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「本日は、うちの息子の為に集まってくれてありがとう。是非楽しんでいって下さいね。」
王妃様なんかこっちを見てない?
現在私は敵場いや、王宮のテラスでお茶会の真っ最中。
さすが上位貴族の婚約者争いの場だけあって、ドレスの高級感が半端じゃない。自前のドレスで来ていたら笑い者にされてたかも。
今日のお茶会は親子で来るのが普通らしく、母親と娘が別々に集まっている。
母親はたちは大体王妃様の所に集まっており、娘たちは娘たちで自慢話に花を咲かせている。
ここに来ている殆どの令嬢が私とは違ってマナーの専門学校に通っているようだ。
勿論そちらの方が将来の結婚に有利(花嫁修行的な意味で)なので、魔力があるかないかに関わらずそちらを選ぶ令嬢の方が多いと聞く。
そんなメンバーのなか、私が馴染めるわけがなく……。
最も魔法学院でもボッチだが。
「まあ、貴女見ない顔ね。どちらの出身?」
案の定恐そうな令嬢に話しかけられた。
「失礼致しました。私はシュタイナー伯爵家の長女、アイリーンでございます。私は王立魔法学院に通っていますので、お会いしたことがないのかと思います。」
「ああ。貴女あそこに通ってるの。」
何となく棘のある言い方な気がする。
「言いそびれてたけど、私はハーレー侯爵家のマリアンヌと申します。貴女が今回アルバート殿下の目に止まることはないと思いますが、頑張って下さいね?」
「はい。有難いお言葉ありがとうございます。」
そんなことわかってます。そんなに嫌みったらしく言わなくてもいいじゃないの❗
早く帰りたいー。
私が心の中で不平不満を言っていると、お茶会の場が騒がしくなった。
どうやら本日の主役登場のようだ。
「まあっ、アルバート殿下よ。」
「何度見ても素敵ね。本当に王子様という言葉が相応しいお方ね!」
今日もアルバート殿下の人気は絶頂のようだ。
「やあ皆、今日は来てくれてありがとう。婚約者決めと母上は言っているが、どんな人が僕の婚約者候補に挙がっているのか知りたくてこの場を選ばせて貰った。だから今日のお茶会は気楽に過ごしてくれ。」
そう言って殿下は微笑んだ。
それを見た令嬢方はうっとりとしている。何故皆はこの胡散臭そうな微笑みに誤魔化されるんだ。
そして何故殿下はこちらに向かって歩いて来るんだ。
嫌な予感がする。
「そうだ、アイリーン嬢お久しぶり。今日は楽しんでいって下さいね?」
恐ろしいことに殿下は現在私の隣に座っている。
しかも帰るなという無言の圧力までかけてきているような……。
「お元気そうで何よりです殿下。あのー、あんまり私の近くに座らない方が良いのでは……?」
ひぃっ。なんだか黒い笑顔になってますよ‼
「何でそんなこと言うのかな?君は僕の後輩じゃないか。それより、レイだけじゃなく僕のことも見てほしいな。」
こいつ!言いやがったな!
私はもはや相手が殿下であるということも忘れて心の中で罵っていた。
こんな発言を殿下がしたら殿下が私狙いみたいに聞こえるじゃないか!
「殿下。そんな身分の低い者など放っておいてわたくしとお話し致しませんこと?」
いいところでさっきのハーレー侯爵令嬢がしゃしゃり出て来てくれた。
無礼な発言は水に流してあげるから、どうか殿下の暴走を止めてくれ!
「ちょっと黙っててくれないかな。僕は君とは話したくないんだけど。」
お茶会の空気は完全に凍りついた。




