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異世界で奏でる幻想曲  作者: kuh*
帰還
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ドライブ

「私、前の職場に行ってくる。

連絡はしてあるけど会いに行く。

それにもう、戻らないし」


と言う摩訶。


心配していたらしいし。


少しお菓子を持って挨拶に行こうと思っている。


「私も行こうか?」


と言う立香。


なるべく身内は一緒にいてほしくない。


この間みたいになりかねないし。


「大丈夫。

二人を連れて行く」


シュバルツとアレクを指差す。


「分かった。

あたしは留守番をしている」


「ありがとう」


「姉貴、気を付けろよ」


「うん」


結界がある以上のここには近付かないだろう。


だが、職場はこの前行った警察署にも近い。


用心はした方がいいだろう。


摩訶、シュバルツ、アレクは外に出た。


日差しがいつもより暑く感じる。


最近、夜は外にいたからなぁー


「なぁ、俺も車を運転したい」


と言うシュバルツ。


アレクに車の運転をしてもらっている。


向こうの世界にもあったけど免許とかはいらなかった。


こっちもこっちでバレたら………


今のところ大丈夫そうだけど。


帰りは私が運転するかなぁー


シュバルツは、何か怖くて頼めない。


アレクに運転してもらった方が安心感がある。


「後で運転させてあげるよ」


向こうの世界と違って交通規制もあるし。


その辺を考えると怖い。


「別にいいけどさぁー」


と少し拗ねるシュバルツ。


「摩訶、お前が働いていた所はどんな雰囲気の場所なんだ?」


バックミラーをチラッと見るアレク。


「お店だよ。

ショッピングモールの中にある」


「ショッピングモール??」


初めて聞く単語に悩む二人。


「お店の集合体かな??

色んなお店のあるところだよ。

そのうちのアニメショップで働いていたの」


私的には楽しかった。


職場の人も皆、いい人ばかりだったから。


でも、接客だけじゃなくアニメグッズの発注などもしないとなので忙しい。


「アニメかぁー

俺は観た事ないし、興味無いからなぁー」


と言い、窓の外を見るシュバルツ。


だよね。


向こうの世界には、そういう文化はないだろうし。


「楽しかった?」


「そうだね。

忙しかったけど楽しかった。

やり甲斐があったし」


「摩訶は頑張り屋だな」


頑張り屋ではない。


ただ、自分がやらなければと思いやっているだけ。


そう見えるだけ。


内心焦りながらやっている。


早く終わらせないと、と。


まぁ、私は必死にやっているだけなんだけどね。


自分に出来る事を。


それで、責任を感じちゃうのがね。


それが原因でうつ状態になっちゃったんだし。


考え方だよね。


「おい、見えてきたぞ」


ショッピングモールが見えてきた。


駐車場も広いので何処に停めた方がいいかアレクに指示をした。


車が多いので中々、空きが見つからなかった。


今日は休日だ。


だから、こんなに混んでいるのだろう。


車を停め終わると三人は外に出た。


「摩訶、これなんだ?」


駐車場の柱に貼り紙があった。


そこには、来週行われるお祭りの案内が描かれていた。


「お祭りだよ」


「お祭り??」


「うん。

縁日だよ。

食べ物屋さんとかが沢山並ぶの。

これは最後に打ち上げ花火もある」


そうか。


もう、そんな時期だったのか。


毎年、この時期になるとこのショッピングモールから駅の近くまでを歩行者天国にして三日間に渡る大きなお祭りを行っている。


「夕方からなら行けるよな?」


とシュバルツはアレクに聴聞く。


「だが、俺らは狙われている。

あまり大きな所へ出て余計な民間人を傷付ける訳にはいかない」


アレクの答えは正しい。


「……そう言うと思った」


少し落ち込むシュバルツ。


行きたかったんだ。


確かにこういう行事に参加したい気持ちは分かる。


向こうの世界にはないだろうし。


しかし今回は残念だ。


車の鍵を閉めるアレク。


「また機会があったら行こう」


「あるとは思わないけどな」


確かに。


「さてと、行こうか」


貼り紙から動こうとしないシュバルツ。


全く、しょうがないんだから。


ムスッとした顔のシュバルツに


「行こう」


と言い、手を握り引っ張る摩訶。


「……分かったよ」


仕方ない、という顔で歩き始めるシュバルツ。


私も本当は皆で行きたいよ、お祭りに。


でも、今は我慢。


アレクの言う通り、周りを巻き込めない。


それに、今はやらなくちゃ行けない事があるから。


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