弟と妹
今日は久々に特訓が休み。
何故なら……
「摩訶、二人とも一緒に帰ってくるってよ」
と喜ぶ母親。
そう。
妹の立香、弟の白野が帰ってくるのだ。
緊張な面持ちでいる摩訶に
「大丈夫。
二人も心配していたんだから」
と優しく声を掛ける母親。
そうだけど……
三人の事は友達で大丈夫かな??
意外と二人とも鋭いから気付くかも。
緊張してるけど楽しみ。
摩訶は母親との話しを終わらせて、部屋に戻った。
「それで、いつ来るんだ?」
「そろそろ、着くみたいだよ」
三人は立香と白野に会うのが楽しみらしい。
まぁ、会ったことないから当然か。
「摩訶の妹と弟かぁー
楽しみだなぁー」
「摩訶に似てるのか?」
「どちらかと言うと二人とも父親似かな。
まぁ、合えば分かるよ」
ガタガタ
と庭に車が入って来る音がした。
黒の乗用車だ。
あれは、白野の車だ。
三人を連れて玄関に行った。
「ただいま〜」
久々に見る白野と立香。
全然、変わらない。
「……おかえり」
摩訶は二人にそう話しかけた。
「摩訶!」
「良かった!!
生きてて!!」
と喜ぶ二人。
そして、私の後ろにいる三人を見る。
「話しは聞いてるよ。
とりあえず、部屋に行こう」
といい、摩訶の部屋に全員集まった。
流石にこれだけ人数がいると狭い。
「次女の立香です」
「長男の白野です」
と言い、二人はお辞儀をした。
こちらも三人、自己紹介をした。
「それで、お姉ちゃんは行方不明だったけど違ったとか??」
「あー、それ俺も聞いた。
姉貴、死んだとか??」
そこまで聞いているのか。
「摩訶、どうする?」
と摩訶よ耳元で話すルナ。
「話すつもりでいたから話すよ。
家族にだけは知っててもらいたいから」
摩訶は立香と白野に今までの出来事を話した。
「そうなんだ。
じゃあもう、人間じゃないんだ」
「まるで、アニメみたいな話しだな」
「私も初めは驚いた。
けど、皆の……仲間のお陰でここまで来れた」
立香は頷いてから
「お姉ちゃんは、色々とあったから……
あの頃は凄く苦しそうだったけど今のお姉ちゃんを見てると楽しそうで良かった」
と言う。
「うん。
今は楽しい」
「そう思えてるなら良かったな」
と言う白野。
「でも、二人も巻き込みたくないからあまり私達には関わらない方が……」
「もう、知っちゃったんだからさ!
関係なくないよ」
「力になれる事があったら言って」
そうだよね。
そう言ってくれる二人だと言うことを忘れていたよ。
「二人の周りで何か起こったら遠慮なくあたし達を頼れ」
「ありがとうございます、ルナさん」
「そういえば、白野、立香。
いつまで実家にいるの??」
立香と白野は顔を見合わせる。
「1週間ぐらいはここにいる予定だよ。
ちょうど、仕事も休みだし。
てか、お姉ちゃんと会うから休みにしちゃった」
「俺は今日から長期休みに入るから」
二人とも当分ここにいるのか。
「じゃあ、部屋を空けた方がいいよね?」
「主屋に行くからいいよ」
と言う立香。
「でも、丁度三人いるし二人一組にする?」
「そうだな。
護衛も兼ねてそれがいいかもな」
それじゃあ、どうするかぁー
「私、ルナさんと一緒がいい!
エルフの話しとか魔術について聞きたい!」
「いいよ〜」
ルナは立香の隣に移動した。
「俺はアレクさんで。
宜しくお願いします」
「ああ、宜しくな」
まぁ、そうなるよね。
「お姉ちゃん、シュバルツさんと一緒で大丈夫??」
「大丈夫だ!
シュバルツが喜ぶからな」
「何だと!!」
と怒るシュバルツ。
「あっ!
なるほど」
ルナの言葉で全てを察した立香も白野。
「良かった、お姉ちゃん。
あれだけ他人を避けていたから」
と言う訳で、組み合わせが決まった。
家族という時点で狙われる可能性がある。
両親は私が見つかった事により、しばらくの間仕事を休む事にしているらしい。
二人は昼間に外出する事が多いのでその時は、ルナに護衛をしてもらっていた。
これからは、分担して見張るしかない。
両親には、なるべく外出はしない様に伝えてある。
ルナの張った結界の外に出なければ安全。
さて、これでとりあえず家族が全員揃った。
それを勇美も気付いているのだろうか?




