いわね。アルバートはちょっと腹黒いところもあるけどとっても優しい子なのよ?」
「それはゾンジアゲテおります。」
殿下が腹黒いのは薄々察してました。
すると王妃様が真面目な顔をして私の耳許に囁いた。
「あのね。私もう先が長くないの。」
「なっ?!」
いきなり何を言い出すんですか!
動揺する私を尻目に王妃様は話を続ける。
「それで最後に可愛い娘が欲しくてね。この願い、聞いてはくれないかしら。」
「そんな……。」
王妃様にそんな願いがあったなんて……。それで殿下も強引に話を進めてたの…………
「まったく。適当なことを言って、私の可愛いアイリーンちゃんを困らせないで貰えるかしら。」
先ほど怒っていたことを少し反省していたら聞き覚えのある声が聞こえてきた。
その声は……
「お母様!!」
「「「お母様?!」」」
しまった‼心の中で呼んでるつもりが声に出てた‼




