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ブラック企業と謎の装置

「ふわぁ〜あ、もう朝か…頭痛え」


やたらギシギシと音を立てるベッドの上で、ふとつぶやく。憂鬱だ。

テーブルの上には親が買ってくれた高額な腕時計と、散々飲み散らかした後の缶ビールが数本転がっている。


この頭の中痛さではまだ二日酔いが残っていそうだが、今日は久々の休みだ。出社のために運転する必要もないと、昨日は同僚と遅くまで会社の愚痴を肴に飲み明かしていた。


しかし、うちの会社はマジでヤバい。どう考えても1人でこなせるキャパシティ以上の量の書類が、日々雪崩のごとく押し寄せて来るのだ。


あまりの量にもう収拾がつかなくなってしまい、正直なところ、日常に関する記憶すら曖昧になってきている。これ以上の勤務はマジで限界だ。自主的に休日に作業をこなさなければ到底間に合わない。


そうだ、そういえば昨日も退社間際に上司に何か仕事を命じられていたな。

明日の業務を減らす為だと自分に言い聞かせながら、しかめ面を浮かべて社用のノートパソコンを広げた。


パソコンに表示されたメーラーには新着メールが届いていた。


【To.真田敬浩】

【おはようございます。先日話しました件ですが、このメールに関連したファイルを二点添付しました。レポートは来週の火曜までにお願いします】


…来週の火曜って、今日は金曜だから…


「なんだったっけ昨日言われた仕事って…。しかしふざけろ、あと3日しかないってか…」


全く頭の回らない頭で昨日の記憶をたどりながら、力なくため息を漏らす。


落ち着くために朝のモーニングコーヒーを淹れて一口すすると、徐々に記憶が蘇ってきた。

確か新商品…のモニターか何かを頼まれていたんだったかな。で、その体験レポートをまとめて欲しいと言われたのだ。


そうだそうだ、思い出したぞ。しかもなんか持って帰ってきた気がする。



「その新商品がこれと…このゴーグルか。どうやって使うんかな」


『これ』は何やら煌びやかで怪しげな、小型のシリンダーだ。筒の一方はUSB端子で、もう一方には丸い球が複数個付いている。

そしてもう一つのゴーグルは恐らくVRか何かにでも使いそうな、やたらとゴツゴツしいデザインのものだった。


「なんか大人のオモチャみたいだな。ふふ」


誰もいない部屋に冴えない毒男の独り言が響く。


まあいい。取説でも読もう。思考を振り切り、文章に再び目を通す。

メールに添付された文書には、思わず目を疑うような内容が記されていた。


【Hello!この商品を手にとっていただき感謝します。私は開発者のMisseryです。所要の手続きを踏む事により、このアイテムには個々の精神世界と現実を繋げる力があります。似ている友人を探し、まずはテストしましょう!】




…は?


頭を掻きながら、明らかに翻訳サイトを使用したであろうちぐはぐな日本語を読み進めていくと、

どうやら一筋縄ではいかない仕事であることだけは分かった。




とりあえずもう今日はパチンコ行こう、そうしよう。グッバイ業務…

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