情報収集
四人は母屋とは別の家にやって来た。
そこが子供部屋となっている。
「摩訶の家って広いんだな」
「広くないよ。
昔からある家だから庭も広いだけ」
と言い、久しぶりに自分の部屋に入る。
そこに四人集まる。
四人が入ってもまだ、部屋は狭く感じない。
「シュバルツとアレクはこの向かいの部屋ね」
「分かった。
それより……」
「うん。
さっきの話しだよね」
話しを整頓する事にした。
確かにここは、私が暮らしていた時代で間違いない。
だが、私は死んだのではなく行方不明者扱いとなっている。
どういう事なんだろう?
「それにこっちには気付いていたか?」
「あの様子だと気付かれてなさそうだな」
と言うルナとアレク。
でも、お母さんは私を抱き締めた。
多分、気付いているんじゃないかな。
体温が……人の温もりがないと。
結構、感がいいから。
摩訶の様子を見てシュバルツは
「摩訶、どうしたんだ?」
と心配をしていた。
「……大丈夫。
多分、ね」
それは、今は置いておこう。
気になるけど。
「ルナ、ここは魔術は使える?」
「ああ、大丈夫だ。
それにこの部屋は……」
ルナが言いかけたところで、ツヴァイが現れる。
「どうもこの部屋は魔力の力が強い」
何でだろう??
「特にこの入れ物の中からする」
??
それは私のアクセサリー入れだった。
中を開ける。
その中に一つだけ一際目立つ物があった。
赤い大きな宝石の塊が付いたペンダントだった。
「確かに。
そのペンダントの宝石は、魔法石だ」
「魔法石??」
「ああ。
魔術を発生させる為の源。
補助効果も持っている」
このペンダントが??
どこで手に入れたのかは、覚えてない。
だが、この世界に魔法石があるなんて。
「この世界では、魔術は見えてないだけで存在していたのかもしれないな。
魔術だと思っていないでそれを知らないうちに使っていたのかもしれない」
そうルナは解説する。
「もしかしたら、歌はこの世界でへ魔術だと思わず歌っていたのかもしれない」
それは考えられるかもしれない。
調べる事は沢山あるみたいだ。
まずは、これで拠点を確保出来た。
あとは、服もこの世界に合う物にして方が良さそうだ。
この家にある物では限りがある。
ルナと私の服はどうにかなるとして、アレクとシュバルツはどうにもならない。
「そうだ、摩訶。
明日はケイサツって所に行くのか?」
と言うルナ。
「ケイサツって何だ??」
それも知らないのか!
「そうだなぁー
警察は町などの治安を守る人達の事だよ」
警察が探さしてる程なんだから、大事になっていたんだろう。
「その人達が摩訶を探しているのか?」
「うん。
そうみたい。
とりあえず、行ってくるよ」
それと、この服装で行く訳にもいかない。
私は家にあるので平気だけど、皆の服も買わないと。
警察署に行く前に洋服屋に寄ってもらおう。
「ついでに洋服も買いに行ってくる」
でも、紳士服を私が選ぶのもなぁー
サイズ感覚とか分からないし。
「あたしの服は摩訶に頼んだ」
「分かった」
まぁ、ルナは留守番させても大丈夫でしょ。
「俺もここにいる」
と言うアレク。
シュバルツは誘ってくれるのを待っている顔をしている。
……マジか。
「シュバルツ、行く??」
と一応、聞いてみた。
「行く!」
即答した。
「他に何かある?
服以外に?」
「何が必要だか分からないからな」
「そうだな……」
と考える二人。
「摩訶、周辺地域の地図とかはどうだ?」
「大丈夫だよ、ルナ」
「他にも必要そうな物があったら買ってくるよ」
「家を貸してもらっているのに悪いな」
「大丈夫!」
知り合いが家に遊びに来るっていうのは、楽しくて仕方ない。
「あと、特に何も無いけど私の部屋なら色々と見てていいから」
珍しいものはないけど。
このネックレスの様に実は役に立つ物があるかもしれない。
「分かった。
この部屋には、あたし達の世界に無いものばかりだ。
興味深い」
良かった。
シュバルツはこの戦闘服で連れて行く訳にはいかないので、弟である白野の服を適当に渡した。
パーカーにボトムスという普通の服装だが。
サイズがピッタリで良かった。
「それじゃ、また」
アレクとシュバルツは、向かいの部屋へ戻った。
ルナは気が付けば、床に寝ていた。
毛布をそっとかけた。
私は眠れない。
いや、吸血鬼は眠れないらしい。
全然、眠くならない。
なので、体を横になって休む事にした。
疲れを知らない体。
これが吸血鬼の体の力か。
朝日が昇り、カーテンの隙間から光が差した。




