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目を開けると、目の前にアンナの顔があった。
「わぁっ、なんかでた!」
「なんかでたじゃないわよ!失礼ね。」
いつものアンナだ。
「私、どうしてここにいるの?」
「覚えてないの?もったいない!あんたは背が高い黒髪のイケメンにお姫様抱っこされて来たんだよ。ああ、羨ましい。」
それって多分グリードさんだ。
「わかった。取り敢えず今日は疲れたからこのまま寝るね。」
「わかった。お疲れさま。」
ベッドに入って、さっきのことを思い出した。
確か、仲良くなろうって言ったら、婚約者として仲良くしようみたいなことを言われた気がする。
これってどういうこと?
考えすぎて頭がショートしそうだ。
一回落ち着こう。
ここは単純に考えた方がいいかもしれない。この前授業で習った哲学者もそう言ってたし。
さっきのは婚約者にならないと私が仲良くしないと思って言ったんじゃない?
それか冗談で笑わそうとしてくれたとか。
なんだ、簡単なことだった。
スッキリしたらそのまま眠くなって寝てしまった。
朝、気持ちよく目覚めて教室に向かう。
教室に入ると既にレイは来ていた。
「おはようございます、レイ。」
「おはよう。」
レイは昨夜余り眠れていないのか、目の下にうっすら隈がある。
「放課後、また俺の部屋に来てくれないか?」
「わかった。そうするね。」
なんの話だろう?
あっという間に放課後になった。隣の席からレイの目線を感じて慌てて荷物を纏める。
「準備できたよ。」
「よし、じゃあ行くか。」
二人で歩いている間、無言が続く。
何とか場をもとうとレイに話しかけた。
「昨日はいきなり倒れて迷惑かけたみたいでごめんなさい。」
「いや、その事は気にしてない。アイリーンは気絶するほど俺との婚約が嫌だったのか?」
「いや、突然婚約とか言われたから焦っちゃって。嫌とかじゃないよ。」
レイはその事に落ち込んでたのかな。勘違いさせて申し訳ない。
気付いたらまた、あの部屋の前にいて、話しはそこで終わった。
グリードさんに入れてもらったお茶を飲んでいると、レイが口を開いた。
「アイリーンは好きな人とかいるのか?」
「まだそんな人はいません。」
「なら、あの時の約束通り俺と婚約してくれ。」
え?約束?何それ!
「その様子じゃ覚えてなさそうだな。」
「覚えてなくても、2日前にあったばかりの人といきなり婚約なんて……」
「いいや、俺とアイリーンが初めて会ったのは6年前のある夜会だ。そして6年前からずっとアイリーンのことが好きなんだ。」
「うそ……。」
呆然とする私を尻目にレイは昔の話を始めた。
次回はレイとアイリーンの出会いの話です。




