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異世界で奏でる幻想曲  作者: kuh*
帰還
34/52

吸血衝動

うっ……


ここは……


気付くとそこは自分の部屋だった。


確か警察署に行ったら勇美がいて……


!!


そうだ。


母親が人質にされてて……


そこまでは思い出せるが、その後の記憶がない。


「目、覚めたか?」


と言うシュバルツ。


扉の前には、アレクがいた。


買ってきた洋服に着替えたようだ。


白いロゴの入ったTシャツにチェック柄のシャツ。


ベージュのハーフパンツを履いている。


「シュバルツ……」


「ごめん、俺が暴走したお前を止める為に血を吸って気絶させた」


そうなのか。


暴走したのか。


多分、怒りで我を失ったんだろうな。


血を吸われたのか。


だからこんなにも体がだるいのかな。


「……喉が渇いたなぁー」


飲み物が飲みたくて喉が渇くのに近い。


だが、そうじゃない。


前にも感じた事がある。


人間だった頃。


あの世界に行く前。


精神が狂っていた時。


血を飲んでいた頃の様。


「……血が飲みたい」


そう呟く摩訶。


「摩訶……」


シュバルツはパーカーを脱ぎ、首筋を摩訶の方に向ける。


それを見た瞬間、摩訶の喉がゴクリと鳴る。


「吸血鬼の血不足は、“血の武器(サングィス・テールム)”でも補えない。

魔術による回復も。

失った血は生き物から補う。

だから、俺の血を飲め」


「でも、そしたらシュバルツが……」


「お前が加減すれば大丈夫だ」


「加減って……」


初めてだからそんな事を言われても分からない。


でも、やるしかないのだろう。


この渇きを抑える為には。


間違っても両親の血は吸えない。


きっと殺してしまうから。


摩訶はシュバルツの肩を押さえる。


「い、いくよ……」


「ああ」


摩訶はシュバルツの首筋に噛み付いた。


ズルズルと血を吸う。


何、この感覚……


今まで、味わった事の無い感覚だった。


凄くいい気持ちになる。


だが、このまま快感を感じたままではいられない。


シュバルツの首筋から口を離す。


美味しかった……


「あの感覚から抜け出せず、人間などの生き物を襲う吸血鬼もいる。

あと、人間の血の味を忘れられない奴。

皆、それを本能的に求めているかな」


と言い、シュバルツはパーカーを着る。


「終わったぞ」


アレクが向かいの部屋にいるルナを呼んだ。


「摩訶、もう大丈夫か?」


「うん、ごめんね」


お互い今日の状況報告をする事になった。


「………という感じだ」


まずは私達の報告をした。


勇美の事を。


何を企んでいるか分からないが、摩訶を殺さない理由があるという事。


次にルナ、アレクの報告だ。


「あっ、これ地図だよ」


日本全国が分かる地図と周辺地域の地図だ。


「ありがとう。

早速だが、来てもらいたい場所があるんだ」


案内されたのは、自宅から徒歩十分ぐらいの場所にある神社だった。


「神社やお寺、教会は魔力が高い場所だ。

ここに魔法陣を描く」


「何の為に?」


「結界だ」


結界をここに??


「ここからじゃ、遠くないか?」


と言うアレク。


「あの家を護るのもだが……

このぐらいならどうにかなる。

それに周辺に敵が来た時、感知出来る」


そうなのか。


でも……


「これだけ大きいと魔力供給が難しくない?」


「その為の神社だ。

ここを仲介する事で少しの魔力で済む」


と言い、魔法陣を描き終える。


なるほど。


神社が魔力を強く持っているからか。


ルナは自宅を囲む様に地図に魔法陣を書き込んだ。


「さてと、あたしは今夜これを作りに行ってくる」


「分かった。

そっちは任せるよ」


四人は家に戻った。


これからどうするか。


「結界が完成するまでは、警戒が必要だろうから俺は見張りをしている」


二人共、頑張り屋だなぁー


「ありがとう」


その後、母親が部屋を訪れた。


すっかり元気になった摩訶の様子を見て、喜んでいた。


きっと心配していたに違いない。


「来週には、白野が帰って来るらしいけどどうする?」


そうか。


弟が帰ってくるのか。


「まだいつまでここにいるかも分からないし、その時になったら会う」


「分かった」


と言い、母親は部屋を出ていった。


「摩訶の弟ってどんな奴なんだ?」


「う〜ん、どちらかというと父親似だよ。

背は私よりも高いかな」


「なるほどな。

会うのが楽しみだ!」


ニコリと笑うルナ。


そう言ってもらえると嬉しい。


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