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異世界で奏でる幻想曲  作者: kuh*
動乱祭り
51/52

子守唄(ララバイ)

次々と崩壊した建物が修復されていく。


上空には青空が。


木々は生い茂り、道も元に戻る。


死んだはずの人間が息を吹き返す。


「凄い……これ程の力が……」


と感動するカイス。


「やっぱり、摩訶ちゃんにあの楽譜を託して正解だった」


歌い終わると摩訶は言う。


「完全に生き返った訳じゃない。

体がバラバラなのは………

あと、あの黒いものに呑み込まれた人間は、ね。

アレに呑み込まれたら私の魔力になるから」


私は沢山の人間の命を吸収してしまった。


さっきの歌でその魔力を使い切った。


「これはどういう事だ?」


そこへウルドとワルキューレがやってきた。


ワルキューレは摩訶を見る。


「良かった、無事で」


と言い、微笑む。


「終わったなら帰るぞ、カイス」


「何で僕なんですか?」


「お前は関係ないからな。

それにやる事がある」


と言い、ウルドに連れ去られるカイス。


二人は歪んだ空間へと消えた。


「摩訶、こちらのあなたの家族は無事よ」


「⁉︎

本当に⁉︎」


「ええ。

でも、この世界には記憶操作を入れて今回の件は無かった事にするって。

だから、摩訶ちゃんの事も……」


そっか。


まぁ、しょうがないよね。


「その事は任せます」


そう。


今の私の居場所じゃないから、ここは。


「あなた達も早く戻って来なさい。

やる事がまだ、あるから」


と言い、ワルキューレは雨を降らせた。


この雨を浴びれば記憶が……


少しの間だけど来れて良かった。


皆は忘れるかもしれないけど私は忘れないから。


四人はビルの上から街を見下ろす。


ありがとう、そしてさよなら。


摩訶はこの世界に贈る。


静かで心地よいメロディーの子守唄ララバイを。


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