01
教科書よし、洋服よし。だいたい必要そうなものは揃ってるな。
明日から新学期が始まるのだ。また、寮生活が始まる。
私が通っているのは王立魔法学院という魔法を学ぶ6年制の学校で魔力があり、入学試験に合格すれば貴賓に関わらず入学できる。学院は全寮制で三学期制。間の休暇は自宅に帰ることができる。
現在夏期休暇中で私は実家であるシュタイナー伯爵邸にいて、明日から始まる2学期の準備中だ。
「姉上、少し宜しいでしょうか。」
ノックしてそう言ってきたのは、弟で我が家の長男であるヘンリーだ。
ヘンリーはチョコレートのようなふわふわした髪に緑色の瞳を持つ天使のような子だ。結構心配性でとても姉思いな優しい子でもある。
そんなヘンリーは見た目に反して王立騎士学校の3年生に在籍している。
王立騎士学校とは騎士を目指す人が多く通う学校で、こちらも6年制で全寮制。王立魔法学院のすぐ隣に建っている男子校だ。
私は現在16歳。そして、ヘンリーは13歳。しかし学年は4年生と3年生。年の差的に合わないだろうと思うそこのあなた。学校の入学制度を説明しよう。
どちらの学校も共に13歳で入学し、18歳で卒業するのが普通である。しかし学校の受験自体は11歳から認められており、次期当主の生徒などは早めに卒業するために早めに入学することが多い。
ヘンリーはシュタイナー伯爵家次期当主であるので11歳から騎士学校に通っている。ちなみに騎士学校を選んだ理由は
「将来、姉上を守れる立派な騎士になるためです!」
という実に可愛い理由である。
「どうぞ!」
私がそういうとヘンリーが部屋に入ってきた。
「明日は何時に出発しますか?一緒に馬車で行きましょう!」
うん、やっぱりうちの子は可愛い。そんなこと言われてOKしない訳がない。
「もちろんいいよ。えーと、明日は学校付近が混みそうだから始業式の2時間前に着くように出ようか。はぁ、明日からまた暫くヘンリーとは会えないのか。」
「そんなことないですよ。図書館は両学校共通の施設じゃないですか。いつも図書館で勉強している姉上なら放課後会えますよ。」
「そうなんだけどね。やっぱりいつでも会える訳じゃないし、私に声かけられたら恥ずかしくないの?」
なんかすごい干渉してくるお姉ちゃんみたいに思われそう……
「そんなことないですよ!僕がお姉ちゃんっ子なのは皆知ってますから。」
それっていいことなのか?
「じゃあ、二人で今からエドとリドのところに明日の出発時間、伝えに行かない?」
「え、あの二人にも伝えるって、4人で行くんですか?」
「え、違うの?」
へ、ヘンリーが嫌そうな顔してる⁉
喧嘩でもした!?
「と、とりあえず聞くだけ聞いとこうよ。」
結構強引にヘンリーの背中を押して部屋を出た。
エドとリドは同じ部屋にいて、仲良しの双子ちゃんである。
「エド、リド。入っていい?」
私が尋ねると扉が開いて二人が顔を出した。
エドはエドガーの呼び名で、リドはそのままリドと呼んでいる。二人は顔がそっくりなのだが、髪の長さが違う。
エドは首に襟足を残した程度の長さで、リドは背中までの長さだ。
二人とも11歳で、髪の色は銀色で瞳は紫色。私と同じ組み合わせで今は亡きお母様と同じでもある。
「二人は明日、どうするの?」
私が尋ねると、
「勿論、兄弟4人でいこうと思ってたよ。」
と、リドが答えた。
この双子、結構性格が違っていて、エドは真面目ながんばり屋。
リドはおっとりした癒し系。因みにリドと末の妹のリリーは、私のことをリーちゃんと呼ぶ。
この双子も私と一緒に王立魔法学院に通っていて、現在1年生だ。
「んっ。」
エドが急に綺麗な包みを渡してきた。
「これ貰っていいの?」
「一昨日の誕生日……渡し忘れたから。」
そう、私は一昨日16歳になったばかり。
開けてみるとアメジストを使った紫色の綺麗なブローチだった。
「すっごく綺麗だよ!ありがとう。」
「うん……」
エドって口下手なんだよね。そこが可愛いというか。リドと一緒にいると完全に母と息子だ。
そっか、16ってことは婚約者探しに本腰入れないとだよね…
憂鬱だ。はあ。
「えっ!?」
「え……」
「そっか」
三人の声がする。あれ?私声に出してた?
ヘンリーは腹黒です……




